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2話

 マジっすか。目が見えるようになって見えたものは、オオカミに角が生えた顔だった。ぼやけて見えてた時は、モサモサな髪だなって思ってたけど、全身毛だなんて聞いてない。

 驚いて固まっていると、角オオカミがのぞいてきた。



「ミア起きたの、もう少ししたらお散歩行くからね」



母の声で話したオオカミは、目を細めてほほ笑んだ。



「いうぅいいん」

「ん、抱っこしてほしいの?」

「ひゃひううーあうぁー」

「そうなの、うれしいの」



よっしゃー、これはもう勝ちもうした。ぜったいこの獣、声的に母でしょ。獣人転生とか嬉しすぎ、死ねるわ。でも死ねねぇ。脳内で喜びを爆発させていると、もうもう一人の獣人が、赤ちゃんを前と後ろに背負って散歩が始まった。


 目が見えてからの初めての外は、とても充実した。散歩中は興奮で寝れなかったので、風景は余すことなく見ることが出来た。どうやらここは前世より発展していないようだ。高床式の家々があり、大きな木が所々に生えていた。何人かすれ違ったが、全員が二足歩行の獣だった。多少色が焦げ茶や、薄茶があるが、みんな見た目が一緒なのは確認したから、私も同じ見た目の獣人なのが確定した。少し気になるのは、隣を歩いてる獣人だけちょっと見た目違うことだ。しかし、獣人には変わりはないので、気にしなくていいだろう。

 今日のお散歩の目的は洗濯物の回収だったらしく、帰ってからパタパタして畳んでた。


 これは今世を楽しく過ごすためにも、鍛えるべきではないのか。前世みたいに死なないためもあるけど、絶対人間より身体能力いいでしょ。思い立ったが吉日、だけど何すりゃいいんだ。う~ん、ばんざいとか横に転がる練習とかしてればいいか。当面の目標はハイハイからのつかまり立ちだな。




 こうして観察をしつつ暇なときは体を動かした。




「ミアちゃんはつかまり立ちが上手ね」

「産まれたのが1番遅かったのに、1番早く立てたもんな。将来が楽しみだ」

「あぅ」



 ニコニコしながら父と母が話しかけてくる。寝て起きて動いてを繰り返していたら、あっという間につかまり立ちができるようになった。睡眠時間も短くなってきてるし、このままいけば近いうちに歩けるようになりそうだ。

 それはそうと、何日に一回は誰かの父親も子育てに参加するが、今がちょうど私の両親の時間だ。今日は、日々の練習を披露しようと思う。私は、その場で座りこんで手をのばした。



「ママあっこ」

「え、今ママって言った?」

「メメルにも聞こえたのか、俺にも聞こえた」

「ミアすごいわ。しゃべりだしも一番早いなんて」

「パパ、俺はパパだ。パーパ」

「あーあ」

「ちょっと違うな~。パー「あぁおぎゃあぁぁー、ぎゃあぁーーうあーん」

「あら、バダラスちょっと抱っこしてて」

「おいよ、ほ~らパパだぞ」



 そのあとは、またママに抱っこされるまで、パパはパパと言わせようと頑張ってた。まあ言ってあげないけどね。そんな一気に話したら逆に不気味だし、あんまり身バレしたくない。ばれたとして、この世界に人間居るのかな。

 交代で出ていくパパは、シュンとしていた。




 今日は、トトとザシィと仲良くなろうぜ作戦を決行する。まずはトトだ。人形を持ち、ハイハイで近づいて会話するように動かした。それを見たトトはまねて、お気に入りの人形をブンブンふった。けっこう好感触、それにしても獣人の子は可愛いな~。内心、汚い笑いをしながら2人で遊んでいると、トトの人形が、ふった拍子に飛んでいってしまった。


「うぅ、うあぁ」


やばい泣くと思い、急いで飛んだ人形をとってきて渡した。泣き叫ぶ前に渡せたので、大ごとにならなかった。ふぅ、危なかった。ここで泣かれたら、作業してる母たちに勘違いされるところだった。泣かれたところだけ見れば、トトのお気に入りの人形を取った私だからな。

 これでいいかと、人形に夢中になっているトトから離れた。


 

さーて次はどうするか。正直言ってあまりプランないというか、なにが好きか分からない。ザシィを観察しても、寝てるか、ハイハイしてるか、ぼーっと座ってるか。たまに綱をかんだり人形で遊んだりするが、すぐ飽きてぼーっと母達を見る。今だって母たちの会話見てる。どうやってコミュニケーションとりゃええねんって。

 もうしょうがないと思い、隣に行って一緒に母達を見ることにした。


 母達が刺繍する姿をただただ見つめた。


 ただただ見つめた。



 気づくと体には布がかけられていた。どうやら見てるうちに寝てしまったらしいく、今は日が沈んで真っ暗だ。もう一度寝ようとしたとき、左手に違和感があることに気づいたのでそちらを見ると、ザシィが私の手を握って寝ていた。


「うぁ~」


天使じゃん、この子しっかり両手でつかんでるよ、それは可愛すぎ反則だって、夜目がきいてよかった。脳内で拝みつつしっかりと記憶にきざみこみ、手を握って寝た。




 こうして、トトと遊び、ザシィとぼーっとするを、動いて鍛えるのの間にちょくちょくはさんだ。そのおかげか最近では、トトが人形を持ってきたり、寝て起きたらザシィが隣で寝ていたり、ハイハイの後についてきたりと、あっちから来てくれることが増えた。

 これは無事仲良くなれてるのでは⁈。獣人と友達になれて、ぼっち脳内騒がしい系じゃなくて、脳内騒がしい系になれるから、一石二鳥…いや、獣人に転生してるから一石三鳥だ。




「ママあっこ」

「はいはい」

「ミアは成長が早くてすごい。今度一個上の子と一緒に、お話会に参加するのもよいかもしれんな」

「そうですかババ様。しかし、知らない所で不安で泣き出してしまうかもしれませんし、理解できるかどうか」

「ただ聞けただけで十分じゃ。それに何回か上の子達を見せておいた方がいいじゃろ」

「確かにそうですけど…。ミアはお話会参加したい?」

「おあなしかい?」

「ババ様のお話を聞くの。物語だったり、歴史だったり、言い伝えだったり、そういうことをみんなで聞くのよ」

「ばばさまがはなすの?」

「そうじゃ」



何それ、めっちゃ聞きたい。この世界について知れるチャンスじゃん。


「うぁああああぁん」

「ババ様、ミアお願いします」

「うむ。ミアよ、この世界には、太陽と生命を象徴するテス、癒しとモクロイを象徴し我々を作ったとされるツフィ、という二大神がいるんじゃ」

「てう?、もくろい?、つひー?」

「テスとツフィは、神様の呼び名じゃ。モクロイは、夜空に上がる太陽みたいなものじゃ」



へー、この世界にも神という存在はあるのか。モクロイは月みたいなものかな。そこにあやし終えてきたママが、帰ってきた。



「メメルよ、ミアは飽きずに私の話を聞けたよ」

「ミアは本当にすごいわね」

「で、どうだ。ババんところにお話聞きに来るか?」

「いくー」

「そうかそうか、決まりじゃな。明日の昼過ぎ、わしの家に連れてきてもらいなさい。確か当番は、おぬしとホーだったはずじゃな。おぬしが連れてくるとよい」

「うん」

「わかりました。明日のお昼後にうかがいます」



よっしゃー、これでお話聞ける。新情報も集まる。

 その日の夜は、楽しみでなかなか寝れないなんてなく、トトとザシィにはさまれて、ぐっすり寝た。


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