僕の恋人
雨と云う物は、女性其物で有ります。私と云う者は、雨に靡くような者で有ります。雨に瑠璃色の花畑を連想し、かくの如し花畑に朽ちるように倒れ、眠りたい。棺桶の中であるように静かに。私の愛した雨は激しい印象が御座います。私がマゾヒズムを持ってはいないので、私は其中で身体中を嬲られると云うことは、少々抵抗が御座います。しかしながら、私はその激しさが好きで有ります。その激しさの破壊力ではなく、一つ一つの粒が鉄砲の弾丸のように降り注ぎコンクリに突き飛ばされるように弾かれ、死んだように、高いところから低いところへ流れていく。そんな性格が好き。私の心に豪勢を降らせる雨に私は心底虜にされたので有ります。
でも、君は直ぐに消える。私の傍から。まるで次元がもう違くなってしまったように、君は消える。私の心に流れるガソリンが君の哀愁に感化されて、私はもう再起不能になるかもしれない。今度はいつ来てくれるの?君の雲は今度はいつ見えるの?君との黄金の時間はまた来るの?入道雲が立ち込める日は君が来てくれることは、私は知っている。しかし、私の体は君との再会が予測がつかない。僕の生きがいはもう君だけなんだよ。君の雨粒が私の血液を侵している。君なしではもう駄目なんだ。私は君に依存した。とんだ迷惑だ。薬中のスパイラルのように、私はもう駄目だ。でも、君が居るだけで幸せ。君が僕の目になまめしい雨粒を映してくれるだけで、僕は嬉しい。君が居る時は、君の後に出る虹よりも綺麗な、僕の中で悠久に生き続ける彫刻が有る。