72 湖北省、中央市、黄鶴楼地区、南町、三十三番地、紫陽湖館前。
《俺も》
《いや、君には別の事を頼みたい、暁兄と一緒に店に行って貰いたいんだ》
『私も同行しますので問題無いかと』
《助かるよ金絲雀》
『馬車は用意してありますので、ご案内致します』
私、金絲雀こと明明は、今凄く楽しいです。
《頼むよ春蕾、早急に事を片付ける為だ》
《分かった》
「宜しくね金絲雀ちゃん」
『はいー』
良いですよね、このヒリヒリした緊張感、単なる商家では味わえない喧々諤々さ。
本とは違って色々な面が見れますし、予想が難しい。
やっぱり花霞の周りは楽しい、今回程、自分の生れ月に感謝した事は無いかも知れません。
「じゃあ、私も後ろに乗るわね、天気も良いし」
『逃げますか』
「そんな、逃げるだなんて、あの子の中でも整理出来るのを待ってるだけよ」
『少し聞きましたけど、整理出来るものですかね』
「するしか無い、そう納得しなきゃいけないんだもの、苦しいでしょうね」
私と似てるのに少し違うんですよね、暁霧様。
色恋沙汰が大好きなら喜んでも良い筈なのに、今は苦虫を噛み潰したような表情でらっしゃる。
私なら楽しんじゃいそうですけど、やっぱり当事者になると大変なんですかね、こうした問題って。
『本当に諦めたりだとか、引き返せない道なんですかね』
「周りにしてみれば他にも道は有る様に見えても、いざ目の前に立たされると見えなくなるもんなのよ。って言うかアナタは楽しそうねぇ」
『桂花が悲しむのは嫌ですけど、今は大丈夫そうだし、はい。イヤですか?』
「そうね、喧々した雰囲気は苦手だわ」
『諍いって人の本質が垣間見えて面白いじゃないですか、子供は勿論、大人まで恥ずかし気も無く中身を曝け出すなんて。餌を奪い合う馬とか犬猫みたいで、面白くないですか?』
「私とは、ちょっと違うわね」
『みたいですねぇ』
喧嘩が有るともう、喜んで見に行っちゃいますし、目の前で夫婦喧嘩をされようものならニコニコしちゃいますし。
ただ色恋だけはどうも興味が湧かないんですよね。
大概の問題は凄く薄っぺらい、殆ど莫迦が問題を起こしてるだけで、全然面白くない。
なのに、ウチの花霞がこんな事に巻き込まれるだなんて。
そこは凄く不本意です、凄く。
あの子が望む通り、あの子は平穏で。
で、周りだけが騒ぐのが良いのに。
「帳簿は問題無さそうですね」
《はい、どうも》
神話の悪女と同じ名を持つ方って、私、初めてお会いするわ。
「興味本位で尋ねるだけなのだけれど、お名前って」
《花霞様の母方の祖父でらした方に付けて頂きました、元は青海の海南藏族なんですが、悪徳商隊に攫われた所を助けて頂いたのです》
『えー、知らなった、ご苦労なさってるんですね』
《いえ、その時までは波瀾万丈でしたが、以降は平穏無事に過ごさせて頂いております》
『波瀾万丈の格が違うんでしょうか、結構、花霞の周りは大変だと思うんですが』
《寧ろお手間が掛からなかったので、その分を差し引いても余るかと、物分かりの悪い子は本当に大変だそうですから》
遠い目をしてらっしゃるのかしら、と思えばそこには跟踪狂ちゃん。
この方、何処まで知ってらっしゃるのかしら。
「あの子も、そもそも知らない事も多そうだから、教えて下さるかしら」
《先ずはあの子の事からですね》
跟踪狂ちゃん、凄くありがちな惹かれ方をしてるのよね。
子女に追い駆けられてた時、花霞ちゃんが匿ってくれた。
しかも自分の事を知っていて尚、騒がず、名乗らず。
まぁ自分の店に匿ったのだから名乗らないのも分かるけれど、以降も一切自分に興味を持って貰えず構われず、そうしてすっかり気に入った後に騒動が起きて。
あの子は良い子だ、僕は好きだ、と。
