57 感想戦。
『有り得そうっちゃ有り得そうだけど、何で俺も落ちてんの』
「関係性が安定してるからですよ。下手に嫁ぐより、別荘地の管理と子育てを見知った者の中で行う方が、楽では?」
『確かにな、姑も何も居ないし、そう贅沢がしたいワケでも無いし』
「ほら」
《俺は酷いフラれ方をしているんだが》
「少し酷い世で、酷い目に遭った場合、ですからね?」
『俺らは四家だからまだしも、庶民が貴族に事件を仕立て上げられたら、マジで洒落になんなそうだもんなぁ』
「力が強いとなれば、やはり男性ですからね」
『しかも襲うって言ったら、男が女を、だしな』
「ある程度の状況が整えば、どっちでも起きる事だとは思いますけどねぇ」
『だよなぁ』
《俺は、もう少し穏便に仲良くなりたい》
「そうなると早々に商隊と合流して、誰とも接点が無くなっちゃうかと。今回の想定は比較的酷い感じにしてこそ、ですから」
『それな、何となく分かるわ、平穏だと四家と関わる理由が希薄過ぎんだよね』
《そうだね、何度か問題が起きた時点で商隊へ繋がりを作り、早々に預けて終わるだろうね。神話や寓話、物語にしても、塩梅の調和や均衡が必要だからね》
『となるとさ、王家王族に愚かな子息が居る時点で、詰んでんだよなぁ』
「そこが寓意なんですよ、幸せな結末を迎えました(嘘です)、って事ですよ」
『真っ当に書いたら、ダメか、他の神話と似るし』
「だから、だと思いますよ?」
『でもそうなると創話と神話、どう区別すんの?』
「神様や仙人様に聞けば良いのでは?」
『答えてくれないかもよ?』
「知る資格が無いのだと諦めれば、と言うか知る理由ですよね、ただ知りたいって程度なら教えてくれないのでは」
《そうだろうね、そんな輩を毎回相手にしていては疲れるだろう》
『神様なのに?』
「四家なのに優しく無いんですね?」
『言うなぁ』
「失礼、お口が滑りました」
察するに、花霞様は色恋沙汰に本気で疎い方でらっしゃる。
心中お察し申し上げます、春蕾様。
『コッチがコレだと、向こうはどうなんだろうなぁ』
「ですねぇ、向こうはどうなってるのやら」
休憩時、様子を伺いに向かったんですけど。
雨泽様が仰ってた通り、もう、わちゃわちゃです。
『偶にこうしてお出掛けしようってなったんですよぉ』
《異性装、あの人も似合うかしら》
「アレは化けますって絶対、あー、見たかったなぁ、もっと早く思い付けば良かった」
《そうねぇ、どうにかして機会を作らないとね》
「コッチも見せる気満々」
『若いウチこそですよ』
「あー、似合う限りは、ですよねぇ」
《アナタ、ギリギリまでさせる気なのね》
『まぁ、馴染み方は1番ですからねぇ』
「後は包々だけ」
『絶対、無理そうですよね』
《そうかしら?何か利益で唆せば何とかなりそうじゃない?》
四家に凄い言い草ですけど、利益が絡めばしてくれそうなのは確かに。
ただ、そう欲が無さそうなので利を探すのが大変そう。
『青燕さん、何か情報を下さい』
小鈴のこう言う所が最高なんですよねぇ、我々商家は先ず取り引きを持ち掛けちゃいますから。
『正直、私としても本気で思い付かないんです。怠惰さえ貪れるなら何でも良い、そうした方ですから』
『んー、最近のご興味は?』
青燕さん、何で私の顔をジッと。
《もしかして、本当に》
「えー?友人知人関係だと思っていたんですが?」
『だとしても、ココまで関わる方は珍しいので』
『他にもいらっしゃるんですか?』
『私の知る限りでは、いらっしゃらないですね』
サイコパスすら興味が湧く。
恐るべし、金髪碧眼半陰陽。
あ、いや、もうサイコパスじゃないんでしたっけ。
《よし、お願いなさい》
「はいー」
そうしてコチラで話していた事を話す前に、戻る事になってしまったのですが。
どんだけ見たいんですかね、薔薇姫様。
『嫌、無理』
「ですよねぇ」
先ず利が無い。
てか意味が無いですもんね、異性装。
『何か企んだら春蕾を抑えてやんないからな』
