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寿命の蝋燭を消された男は神の手によって異世界へ  作者: くろとら
第3章 雨の日編
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24話 フルーツケーキ


「あ・・・・・・、アヤさんそう言えばみんなはどうしたの?」


「シルちゃんは部屋で魔法の練習してると思うけど、シリカちゃんとリーフェスちゃんは春馬くんが降りてくる随分前に外に出て行ったよ」


「こんな、雨の中よく出掛けたな・・・」


「なんか、行きつけのお店で新作のお菓子が発売されたから、買いに行ったみたいだよ」


そう言えば、王都に帰ってから2人の行きつけのお店の亭主ミナミさんとフルーツケーキを作ったんだったな。まぁ、作ったと言っても俺はレシピを考えただけで、大まかな作業はミナミさんがやってたけど・・・。

因みに完成したフルーツケーキは日本で食べたことがあるフルーツケーキより格段に美味かったことを覚えている。そして今日本格的にそのフルーツケーキを販売するらしい。


それにしても、よくこの大雨の中スイーツのために外に出ていったな・・・。本当に女子のスイーツの執念が恐ろしいよ・・・。


「ただいま〜、あー、結構濡れちゃったよ」


「ただいま」


2人のことを噂していると、タイミングよく2人が帰ってきた。2人は今まで差していた傘をたたみ、入口の傍に置いた。

因みにこちらの世界には日本同様傘という物は存在する。傘と言っても布製で日本の傘より水を吸収しやすく、使いやすい傘だ。


「二人ともお帰り〜、お目当ての物は買えた?」


「この、雨のおかげで並んでいる人が少なくって、楽に買えたわ」


アヤさんの質問にシリカが手に持っている袋を見せながら答えた。


「はい、この2つがアヤさんとミツリさんの分」


「ありがとうね。代金は後で返すから」


シリカは袋から白い箱を2つ取り出し、アヤさんに渡した。どうやら、この2つの箱はアヤさんとミツリさんの分らしい。


「それで、残りの6つは誰のなんだ?」


「3つは私とリーフェスとシルのよ。そして、最後の3つは公爵様たちのよ」


えっ?公爵様たちのも買ったんだ・・・。ってか、普通にスルーしたけどなんで俺の分は買ってきてくれなかったんだろうか?普通に食べてみたかったのに・・・。


「それじゃ、よろしくね春馬」


「えっ、何が?」


シリカはそう言うと、俺に残りの3つのフルーツケーキが入った袋を差し出してきた。


「フルーツケーキを公爵様たちに届けるのよ。アナタの「ワープゲート」があれば楽に行けるじゃない。それに、雨にも濡れなくってすむし」


「いや、まぁ、そうだけどさ・・・」


確かに、シリカの言う通り、この場合は俺が届けた方がいいよな。でも、なんか、シリカの思い通りに動かされているのは少し納得いかないけど・・・。

まぁ、仕方ないこれ以上シリカと言い争っても勝てる気がしないし、行ってくるか・・・。


「一応、さっき作ったオセロ盤をお土産に持っていくかな・・・」


こう雨が続くと流石の公爵も暇を持て余してと思い、さっき作り終えたオセロ盤をお土産として持っていくことにした。持っていく前に取り敢えず、マス目などがズレていないか、オセロの石の数が間違っていないかを確認した。


「さてと、じゃ、そろそろ行ってきますね」


「ワープゲート」


俺はフルーツケーキが入っている袋を手に持ち、」ワープゲート」で公爵家に向かった。一応「ワープゲート」を繋げた場所は人目につかない裏庭にしておいた。


「うん?お・・・おお〜、春馬くんか。いきなりでビックリしたよ。今日は一体どうしたんだい?」


「あーー。実は、シリカたちがフルーツケーキを買ってきてそれを届けに来たんですよ」


「なるほど。まぁ、こんなところで話すより中に入ってゆっくりと話そう」


ワープゲートを繋げた先の裏庭には何やら作業をしている公爵がいた。公爵に簡単に事情を話した後、俺は公爵家の中に引き込まれていった。






「この、ケーキ本当に美味しいです!!」


「コラっ、スズネ。もっとゆっくりと食べなさい。それにしても、本当に美味しいわねこのフルーツケーキというものは」


公爵によって、客間に通された俺は3人にフルーツケーキを差し出した。スズネとテラーザ様はとても美味しいそうにフルーツケーキを食べている。


「良かったら、今度このレシピを教えましょうか?」


「是非お願いします!!春馬さん!!」


「えぇ、私からもお願いするわ」


俺の言葉に、スズネが凄まじい速さで反応した。ってかスズネ涎が垂れているぞ。一応拭いてから喋った方がいいんじゃないか?


「ほぉ〜、これが今バンバ町で噂になっているオセロというものか・・・」


2人がフルーツケーキにハマっている中、公爵だけはフルーツケーキにハマらずオセロに興味を持っていた。


「ええ。一応、このオセロというゲームは2人でやるものなんですが、どうですか1戦やりませんか?」


公爵がオセロ盤を眺めている前に、オセロ盤を広げ、オセロの石を分け始めていく。


「では、簡単にやり方などを説明しますね。それぞれ黒か白の石を選んで、こうやってはさんで行き、どんどん自分の色を増やしていくんですよ。それと───」


「なるほど・・・」


俺は、オセロの簡単なルールや、やり方を公爵に説明した。公爵は飲み込みが早いのかあっという間にルールややり方を覚えてしまった。


うむ。公爵はいつか強くなるな。確実に。





「もう1戦だ!!もう1戦だけやらせてくれ!!これで、最後にするから」


公爵はまた同じセリフを俺に言ってきた。こうオセロを始めてから公爵はズッポリとオセロにハマってしまった。しかし、ハマったのはいいが、俺はこうして延々と公爵との勝負に付き合わされていた。

先程まで、俺と公爵の勝負に夢中になっていたスズネとミツリさんも今はソファーの上で親子仲良く睡眠をとっている。


それにしても、この世界には娯楽というものが少ないんだな・・・。普通オセロはこんなにハマるものではないしな。


「よ・・・よっし!!ようやく、春馬くんに勝てたぞ!!今度、兄上にも勧めてみよう!!」


結局俺が公爵に開放されたのは、深夜になってからだ。俺が薦めたのが悪かったのだが、こんなに公爵が負けず嫌いだとは思わなかった。今度公爵とやる時は手を抜いてやらないとな。


ってか、もう雨もやんで、綺麗な星が見えるよ。

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