第6話
前回までのあらすじ……王都は完全にモンスターたちに掌握されてしまった。ギルドハウスにマリンさんを残り俺達を逃がしてくれた。残り少ない魔力で移動魔法“ブースター”を使い一気に村まで向かう。
―――一方、魔物の襲撃にあっている村では…。
「くっそ、敵の数が多すぎる!!」
ガイは襲い来るヘルハウンド、デーモンを薙ぎ払い、得意の火魔法で焼き払うも、尋常ではない軍勢に手を焼いている。
「どうしてこんなことが急に……?」
キサラも主婦をやっていた身ではあったが元はガーディアン。ガイに引けを取らない程の実力で軍勢を押し返す。
ググググ……
デーモン、ヘルハウンドは呻き声をあげると、斬られた傷が回復していく。
「ちっ、回復までそなえてやがる。こんなことできんのは、魔人しかいねえ!」
「その通りですワ。今日こそ年貢の納め時よ、赤髪の」
ヴンッ……と、ワープの音とともに舞い降りる黒い影。そしてその影は一つや二つではない。
「今こそ魔王様復活の時。我々はこの時を待ったのですワ。見なさい、これを」
女の魔人は掌でくるくると血のように赤い石をこちら側に見せてくる。
「まさか……“レッドルビー”」
オホホホと高笑いし、肯定する。
「その通り。魔人の闇の力を注いでるから、今は“ブラッドルビー”よ」
ガイの顔は青ざめていた。
「どういうことだ。レッドルビーは完全なる封印を施されていたはずだぞ。賢者でもないかぎり、それは……」
ニヤッと魔人は微笑む。ガイもハッとなり感ずく。
「気づいたようですワね。その賢者が、私達に力を貸してくれた、としたらどうかしらね?」
魔人とともに召喚された影は被っていたフードを外す。見まごうはずもない、封印を施していたはずの賢者たちの姿だった。ただ、目が虚ろで、どこを見ているかわからない。
「操られている……!?」
「ウフフフ。さ、長ったらしいお話もここまでだワ。いよいよ魔王様復活の時よ。刮目なさい」
ブラッドストーンを高く舞い上げる。すると、血のように真っ赤な煙が立ち上り、たちまち空を不気味なほど赤く染めあげる。
すると、倒されたヘルハウンド、デーモンだけでなく、殺されてしまったガーディアンズ達から赤い粒のようなものが吸い込まれていく。
「ブラッドストーンが血を吸い、喜びをあげているワ」
「やらせる……かァ!!」
ガイはリオナと同じ、シフトアップを用い、魔人へと一気に詰め寄り斬りかかる。キサラも援護の水の上級魔法で援護する。
ガキィイイン!!
大きな金属音が鳴った。だがそれは、血液による結界。ブラッドストーンの力により弾かれる。
そしてキサラの上級魔法も、結界に吸い込まれ、完全に無効化されてしまった。
「そ、そんな……」
ククク、と魔人は嗤う。
「そんな悲観しないでちょうだい。ブラッドストーンは今まさにその力を解放しようとしているところよ。その瞬間は、誰にも阻むことができない。それだけだワ」
その魔人は、ブラッドストーンに集められし血の力を、指先に集める。
「―――さぁ、いまこそ、顕現する時です!!我らが魔王!!」
集めた血の力を、赤く染まった天空へと放つ。みるみるうちに暗雲へと変わっていき、雷鳴が響く。そして、放たれる禍々しいオーラ。
ガイとキサラでさえ汗が噴き出す。ただ、彼ら以外の生きているガーディアンズはそのオーラだけで足が震え、発狂しそうなほどの殺意に動けなくなるものもいた。
カッ!!
大きな雷が目の前に落ち、大地を抉る。
―そしてその雷の落ちた場所に、“ソイツ”はいた。
どす黒い闘気を放ち、舞い降りた。
「お待ちしておりました……魔王様」
読んでいただきありがとうございます!
次回へ続きます。