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Red Hearts  作者: Y
3/9

第3話

前回までのあらすじ……キャラクリも無事終え、赤坂リオ(男)だった俺の名はリオナ・レッドハート(女)として人生再スタートしたのだ。

―――翌日。


「リオナちゃーん!学校いこ~!」


遠くから甲高い声が響く。幼馴染が呼ぶ声がする。


「いまいくよエアリスちゃん!」


「いってらっしゃいリオナ。学校でも元気よくね。ケガしちゃだめよ?」


キサラ……いや、母さんが俺の事を気遣ってくれている。まあ、娘だしな。この感覚はやっぱ気持ちいいし、あったかい。


「うん。いってきます、お母さん」


母さんに笑顔で手を振り、俺を待つエアリスへと駆け寄る。そしてエアリスとの他愛のない会話が始まる。元男子の俺だが、六年も女子やってればいい加減それらしい会話ができるようにもなる。ああ、仕事しなくていいって最高だな、小学生って……。








学校に到着。とはいっても、村に設立されている学校であり、その実態は民間による運営でできているものだ。コンクリートに囲まれたものではなく、木造でできた公民館だ。そこを学習の場所として設けている。

そこで習うことは、前世の教科っぽく言うなら国語、道徳、美術、体育ってところか。それぞれの授業にはもちろんこの世界にはなくてはならない、魔法を用いた応用的な授業も組み込まれている。


……いやしかし授業楽しいなおい!


楽しすぎて泣けてくる程だ。泣かないけど。

小さな学校で、入校している友達も十人程度しかいないが、最高の一言だ。常に幸福に満ちている。生を実感している……。


「さぁリオナさん、次はあなたの番ですよ」


マール先生に呼びかけられ、はい!といい返事で答える。

そう、今日は魔法を用いた体育の授業。この時間が一番楽しい。実は俺はこの六年間、なんとオギャアの頃から自分の能力について向き合ってきた。


「いきます!」


射的に手を向け、意識を集中させる。今日までに練習してきた、あの魔法、いっちゃおうかな。




すぅ~……


はぁ~……


掌に極小の魔法陣を展開。的に炎を集め……圧縮……イメージ……。


「―ここっ!」


カッ!


ボオォォオオンッ!


強い光とともに、爆発が生じた。そう、これこそが俺が練習してきた魔法、名付けて“エクスプロージョン”だ!


「……り、リオナさん……やりすぎ……」


……そう、やりすぎた……先生に言われなくてもわかってる。半径4mはゆうに吹き飛ばしてしまった。


「ご、ごめんなさい……張り切っちゃいました……」


廻りの男子や女子がざわつく。

先生は立ち上がり、ぽんぽんっと服についた埃を払う。


「……リオナさん、あなたの魔法はとても素晴らしいです。私たちが詠唱を必要とするところを、無詠唱でやってのけ、それどころか新しい魔法も作ってしまう。将来は王宮所属の賢者となるのも夢ではないでしょう、ですが、無暗に使ったり、ましてや人に向けて使ってはなりませんよ。あなたの魔法には、それだけの力があるのですから」


「うう、ごめんなさい。反省します」


ぺこぺこと頭をさげ、謝罪を繰り返すが、先生は頭をなで、笑顔で俺を慰める。


「すごいのは本当よ。使う場所を間違えちゃだめ。それだけは覚えておいてね」


たしかにそうだな。そこだけは誤っちゃいけない。どう考えたってあぶねぇしな。前世の記憶がなかったら歯止めがきいてないところだった。セーブしといてよかった。少し離れてステータス見てみるか。


「ステータス」


どっかで読んだマンガとかを参照に魔力トレーニングを日頃行ってきたが、えげつねぇな。他の人間の能力が見れないのが参照しにくいところだけど、最初Dだった俺の魔力はBランクにまであがっている。


「この魔力試すならやっぱ実践しかねぇのかなぁ……」


「どうしたの?リオナちゃん、さっきからぶつぶつ」


ふいに呼びかけられた声に驚き振り向く。


「エ、エアリスちゃん、びっくりしたぁ……」


ふふっ、といたずらな顔で笑いかけてきた。いたずら好きめ。


「それで、どうしたの?」


「うん……」


エアリスには隠し事はできんだろう。俺は思いのたけを話してみる。





「なるほどぉ……たしかに気になるよね。あたしも、リオナちゃんの魔力、気になる!でも、どうするの?どうやって確かめる?まさか、村の外へ……?」


村の外か。単刀直入に言うならそういうことになるな。この世界は様々な魔物であふれている。実力の無い者は魔物によって蹂躙される。人間は村や街で防壁を築き、そういった脅威から逃れてきた。

六歳の俺たちではどう考えても危険すぎる……。


「私のお父さんに同伴してもらうのが一番かなぁ」


「それっ、賛成!リオナちゃんのお父さん、最強の戦士だもんね!」


エアリスもこう言ってる俺の父さんであるガイ・レッドハートは、村の人や母さんに聞いた内容でしかないが、王宮では右に出る者がいない程の実力の持ち主らしい。日頃剣の稽古をつけてもらっているから、なんとなくだけどその強さはわかる。


「帰ったらお父さんに掛け合ってみるね。エアリスもくる?」


「いく!絶対いく!!」


キラキラした目で答えられた。もちろん嫌じゃないけどね。

とりあえず父さんに聞いてみよう。明日は学校が休みだし、父さんも仕事が休みだと聞いているから、多分大丈夫だと思うな。


「日頃の成果を試す時。楽しみだなぁ」


ワクワクする。たまらないな、この感情。早く試したいなぁ。








―一方そのころ―。


「…?」


「どうした?ガイ」


依頼通り魔物をなぎ倒し、仕事を終えたガイは、斬り伏せた魔物から一瞬だけ感じた魔力の違和感に、体が反応した。


「いや……気のせいだ」


気のせいとはいったものの、謎の違和感に思考を巡らそうとする。


「気のせいなんだろ?それに、お前がいるからいざって時も大丈夫だろ」


数々の魔物を薙ぎ払ってきたガイ。若干の不安はよぎるものの、


「俺だけじゃないさ。みんながいればこの国は大丈夫だな」


そう、自分の心に言い聞かせるように戦友と話す。


―――ガイのこの選択が、不幸への入り口だとも知らずに。

読んでくださりありがとうございます!

次回へ続きます!

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