18話 お礼
「君たちには、本当に世話になった。感謝してもしきれないほどだ。最愛な娘だけではなく、妻まで救ってくれ・・・・・・本当にありがとう」
テラーザ様の解呪を成功してから、俺たちは応接間に移動した。そして、応接間で公爵が俺たちに向けて深々と頭を下げた。俺は今日1日で一体何回公爵に頭を下げられているんだろう。
因みにスズネはテラーザ様の寝室にいる。そして、この応接間に通された俺たちは、明らかに高そうな椅子に座り公爵と対面している。
「本当に気にしないでください。だから、頭を上げてください。俺たちは人間として当然のことをしたまでですから」
「いや、それじゃ私の気がおさまらない。君たちにはちゃんとしたお礼をしたい。カイムアレを持ってきてくれ」
「かしこまりました。旦那様」
公爵は後ろに控えていたカイムさんに何かを持ってくるのように指示を出した。
カイムさんはどこからか色々な物が乗っている銀色の盆を運んできた。
「では、まずは娘を魔物から助けてもらったことと、ここまでの道中の護衛に対する、謝礼だ。是非、受け取ってほしい」
公爵はそう言い、恐らくお金が入っている袋を俺たちに向けて差し出した。
「この中には、白金貨が30枚入っている」
白金貨と言われても、イマイチよく分からない。だが、他のみんなの様子を見てみると「白金貨」と聞き呆然としていた。
俺は気になり横に座っているリーフェスに声をかけた。
「なぁ、リーフェス白金貨ってなに?」
「白金貨を知らないの?白金貨は金貨の上の貨幣よ。確か白金貨1枚の価値は金貨10枚の価値があるわ」
「金貨10!?」
今までここで生活していて分かったことだが、金貨1枚は日本円になおすと10万円の価値があることが分かっている。つまり、計算すると白金貨1枚が100万円だから全部合わせたら・・・・・・3000万円!?
「いやいや、公爵様。これは、いくらなんでも貰い過ぎです!!こんなに多くの白金貨は受け取れません!!」
3000万円と聞き、俺は慌てて白金貨30枚の受け取りを拒否した。だって、日本でもこんな大金持ったことないし、完全に手に余る金額だ。
「いや、そんなこと言わずに受け取って欲しい。君たちはこれから冒険者として活動していくことだろう。そうなれば資金が必要だ、だからこれを資金に使って欲しい」
「はあ・・・・・・分かりました」
確かに公爵が言う通り、これから冒険者として活動していくのには大金が必要になる可能性がある。それに、公爵の性格してから受け取りを拒否しても公爵はそれを受けつけないだろう。
「それとこれは、妻を救ってくれたお礼として君たちに送ろう」
公爵がそう言いテーブルに置いたのは4枚の銀色のペンダントだった。ペンダントには鷹が羽ばたいている紋章が刻まれていた。うん?あれ?この紋章って・・・。
「これは、我が公爵家のペンダントだ。この、ペンダントがあれば大体の検問を素通りすることができる。更に貴族しか使えない施設なども使えるようになる。更にもし、何かに巻き込まれた時に公爵家が後ろ盾になるという証でもある。簡単言えば君たちのもう1つの身分証になってくれるということだ」
もともと、このペンダントは、公爵家の親戚や使用人たちに与えられる物らしい。そして、ペンダントには俺たちの名前がひとつひとつ単語として刻まれていた。公爵が言うにはこのペンダントを紛失したとき悪用を防ぐためらしい。
公爵の説明を聞く限り、このペンダント確かに役に立つ場面が多くなるはずだろう。これが、あればスズネに会いたくなった時に簡単に会えるし、不正に検問で止められた場合などにも役立つ。とゆうか、いちいち検問で止められるのは面倒だしね。
そして、白金貨30枚の方は正確に分けられないため1人7枚ずつに四等分してもらい、余った白金貨はパーティの費用にすることにした。とゆうか、これ1枚で100万円の価値って・・・もし、落としたら大変なことになるな。
因みに俺を含めて全員がこんな大金持って歩くの怖いと言うことで手元にそれぞれ1枚を残して、公爵家経由でギルドに預けてもらうことにした。ギルドに預ければどこの町のギルドでもお金をおろせるらしい。何とも便利なんだろうか。まるで銀行みたいだな。うん。
そして、近くの時計を見てみると、いい時間だったのでそろそろ、おいとますることにした。それから、玄関に向かうと、スズネとテラーザ様が見送りに来ていた。
「春馬様、今度是非遊びに来てください。いつでも待っていますので。ねぇ、お母様」
「えぇ、本当にいつでも来てくださって結構ですよ。今度はしっかりと、おもてなしをするので」
スズネ、テラーザ様から見送りを受けながら、俺たちは馬車に乗りソードックス子爵の屋敷に向かって行った。