「そこは暁霧さんや臘月樣にお任せしますしぃ?あっ」
妙案を思い付いてしまいましたけど、コレ間違うと、ガチ切れされそう。
『何を思い付いたにせよ実行すんな』
「あー、そう言えば断り難いお見合いって切り札も有りましたね、そっかそっか。麗江に無事に着いた暁には、是非ともお礼をさせて頂かないと」
『碌でも無い事に頭を使うな』
「いや最初は靈丹妙藥を私も探し出して、雨泽樣に駆け引きを、と思ったんですけど。お見合いの方が嫌ですよねぇ?」
『いや自分に使えよ』
「勿論私のも確保して、ですよ」
『それが何で交渉材料になんのさ』
「心持ちが大きく動く大変さを理解してるからですよ、また無くした方が楽だと思うのも良く分かりますし」
冷静に恋が出来るもんなら私もしてみたいです、本当。
マジ無理。
《花霞は、嫌なのか》
「え?あ、いやいやいや違うんですよ春蕾さん、好意が嫌とかじゃなくて、冷静さを失うのが怖いと言うか。愚かな部分も大いに有るので、ご迷惑をお掛けするのが嫌なだけです」
『コレ拗ねてんの、女装してる時みたいに喋ってくれないから』
「何と可愛らしい、何を話したいですか?」
《話すより》
『触りたいんだろ、けど我慢しろよ婚約もまだなんだから』
「大きな葛藤が渦巻いてるんですねぇ」
《うん》
「あら可愛いですねぇ、そら雨泽様も構っちゃうワケですね」
『いや野放しはマズいだろコレ』
「我慢強そうですけどね?」
『その分が怖そ』
「あー」
『よし、昼寝だ昼寝、臘月もう半分寝てるでしょ』
《うん、酷く眠い》
「じゃあココは午睡の時間としましょうか」
そう言って花霞は片手を預けてくれた。
手で手を触るだけ、触るだけ。
《ありがとう》
先ずは兔子ちゃんから、そして今は雨泽ちゃんと湯殿で。
どっちも有意義な異性装だったみたい。
『道中の半分は蝦餃の隣に座って、手も握らせて、けど照れて無かったんだよねぇ』
「そら同性の友人知人だって思いでいたんでしょうから、そこじゃない?」
『ソッチも?』
「いえ、けどもう殆ど動物と薬草の事よぉ」
『ずっと?』
「そうよ、ソッチの方に乗ってれば良かったわぁ」
『来れば良かったじゃん』
「アンタに気を遣ってやったのよ」
『またさぁ』
「あの想定、中々に良かったわよね」
『そこそこ酷い扱いじゃね?』
「23の何も無い行き遅れと、26の問題アリ行き遅れじゃ違うもの。それにアレはアレでかなり、私って分かられちゃってるわね、って思ったもの」
『想定から大きく外れて無いのか』
「創話としてはね、私が女なら直ぐに結婚してるでしょうけど、逆に出戻ってるかもだし。そうなったら結局は同じ、付き添いのついでに良い思いをしないかと聞かれると、多分しちゃってるでしょうし」
『ガバい』
「ウブくて利が有るならウブるでしょうけど、最年長だもの、敢えてそうした振る舞いをする事も考えるべきだとは思うわ」
『花霞を奪う考えは?』
「今の所は無いわねぇ」
『何が良いの』
「面倒が無さそうなのに可愛い所、かしら、雨泽もね」
『俺を頭数に入れんな』
「だってお見合いさせられたら面倒だものぉ、本当、今更他人と暮らすなんて面倒だわ」
『それな、言われて確かにと思ったわ』
「ほら、2人も4人も一緒よ」
『いや全然違うでしょうよ』
「アンタも私も大して欲が無いなら、実質3人分じゃない?」
『直ぐ丸め込もうとする』
「だって考えてもみなさいよ、あの子が誰のものでも無くて孤独死するかも知れないってなったら、引き取るでしょ?」
『答えない』
「あらじゃあ私に譲ってくれるのね、流石優しいわねぇ」
『はぁ、上がる』
「そうね、長湯は体に悪いもの」
今の私には全くその気は無いけれど、性別が逆になって声を掛けられちゃったら、フラっと行きそうなのよね。
私自身、しっかりしてるワケじゃないからこそ、こうして見事に行き遅れたのだし。
『ねぇ、性別が逆だった、と思う?』
「答えが出るとするなら、もう少し先じゃないかしらね」




