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第二十七話 大発見

「話し相手の交換だ。早速だが、この金はお前のか?」


 掴みかかろうかとしているルームメイトを抑え、お縄についた魔族を見ながら質問をする。しかし、その返答は期待していたものではなかった。


「え~と、そのアイテムボックスは私のものです。中に入っているお金も私のもののはずですが。けど、まさかそれが偽物だったなんて。私もてっきり、本物のお金が入っているとほんの数分前までそう思っていました」


「悪人は皆そう言うんだ。さあ、駄菓子屋へ行くぞ」


「待て待て。もう少し話を聞いてからでもいいだろ。俺たちは冤罪の危険性をよく知っている、そうだろ」


「まあ、経験者ではあるな」


 身をもって知ったことだからこそ、彼女もようやく落ち着いて話を聞く気になったらしい。いまだに縄は持っているが、椅子に腰をおろして聞く体勢はとってくれた。


「それで、何か心当たりはないのか? いきなり偽金貨に変身するとは考え難い」


「心当たりですか。正直なところ、ありまくるんですよね~」


「思わず寝っ転がっちゃてるけど、そんなに恨みでも買ったのか?」


「私が何かをしたわけではありません。ただ、私の血統があまり望ましくはないものなんです」


「気配からして、お前は半魔族といったところだろう。半魔族はそこまで珍しい存在でもないだろう?」


「確かに、半魔族なら問題はなかったのかもしれません。けど、私は半魔族と半魔族との間に生まれた存在です。いわゆる、クオーターですね。魔族の中でも、特に保守派の方々は血統を強く重視しています。保守派の方々にとっては、純血が一番、ハーフが二番、クオーターは論外、といった感じです。困ったことに、私の上司にはそういう方々が多いんですよね」


「なるほど。そんな奴らからすれば、お前は歓迎されない立場だな」


「そうなんですよ~。普段から大人げない扱いをするとは思っていました。でも、今回は特に変だったんですよ」


「変、というと?」


「この際だから言っちゃいますけどね、この学院には元から内通者がいるんですよ。なのに、わざわざ私に、この学院の調査を現地で行えっていう指示が下ったんです。その時はあまり考えずに受けましたけど、振り返ってみれば、上手く働いてくれれば儲けもの、失敗すれば切り捨てる。そういう風に考えられていたんだと思います。でなきゃ、余計な人員を割こうとはならないはずです」


「案外お前も、苦労の多い生き方をしてきたんだな」


「もう慣れちゃいましたけどね。それに、あまりにウザったかった上司に対しては、隠密魔法でこっそりかつらを取って懲らしめましたから」


「純朴そうな見た目に反して、意外に腹黒いなお前」


「腹黒いとは心外です。血統だけを見て私を見なかったから、心を鬼にして嫌々制裁を加えただけです」


「色々と衝撃的な発言があったわけだが、お前はいつまで黙っているつもりだ」


 一切会話に入ってこない俺に対して、ついにルームメイトが直接尋ねてきた。

 決して、会話の内容に興味がなかったのではない。目の前の会話以上に、全力で俺の注意を引くものを発見してしまったのだ。


「これ、入っていたんだけど」


「おま、それ!」


 初めて彼女が動揺している様子を見たが、その気持ちは実によくわかる。しれっと、縄に縛られながらも座りなおした魔族も、目を輝かせている。


「アイテムボックスに入っていた」


「夢にまで見たお金じゃないか!」


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