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プロローグ
二十七歳の冬、仕事で疲れていた俺は交通事故に遭って死んだ。
そして異世界で生まれ変わって十七年。他人に従って自分を無くしていた前世を捨てて異世界での日々を楽しく過ごしていた。しかし、そんな日々も続かなかった。
「汝、心身共に我に捧げることを誓うか?」
「…誓います」
古びたレンガの建物の中で俺は何故か、花嫁衣装のようなドレスを着せられている。
そして黒い民族衣装のような服を着た十歳くらいの少年がいる。
「…まあ、とりあえずよろしく。お嫁さん」
「あ、ああ…」
異世界で普通の平民の男として生まれて十七年。
俺は何故かこの少年、世界制覇を狙う魔王の息子の花嫁になることになってしまった。