3話
今日はお昼の後、お話会だ。だから寝ないように、起きてからあまり動かず、ご飯も腹八分目ぐらいまでしか食べてない。
「ミア、もうそろそろ行こうか」
「うん」
「怖かったら言ってね」
「うん」
ママの抱っこ紐で揺られていたら、騒がしいところについた。
「ババ様お待たせしました」
「来たか。ほれ話すぞ、ボー座りなさい」
「はーい」
「ミアは、私の膝の上に乗っかて聞こうか」
「よし、今日は君たちの妹のミアが来ているから、前回の続きではなくて、次に話す予定だった魔法について話そう」
「ちっさいな」
まほう、魔法⁈。やば、この世界魔法まであるんかい、いい異世界に生れたな。
「ムグ、ナグにちょっかいをかけない。で、魔法というのは、魔力を違うものに変えることじゃ。主に、火魔法、土魔法、風魔法、水魔法、闇魔法、光魔法がある。火は、洗濯物を乾かすときに使うウォームが初級魔法じゃ。土なら、小さな穴を出したり、でっぱりを出すボコが初級魔法じゃな。風は、洗濯物を乾かすときに風をおくっとるのを見たじゃろ。あれが、初級魔法のフーンじゃ。水は、手に水を出すスォートが初級魔法じゃ」
「すげー」
「ふーん!、ふーん!」
「おちつけ、まだ話してる途中じゃろ。君らには残念じゃろうが、魔法が使えるのは、村人の3人に1人ぐらいじゃ。それに自分に相性が良いものが、1つ使えるだけじゃだけだ。2つ使えたら、とてもすごいんじゃぞ」
えー、使えないかもしれないのかよ。つまんなと、一緒に聞いていた男の子達はまた騒ぎ出した。確かに、魔法あるのに使えないのは悲しい。せっかく異世界転生したのにな。使えるといいな。
「もう少し残念な話をするなら、男よりも女のほうが魔法を使えることが多いぞ」
「「えー」」
お、これは少し、期待してもいいのでは。鍛える時間を一部魔法練習にしよう。
「今日のお話はここまでで、残りはじゃ。これから外に出て、魔法が使えるか試すぞ」
「どうせ使えないだろ」
「今日はな。何回も試していたら、出来たと言う者もおった。まずは、やってみんと分からん、さっさと外に出るぞ」
「ババ様、ミアと私はどしましょう」
「ミアは小僧たちの様子を見ていきたいか?」
「みるー」
「そうか、少し見ながら日を浴びさせてから帰るか」
「わかりました」
そうして私たちは、広場にやってきた。母は、私を抱えて端に座った。
「わしが見本を見せるから、ちゃんと見ておれよ」
そういってババ様は、さっき話した全部の魔法の見本を見せた。そう、4種全ての魔法を使ったのである。
「ババ様すごい」
「使えたらスゲーんじゃねーの?」
「前、進化について話したじゃろ。そんとき、わしも進化したと言ったじゃろ。その恩恵で、4種類すべての魔法が使えるようになったんじゃ」
ほれ、試してみなさいと言われ、みんな叫びだした。男の子は元気だな。そういえば、もしかしたらと思ってたけど、この世界進化もあるんか。
「まま、しんかってなに?」
「進化はね、より強くなるということよ。強くなると、まれに進化するの。この村で進化しているのは、ババ様だけだし、隣の村にもいなかったはずよ。だからババ様はすごいのよ」
「しんかするのすごい」
「そうよ、進化するのはすごいことなのよ」
それから、少し男の子達を観察して帰った。私も魔法を試したが、なんも出なかった。
その日は、魔法すごいと進化すごいとザシィとトトに伝えてから寝た。ちゃんと伝わってるかわからないけど、また大きくなった時に一緒に練習できればいいや。
「いっぱい!」
「そうね、いっぱい居るわね」
今日はみんなの誕生日で、お祭りだ。大体みんな同じぐらいに生まれてるらしく、広場にみんな集まって、ご飯食べたり、歌ったり、踊ったりして、お祝いするらしい。いやーどこ見ても獣人だらけ、福眼ですわと見渡していると、ババ様が話し始めた。
「みんな揃ったな、今日は皆おめでとう。わしも年を取ったわい。まあ、私の話は置いておいて、今年は新たに3人の子がともに歳をとる。紹介しよう、ミアとザシィとトトだ」
「ミア行くわよ」
そう言われて私たちが、広場の一段高いところに上がると、拍手がわきあがった。
「今年は去年に続き、幸運にも3人もの子が、無事1歳になった。我々も無事に、また1つ歳をとれた。このことに感謝をし、また今年の無事を願って、かんぱーい」
「「「かんぱーい」」」
みんな一斉に、ジュースを飲み、騒ぎ始めた。
「ミア、ザシィ、トト、ご苦労じゃったな。おぬしらも向こうで、ご飯を食べてきなさい」
「「はーい」」
そうして、少し端にある親子席に行った。そこには親たち以外に、少し年上の女の子2人座っていた。1個上の男の子たちは、向こうですでにプロレスごっこをしていた。
「ごめんなさいね、うちの子達がうるさくて」
「いいのよ、元気なことはいいことよ。さあ、食べましょ」
すると、私の前にいつもより豪華な離乳食が出された。うまそー、私は前々から考えていたことを実行した。
「パパ、あー」
「ん、あーんしてほしいのか」