まぁ、逆効果になって、花霞ちゃんは遊ぶ相手が減ってしまった。
なのに彼を責めるでも無く、読み書きを覚えたり刺繍だ料理だと習得し始めて、1人でも全く気にしない。
「可愛げが無いとも言われそうだけれど、寧ろご心配だったでしょうに」
《いえ、如何に自分に直すべき部分が有ったのかと、そう良く聞かれましたので。もう、あの時の様な事は無いに越した事は無いと思っています》
『ごめんなさい』
《いえ、元は周りのご教育が遅れ過ぎた事が原因です。仕事にかまけ子育てを疎かにするなら、親を試験し、子供を幾人持てるか決める、嫌なら躾けをしっかりとしろ。貴族の方が問題視した事で今はかなり良い子が増えましたし、子は親の鏡、問題を起こした者の殆どは中央から去りましたので。寧ろ、そうして他所で、ご迷惑をお掛けしてはいないかと心配している程です》
『あ、まさか火棘、郁久閭・紗那って名に覚えは?』
《私は詳しく聞いてはおりませんが、注意せよとは伝えられておりますので、もしかすれば当時の騒動に関わってらっしゃるのかも知れませんね》
『ズルいですね、言わないなんて悪意を感じます』
「どうせ評判は落ちるだけなのに、まぁ、だからこそアレなのでしょう」
《そろそろ彼について尋ねるべきでは》
「そうね」
《はい、では》
花霞に全く相手にされなかった男は、幾人かの子女の策略により、意中の相手とは違う者と体の関係を持ってしまったらしい。
しかも複数回、複数人と。
『んー、そこが不思議なんですよね、ご実家は何をしてらっしゃったのか、と』
「もしかしたら適当な相手に子を産ませても問題は無い、とでも思ってたんじゃないかしら」
『あー、元は貴族、今は商家だけに絞ってますが、衛巡警士や学問でも名を馳せていた名家だったそうで』
「何か有っての事なのかしら?」
《お妾様が多く居過ぎて破産しかけたそうです、そうして財産も名誉も散り散りとなり、先代当主様が何とか建て直したそうですが。当代のご当主様の噂は、特に、聞く事は無いですね》
つまりは平凡で凡庸な者だとも言えるが。
維持しているともなれば、そう知恵の回らぬ者でも無い、とは思えるが。
「あぁ、遅く出来た子なのかしら」
《はい、そうお伺いしております》
『あ、え、じゃあ先代さんだと思ってた方がお父様?』
《左様で》
『あー、ヤベ、失礼しちゃったかも』
「まぁ否定しない時点で分かってるんでしょうよ、どう見られるか、どう思われるか」
《後妻のお子様でらっしゃるそうですから、ご苦労も有るかと、ですので特に姚家で手を打つ事はしてはおりませんでしたが。今回の場合ですと、あまり公になる事はお控え頂ければ、と》
「そうね、そうさせて頂くわ。今夜にでも、ご挨拶に伺おうと思うのだけれど」
《はい、ご準備させて頂いておりますので、順次来て頂ければ問題無いかと》
『成程、少し時間をずらして移動させますね』
《はい、宜しくお願い致します》
そして俺達は馬車に乗り、臘月達と合流する予定の沙湖茶楼へ。
それから暫く経った頃、馬車の前に乗っている金絲雀が、コチラの戸を開け。
『何か、凄く適当な事を言わせて頂きますが、付けられてる気がするんですよね』
「あら、跟踪狂ちゃんじゃなくて?」
『はい、ソイツは後ろに相変わらず居ますけど、前の馬車です。行く先が同じかもと思ったんですけど、コチラが敢えて少し違う道に入っても、相変わらず前に来る様に走ってるんですよ』
「アナタ、流石、慣れてるわね」
『はい、アレのお陰で撒く方法も何通りか把握してます』
「楽しそうねぇ」
『コレぞ人生、ですから』
金絲雀は単に花霞を面白がっているだけなのか、と。
けれどもどうやら違うらしい。
「アンタ、偵探草紙が好きなのね」
『はいー』
