5話
「ミアとトトは、このかご持ってね。ザシィはこっち」
「「「はーい」」」
今日は、洗濯物を川から運んで干すお手伝いだ。村から川まで20分は、蛇口ひねって水の出た前世を経験してると、面倒だな。日本ってすごかったんだな。そういえば、父母は、元気にしてるだろうか。あやと遊ぶ約束もしてたな。
「ミア、どうしたの」
「何でもないよ」
危ない危ない、目が潤んじゃってた。昔も幸せだったが、今だって獣人に囲まれて幸せなのだ。そうだ、昔読んだ小説のように、過去の記憶を使って改善すればいいんだ。
急いで手伝いを終わらせて、木の棒をもって広場に来た。
「今日はなにするの?」
「お絵かき」
まずは水道だけど、水道は作れないだろうから田んぼみたいに水が引けたらいいな。引いた水はまた川に戻るようにしてっと、でも材料どうするよ。その後も思い出すが、材料がとか技術がとか、壁が多かった。
小説のように、うまくいかないか。もっと真面目に、社会とか受けとけばよかった。これから、私でも改善できること探しながらすごそーっと。結局、解決策が見つからず、自分の無力さにむしゃくしゃしたので、思いっきり鬼ごっこして、寝た。
「ミア、朝よ。起きなさい」
「いまおきるー。ザシィ朝だ…」
あ、2歳になったから、それぞれの家で、寝だしたんだった。なんかさみしいな。寝癖を手櫛をしながら食堂に行くと、みんな揃っていた。
「おはよ」
「ミア遅いよ。おはよ」
「ここ座って」
トトとザシィに呼ばれて2人の間に座っていると、母達がご飯を持ってきた。次のごはん当番、母達だっけ。明日トトに起こしに来てもらうか。
「兄さんせっかく直したねぐせ、元に戻さないでよ」
「お前の寝癖おもしろすぎるんだよ」
「兄さんにも、同じねぐせあるんだからな」
相変わらずあっちはうるさいな。たしかに、二人の寝癖面白いな。私も寝癖直したいな。くしあれば楽なんだけどな。そうじゃん、なかったら作ればいいんじゃん。牙はババ様の所行けば使えるし、木もくれそうだから食後行ってみるか。
ということでくしを説明して、3人でババ様宅に行きました。
「どうしたんじゃ?」
「牙と木盤に使えなさそうなあまり、使いにきました」
「薪に使うし、端なんて使わなくていいんじゃよ。字を練習するなら、書き終わった面削るの手伝うぞ」
「字の練習じゃなくて、あたらしいもの作りたいです」
「つくるの」
「そうか、どんな板がいいかあるか」
「長方形で、あまりあつくないのがいいです」
「ちようほうけい?」
私は、地面に長方形を描いた。
「こんな形で、大きさもこのぐらい」
「これがちようほうけいというのか」
「長方形は形のなまえです」
「形の名前か。ミアは形にまで名前を付けたのか、新しい。わかった、木盤置き場から探してこよう」
「ありがとうございます」
ババ様の家の講義室で待っていると、ババ様がいくつかの木盤を抱えて帰ってきた。
「何個か候補持ってきたぞ」
「ありがとうございます」
早速よさげな板を見つけて、牙で平らなくしの形を描いた。ほか2人にも見本を描いてあげて、削りだした。
「そういえばミアたちは、何を作ってるんじゃ?」
「くしです」
「くしとはなんじゃ?」
「毛をとかすものです」
「手で十分じゃないのか?」
「手がからまった毛に引っかかって痛いことあるし、手の間は4つしかない。だからもっと隙間のある、とかせるものがあった方がべんりです」
「なるほど。わしも作ってみてよいか?」
特に断る理由がなかったので、板に櫛の形を描いて渡した。
だんだんみんな喋らなっくなって、黙々と作業した。
一番最初にできたのは、ババ様だった。アドバイスした通りくしの先に行くにつれて、少し細間っていて、1本もはがかけていない。私とザシィは1本、トトは2本はが欠けた。
「ババ様、とてもじょうずです。考えてた形通りです」
「それは良かった。ほれ、みんなのくしのデコボコしたところを削るから、かすんじゃ」
こうしてババ様に、きれいに削ってもらって、くしが完成した。その後はみんなでとかして、もう1個作った。
「ママこれあげる」
「なにこれ」
「作った。くしって言って、こうやってとかすの」
「そうやって使うのね。ありがとう」
お互いとかしてから、眠った。
「みえた」
「ひろーい」
村の端にある畑は、網に覆われていた。真ん中の重なっているところを開いて、中に入った。これは鳥系のモンスターを避けるためかな。私達も今年から、種植え手伝う。食べる植物を育てる畑と、布を作るために繊維になる植物を育てる畑に、分かれていて、村みんなでやる大仕事だ。子供達が携わるのは、繊維の畑だ。
「みんなよく見とけよ。ここから真っすぐ間を空けつつ、穴をこんぐらい空けるんだ。次に、空け終わったら、近くの大人に言ってこの種を貰う。最後は、この種を穴の中に入れて、掘った土をかぶせれば終わりだ」
さぁ、一番多く植えられるのは誰かなという合図で、種植え競争が、始まった。
私はまず言いたい、素手ってマジですか。道具は?、耕さないの?。周りを見ると、みんなやっぱり素手で掘っている。砂場みたいにサラサラであれば、穴掘るだけでも楽しい自信あるけど、この硬さは、疲れと飽きがきちゃいそう。もう一回周りを見ると、子供達は楽しそうであるが、なかなか言われたところまで掘れてはいない。
「あーもう、めっちゃつめに土はいった」
それでもどうにか、見本ぐらい掘ってパパに種を貰いに行った。
「パパ、種ほしい」
「終わったのか」
「ありがとう。パパ質問していい?」
「いいよ」
「ここって毎回、この繊維の植物植えてる?」
「植えてるぞ」
「たまに育ちが悪かったりする?」
「たまにあるかな。大雨が降った年は育つって、よく言うぞ」
「そうなんだ。じゃあ、耕したことある?」
「たがやすってなんだ」
「知らないなら、気にしなくていいよ。教えてくれてありがとう」
「聞きたいことがあったら、ぱぱに何でも聞けよ」
「うん、植えてくるね」
これは農業全然進んでないな。道具はない、耕さない、おらこんな村いやだ~。今回は、道具作ればいいってもんじゃない。耕すっていう常識がなくて、硬くても穴は素手で掘るという常識がある。そして、素手で掘ればいいから道具がない。
「いやー、つらいな」
「どうした、つかれたの」
「何でもないよ」
つい、感情が口から出てしまった。危ない危ない。そうだ、それに毎回同じところに植えてるし、雨が降ったらよく育つって言ってたよな。それも多分、土の中の同じ栄養素だけ使ってるからだよね。これはなんだっけ、たしか違う栄養使うやつを、輪作とかしたら改善するんだっけ。あっちの植物と交互に場所替えして育てたい。
「でもな~」
「なんか言った」
「気にしなくていいよ、ザシィ」
「わかった」
一番の問題って、2歳児の私の言葉を聞いて、何人動くかよ。村単位では絶対無理。せめて動いてくれるのは、ザシィ、トト、両親、ババ様ぐらいだろう。大きくなるまで待つしかないな。あと3,4年は必要だろう。
今回はあきらめて、自分の植えるところでもと穴の中をかき回して、柔らかくしてから植えた。植えた所を覚えておこ。収穫の時多少違いが出てくれるといいな。
種植え競争は、一位はドドイだった。私はほぐしながら植えていたので、最下位だった。
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