口を開けっぱなしにして頷くと、パパは嬉しそうに食べさせてくれた。獣人にあーんしてもらうとか、夢の一つがかなったよ。
「パパありがとう」
「全然いいよ。もっと食べるか?」
「うん!」
そのまま食べきるまで、パパにあーんしてもらった。心の中でごちそうさまをして、まだザシィもトトも食べているので、気になってた女の子2人に声をかけた。
「だれ?」
「私は、カーシェ。こっちが、ラナ」
「ラナだよ」
「なんさい?」
「5歳、名前なんて言うの?」
「ミア」
「そうなの、ミアよろしくね」
「よろしく」
4歳差か、他は大人みたいだし、トトの次に近い歳の子はこの子達か。そういえば、10数歳の子供がいないな、なんでだろう。
「ママほかにいないの?」
「ここにいる子で全員よ」
「そうなんだ」
このことは、今後聞かないほうがいい、絶対何かあった。母は聞いたとき、とても悲しそうな目をしていた。
パパは相撲に誘われてあっち行っちゃってるし、ママは気まずいし、どうしようかと目線をウロウロさせていると、トトが遊ぼうと誘ってくれた。助かった~っと一緒に人形で遊んでいると、ザシィも来て、じっと観察し始めた。
しばらく人形で語彙力0で遊んでいると、男の子たちがザシィに声をかけてきた。
「お前、人形あそびしないで、俺らとたたかいごっこしよーぜ」
おっと、お誘いだ。ザシィどうする。戦いごっこするタイプじゃないけど、同い年は女子しかいないし、参加するか?。
「しない」
参加しないんかーい。一応もう一回聞いとくか。
「たたかいごっこしないの?」
「しない」
そう言って、また私たちの人形遊びを見始めた。ザシィがそれでいいならそれでいいかと、遊びを再開しようとしたとき、男の子のうちの1人がザシィを突き飛ばした。突き飛ばされたザシィは、泣き出してしまった。
「おめぇ弱い」
「ボー何やってるの。小さい子優しくしなにはきゃダメでしょ」
「だってあいつたたかいごっこやらないって言ったんだもん。弱いんだろ」
「戦いごっこしたくない子だっているのよ」
突き飛ばした子は謝りもせず、ずっと言い訳をしている。そこにカチンときた。
「あやまりなよ」
「なんだ?」
「ザシィにあやまれ」
「なんで俺があやまらなきゃダメなんだ。弱くてよけられなかったのは、そいつだろ」
「たたかいごっこであそびたくない子もいるの。それに、いきなりつきとばされたら、ほぼよけられない」
それでも反省していないので、腹が立った。腹が立ったので、私は相手がのりそうな案を出した。
「わたしと、たたかいごっこしようよ」
「おまえと?」
「わたしが勝ったら、ザシィにあやまる。あなたが勝ったら、わたしもよわいでいいよ」
「いいぞ、俺がまけるわけねーもん」
「ママみとどけてね」
「う、うん。わかったわ」
ここだと狭いので、少しひらけた所に移動した。身長差はあるけど、相手はわがままで怒りっぽいようだし、勝機はあるな。
「ぷろれすごっこのるーるは?」
「相手うごかせなくしたらかち」
「ほかはある?」
「道具きんし」
「わかった」
「じゃあ始めるわね。はじめ」
相手は、開始と同時に走って、掴みかかろうとしてきた。それを私は、相手の手首を掴んで勢いのままに投げ飛ばした。それを相手が走ってくるたびに、繰り返した。
「にげてばっかで、弱いじゃねーか」
「よわいやつに避けられるきみは、もっとよわいね」
「んだと」
いい感じに煽ったし、もうそろそろかな。イラついたからか、さっきよりも勢いよく突っこんできた。それを今まで平行に回していた腕を下に回し、足を引っかけた。もちろん相手が、派手に倒れたので、馬乗りになって、手を背中で変な方にひねった。
「いったー、おまえ、どけ」
「おわり。ミアの勝ち」
終わった瞬間、いつの間にかできていた人達から歓声が上がった。
「まだまけてねぇ」
「お前は負けたんだよ。さっさと約束通りザシィにあやまるわよ」
そのまま、引きずられて親とともに謝った。まだ不服そうな顔だが、謝ったしいっか。私もザシィとトトがいるところに行った。
「ミア、ありがとう」
「いいえ、けがした?大丈夫?」
「だいじょぶ、痛かっただけ」
たしかに、見た感じ血が出てなさそうだし、大丈夫か。ザシィともこんなに会話できたし、勝てたし、よかった。
すると、試合を見とどけてくれた母が来た。
「ミアは、年上を倒せるなんてすごいわ。将来は、男の子より強い狩人になれるかもね」
「う、うん」
母よ、なぜそんなに苦しくて、悲しそうな顔をするの。母は、さっき質問したときと同じ目をしていた。私が次の言葉を探していると、母は皿を片づけに行ってしまった。
ほんとに何があったの。たしかに、ある世代が少なかったり、いなかったりするのは、異常だ。狩りで、一団体帰ってこなかったとかか。それにしては、歳が低い年代が説明つかない。うーん分からん、いつか分かるといいな。
考えにひと段落ついたので、トト達とまた遊んだ。途中からカーシェが、草王冠の作り方を教えてくれた。戦ったボーという子はというと、そのあと再度怒られて、片づけを手伝わされていた。
疑問を残して、誕生祭は終わった。