「まぁ、茶楼は園内だから警備隊も居るでしょうし、暫く様子を見ましょう」
『ですねぇ』
私、てっきりルーちゃんと会うのか、と。
でも良く考えたら今はまだ日が出てますし、単なる幼馴染跟踪狂についての話し合いの場かな、とか思ってたんですけど。
「やぁ、金雉、元気だったかい?」
「ウムトさん、何でココに?」
「そら君が船を使いまくってるし、その毛色は目立つからね、船乗りには船乗り独自の繋がりが有るんだよ」
相変わらずの濃い色の肌に、黒髪なのに青い目。
私が言えた義理じゃないんですけど、ド派手。
つか、皆さんドン引きしてるじゃないですか。
「何を言いました?」
「いやね、ちょっと付けてたらね、警戒されちゃって」
「そら後を付けてたら警戒するでしょうよ」
「いや前だよ、前を走ってただけ、あの跟踪狂が後ろだったからさ、何かソイツの更に後ろは嫌だったんだよね」
分かんない、本当に分からない、何を考えてるんですかねこの人は。
ぁあ、宝貝が有るか。
いやでもココで出すのも。
ルーちゃんが居てく、いや居るじゃないですかウチに気が読める方が。
「あの、何をしに?」
「割符の事が正しく伝わって無いかもと思ってね、迎えに来たんだよ」
第三勢力。
いや、モテモテ過ぎですよ私、何ですかこの状況は。
「あの、複婚は流石に」
「うん、正しく意図が伝わって無いね、コレは僕の息子達を紹介する為の割符。生憎と僕はもう新しく迎え入れる気は無いんだ、最初からそう伝えていた筈なんだけれど、どうやら警戒されてしまったらしいね」
「そら警戒するでしょうよ、しかも異国に嫁がせるのは流石に不本意かと」
「それはどうだろう、あまりに複雑な状況なら、却って僕の所に来た方が良いんじゃないかな?」
一理ある。
「ですが複婚は」
「僕に似ない子達でね、複婚はしないと言い張る子達が殆どなんだよねぇ、大体半分位」
「何人居るんですか」
「あ、知りたい?」
ぅうん、気になる様な、聞いたら深みに嵌まりそうな気が。
「ちょっと、確かに状況が複雑なのは認めますので、自己紹介を」
「あぁ、失礼、東海の商隊のウムト、家名はバフール、乳香か沈香を意味する家名だよ、宜しくね」
「何をどう宜しくしろと」
「まぁ、色々だよ、色々」
どうしたもんか、と周りに目をやると。
金絲雀はキラキラしてますけど、薔薇姫は眉間に皺が寄らない様にしつつも、小鈴と共に困惑の表情を見せてますし。
臘月様、どうにかして下さい臘月様。
『これはこれは面白い事になって参りましたが、取り敢えずは座ったら?』
「あ、うん、ですな。座りましょう、薔薇姫様、翠鳥」
そして席に付き、茶楼の方が用意して下さったお茶を淹れるのは、金絲雀。
活き活きしてますね、活魚も真っ青の活き活きっぷりですよ。
『はいどうぞー』
「どうもー」
『いやー、コレで出揃いましたかね?』
「いやどうなんでしょうね、もう私が把握してなかった者も含め、出揃ってるとは思いますが。どうなんでしょう、ウムトさん」
「把握して無かった、ってのはちょっとね、僕にも知らない事は有るからね?」
「あー、陸の事は疎いですか、成程」
「まぁね」
ルーちゃんはお馬さんで移動してるっぽいし、ウムトさんでも流石に把握は難しいんですかね。
「で、本来の集まりの目的は?」
『そらアレの事ですよぅ、ココの跟踪狂、万が一にも事がバレて騒動になっては困りますから』
「そう動きますかねぇ」
『実はですね、金雉の知らない事が』
「金雉か、良い字だね金雉、他には四家でどんな字を付けられたのかな?」
「いや話の邪魔をするなら部屋から追い出しますよ?」
「すまないすまない、後でじっくり話そうね」
『で、跟踪狂は童貞じゃないです』
何を言ってるんですかね、私は処女ですよ?
