15話 急な護衛依頼
周りの森の中を探索し魔物が居ないことを確認したあと、軽傷者・重症者の手当をした。手当てが終わったあと亡くなった3人の兵士の埋葬を手伝った。埋葬する際兵士たちの顔を拝見させてもらったが3人とも俺たちと変わらない年齢に見えた。
この世界ではこんな若い人も直ぐに死んでしまうのか。俺は改めてこの世界の危険性を再認識した。
兵士たちの絆は強かったのか、生き残った兵士たちは黙々と素手で土を掘り墓を作り続けた。墓を作り終わり埋葬したあとも全員その場から動かなかった。俺たちは埋葬が終わるとそっと手を合わせ黙祷したあとこの場から静かに離れ馬車の元に戻った。
「春馬様、この度は命を救ってくださり、誠にありがとうございました」
「いえ、気にしないでください。それよりも怪我は治りましたが流れた血は戻っていないので、気をつけてください」
馬車の元に戻ると老人が俺に頭を下げてきた。俺は声を掛け頭を上げるように言った。
「爺やの命を救ってくださり、ありがとうございました春馬様。アナタは私たちの命の恩人です」
丁寧な言葉遣いで、銀髪の少女が俺にお礼の言葉を発した。この年齢でこれだけの敬語を話せるとは余程いい環境で勉学を学んで来たんだな。恐らくどこぞの貴族の娘さんだろう。
「今更ながら自己紹介が遅れてしまい申し訳ありません。私、カナリオ公爵家執事長を務めていますカムイと申します」
「私はガンマの娘スズネ・レーデン・カナリオと申します」
どうやら、俺の考えは当たっており少女は貴族の娘さんだった。俺がそう1人納得していると後ろのみんなは固まっていた。一体、どうしたんだ?
「な・・・なぁ、どうしたんだみんな?」
「どうしたんだ・・・って、なんでアナタは公爵家って聞いて平然としてるのよ!!公爵家よ公・爵・家!!」
「わ・・・わかってるよ。その子は貴族の娘さんだろ?それがどうかしたのか?」
「・・・・・・春馬さん。公爵家は爵位の1番上にあるものなんです。公爵家を与えられた家庭は王族になるんですよ」
え?王族?こんな小さい子が?嘘だろ・・・。
「えぇ、私の父ガンマ・アーデル・カナリオは国王の義理の弟です」
「とゆうことは、スズネは国王の姪にあたるのか・・・」
「・・・春馬様は他の方と比べて冷静なんですね」
スズネの言葉を聞き、後ろを振り返ると後ろで3人が片膝を着き頭を下げていた。えっ、この世界でも王族にはこんなことしないといけないのか?
「えーと、俺もアレをした方がいいのかな?今更だけど」
「いえ、大丈夫ですよ。公共の場でもありませんし。ましてや、命恩人たちに頭を下げさせる訳にはいきませんし」
スズネの言葉に3人は頭を上げ、立ち上がった。しかし、少し緊張しているようで、表情は固いままだった。
「それで、スズネは何でこんな森の中にいたんだ?」
「母上に関することで少し調べものがありまして、それを調べ終わって王都に帰還している所を魔物に襲われてしまって」
「なるほど・・・それは、災難だったな」
スズネは自分の母親に関することを調べに行った帰りでウルフボーイに襲われてしまったようだ。何とも災難なんだろうか。
「それで、スズネはこれからどうするんだ?」
「そのことでありますが・・・春馬様に少しお話が」
スズネにこれからどうするのかと聞いていると、スズネの傍に控えていたカムイさんが口を開いた。
「現在護衛の兵士が3人亡くなり、残りの護衛の兵士も負傷しており、もう一度襲撃に合ってしまった場合お嬢様を守ることはできません。そこで、春馬様たちに王都までお嬢様の護衛を依頼したいのですが、よろしいですか?」
「護衛か・・・・・・。いいですよ、俺たちも目的地は王都なので」
「私もいいわよ。流石にここで見捨てる訳にはいかないしね」
「私も構いませんよ」
「私は乗せってもらっている身だから、判断は春馬に任せるわ」
カムイさんの急な護衛依頼に対して、全員賛成した。
「ありがとうございます、春馬さん!!」
スズネはそう言って満面の笑みを浮かべた。