「ん?」
『跟踪狂はご実家の計略か何だか知りませんが、どうやら子女に手籠めにされたので手を出さないで見守ってたのでは、と』
何故。
「何故?」
『ほら、アナタが言ってたのを耳にしたのでは、と。遊び人は有り得ない、童貞しか相手にしませんよ、と言うか童貞でも相手にするかどうかはしっかり選びます。って気軽に声を掛けて触ろうとして来た殿方を大通りで捻じ伏せて、大声で言ってたじゃないですか、アレですアレ、聞いてたんだと思います』
「いや、だとして、手籠めにされたのに何でまだ私の跟踪狂を?」
『ココからは予想ですが、子女達にお子が出来なかったので、未だにアレなのかと。それに、まだ諦めるには何もしてはいませんからねぇ』
「そこなんですよねぇ、贈り物は商店を通して茶葉や乾物をくれるだけで、恋文すら貰った事も無いので」
『それも、アナタが懇々と言い含めていたのを聞いてたんだと思います。ただ好きと書けば何処が好きなのか詳しく書いてみろ、最低でも10個、と赤筆で注意書きを施し店の前に張り出したり。10個書いたら書いたで私は違いますが、誰かとお間違いなのでは、と駄目出ししまくった恋文を張り出したり。アレでは阿呆で度胸の無い者は、やはり見守るしか無いかと』
春蕾さんが目に見えて凹んでらっしゃる。
そうですよね、ある意味では跟踪狂だったんですもんね。
「いやでも、薔薇姫様、私は悪く無いですよね?」
《まぁ、そうね、正直に書いただけなのだし》
『でも諦めるには、確かにそうですね、足りないと言えば足りないのかも知れないですし』
『そもそも諦める気は無い、か、そうなると非常に危ないのは金雉です』
「そう言えば君のお菓子が出ていたね、確か」
「ウムトさん」
「はいはい」
『で、どうするか、なんですがー』
《ココからは僕が、良いかな》
「はい、宜しくお願いします」
《ご実家や周りに確認しに行ってみたのだけれど、概ね真実の様に思えたよ》
「成程」
《だからこそ、最も穏便に済むのは、君が彼に伝える事だと思う。勿論、2人きりにはしない、護衛と侍女を付けて話し合いに挑んで貰おうと思う》
まぁ、向こうの世界でも正しい対処の1つだと聞いた様な気がしますけど、コチラから接触する事で刺激を与えてしまうかもで。
となると、黙ってた方が良い気もするんですけど、埒が明かないと言えばそうですし。
「護衛って」
《道士と映日果に任せようと思う》
つまりルーちゃんと春蕾さんですか、成程、つまりは毒を以て毒を制す。
跟踪狂には跟踪狂をぶつけるんですね、成程。
『ぶふっ』
「あ、包々、風邪ですか?」
堪えてたんだけどさぁ、花霞が成程、って顔しやがったから。
つい。
『もー、クソ、何でお前、良い案だ、とか言う顔をガッツリ出すんだよ』
「あ、すみません、出ちゃってましたか、失礼しました」
『否定しろよ』
「けどだってこれ以上の采配って有ります?」
『無いんだよなぁ』
腕が立つ春蕾に、如何にも強そうな道士。
けどさぁ、どっちも跟踪狂っちゃあ跟踪狂なんだよな。
全員、跟踪狂って。
ダメだ、また笑いそうになる。
「なら僕も関わりたいなぁ」
『ぐふっ』
居たわ、もう1人の跟踪狂、跟踪狂親父。
凄いな花霞、オモロ。
『あのー、包々様、分かってます?最悪は誰かが死ぬかもですよ?』
『そこは心配すんだな金絲雀』
『金雉が死んだら笑えませんから』
「そうねぇ、跟踪狂殺人は未だに有るもの」
『ソッチ、いや殺すのは道士か映日果だろ、寧ろ餌食になんのは向こうじゃん』
「それは後味が悪いので無しで、彼も私の毛色の被害者でしょうから」
『それは優し過ぎじゃね?下手すればマジで襲われてたかも知れないんだろ?』
「いや、そこまでの度胸が無いからこそで、ただ知られてしまったらどうなるかは分からないので対処はしますけど」
『穏便に、ですよねぇ』
「うん、はい」
「なら僕は遠くから第2陣として見守る方が良いかな」
「出来ればそうして頂けると助かりますわね」
「じゃあ我慢する対価は、金雉との対話だ、あのお菓子は君の案かな?」
「いえ、薔薇姫様と翠鳥と話し合って出来上がりました。私に合う薬草は限られてるので、飴の事から広がって、ですね」
「そう、利益はちゃんと貰ってる?」
「はい、そこは大丈夫です」
金絲雀が関係者だとは言わないんだな。
つか俺らも食ったけど、龍鬚糖より美味い気がすんだよな、香ばしくて。
「龍鬚糖より売れてしまいそうだよね、香ばしさと深み、風味が良い。狙われる心配は無いのかな」
「そこも大丈夫です、私の名は表に出て無い筈ですから」
「うん、ウチの子にならない?」
「異国なんですよね?言葉が通じないのでは?」
「いや、僕の子は優秀な者が多いから、この国の言葉を話せる者は多いよ。それとも文も完璧な子が良いかな?」
「いや、風習とかそもそも知りませんし、良いも何も判断材料が無さ過ぎるんですが」
「あぁ、あんなに小さかった子がこんなに大きくなって」
「倍にはなりましたからね、背丈」
「中身もだよ、昔は何故、しか言わなかったじゃないか」
「そらいきなりウチの子になれと言われれば何故と問うかと思いますが?」
「いやね、結構直ぐに返事をする子が多いんだよ。イヤと言うかうんと言うか、それかモジモジと大人の後ろに隠れるか、その中でも君は凄く度胸が有って賢かった。なら賢さも必要とされる商隊が求めるのは、当然だろう?」
「もう少し早く言って頂ければ返事を直ぐにも返せましたが、コチラにも事情が有るので、もう少し考える材料を下さい」
マジで商隊の息子の嫁案も考えてんのか。
まぁ、厄介事が一気に増えたもんな。
「よし、なら近いウチに改めて場を設けるよ、片が付いたらで良いかな?」
「悠長ですね、そこまで本気では無いのならお断りしたいんですが」
「君は優しさも有るからね、万が一にも跟踪狂に心を寄せるとしたら、また少し僕の方は作戦を練り直さなきゃならない。ただ、君の幸せが最優先、無理強いは無意味だからね」
コイツ、コッチの情報を何処まで持ってるか分からないな。
つか臘月殆ど黙ってるけど、もしかして気が読めないのか?
『蝦餃は良いの?』
《決めるのは金雉だからね、任せるよ》
「じゃあ後日でお願いします」
「楽しみしてておくれ、じゃあね咪咪」
幼名知ってるのかよ。
『教えたの?アレ』
「いえ、兄に咪咪と呼ばれてた時に出会ったので、にしても良く覚えてるもんですねぇ」
『そら毛色が毛色でしたし、大人しい良い子でしたから、冗談でも誘拐しようとか言う大人も居たそうで、街八分にされかけてましたよ』
「そら大人同士もピリピリするわよ、成程ねぇ」
「あ、で、どうしましょう?さっさと終わらせたいんですけど?」
「一応、ご両親ともご相談させて頂こうと思うのだけれど、その前でも良いの?」
「あー、親心としてはどっちが良いんでしょう」
「そら相談して欲しいに決まってるじゃないの」
『そうして下さい、流石に私も怒られたく無いので』
「あぁ、じゃあそれで」
『店で妲己さんが夕餉に招くかもと仰ってたので、お宿でお待ち頂くのが良いかと』
「あぁ、じゃあそれで」
『はいー』




