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託される意思

 一階・図工室。


 現在この場所には、猫爺を始めとする妖怪達が襲撃者を迎え撃つための対策本部が設立されていた。


「敵の正体が何者なのかは分からぬが、これほど早く警護妖怪達を倒すとは只者ではない!!皆の者、急ぎ、敵の襲来に備えるのじゃ!!」


『オゥッ!!』


 校内に侵入してきた彼らを偵察した斥候によると襲撃者は四人の若者達であり、いずれも男性。


 彼らは裏庭を担当していた鎌鼬主導の警護妖怪達を倒したらしく、現在彼らは裏口の割れた窓枠から校内へと侵入してきているとの事だった。


「正門に配置していた精鋭達ほどではないとはいえ、鎌鼬も克己心に溢れ才覚に満ちた強者であったはず……それを無傷のまま倒すとは、容易ならざる者達じゃ!!急ぎ、正門を守護していた妖怪の一部を彼奴等迎撃のために向かわせるのじゃ!!」


 猫爺の意思に呼応するように、各配置場所から斥候を通じて、迎撃用の手はずが整ったとの旨の連絡が立て続けに入ってくる――!!


「猫爺様!血気盛んな年頃である彼らを色香でおびき寄せるために、1-6組の教室で百目鬼様とどめきと、隠れる形で見越し入道様が待機しています!これにより、慰謝料を請求する”ユニット:美人局つつもたせ”が、無事に滞りなく展開しました!!いつでも行けますッ!」


「それと更に続報!正門を守護していたこんにゃく坊主様が配下の者達を数名引き連れて、迎撃のために廊下の角で進路方向に待ち伏せされております!!」


「許可されていない侵入者の存在を感知したため、”金槌坊”様が急造で制作してくださった迎撃特化型機動兵:”金剛”が本格的に起動!!金剛の機動率、既に100%完了しました!!」


 オペレーターを務める派遣妖怪の女性達――シルキー、ドライアド、サラマンダーが慌ただしくも歓喜に満ちた様子で速報を読み上げる。


 それらの知らせを聞いて、図工室にいた妖怪達の間からは盛大に歓声が上がった。


 突如訪れた襲撃者の知らせを聞いた腕にびっしり目が張り付いた姿の妖艶な美女妖怪:”百目鬼とどめき”と”見越し入道”の両名から成るユニット:美人局つつもたせは、本来の持ち場である保健室周辺の警護から離れて、一階にまで駆け付けてきていた。


 他の妖怪達の協力のもと急ピッチで1年6組の教室は、魅惑の色香が咲き誇る禁断の花園然とした内装に変更する事が出来たのだ。


 後は襲撃者達が百目鬼を相手に痴態を繰り広げてから、待機していた見越し入道が姿を現し、彼らを脅しつければ、襲撃者達は泣く泣く有り金を置いて家に逃げ帰る事になる……という手はずになっている。


 また、この危機に持ち場を離れて駆け付けたのは、”美人局つつもたせ”の二体だけではない。


 校内に引き返してきたのは、名前とは裏腹に、強大な妖力を持つ大妖怪:こんにゃく坊主。


 彼はその能力の高さから、正門の守護を担当する者の一体に抜擢されていたが、突如訪れた緊急事態に対処するために、校内へと引き返し配下の者達と共に襲撃者の行く末を阻もうとしていた。


 物陰から突如、吊るされたこんにゃくを顔に当てられてしまえば、いくら実力のある襲撃者達といえども、混乱は必須……。


 そうなってしまえば、こんにゃく坊主達と配下の者達によって、襲撃者達が死すらも生ぬるい責め苦に遭わされるのは、火を見るよりも明らかであった。


 そして、金槌坊という工業系に特化した妖怪主導のもと、制作された迎撃特化型機動兵:”金剛こんごう”。


 現在、理科室にて妖怪王:白鯨はくげいが抑えている七つの怪異の一つ『人類の存在意義と役割全てを無に帰すような超巨大統制管理システム』の力を、妖狐や天狗などの妖術が得意な者達による術式によって百万分の一に抽出し、その力をこの廃墟に残されたどらやき小学校の迎撃システムや、かつて”七つの怪異”に立ち向かった自衛隊や検非違使達の武器などを接合させて、金槌坊主導のもと急遽作り上げられた怪造兵器ともいえる存在が、この”金剛”なのである――!!


「カカッ!こんにゃくやら見越しのが敗れたとしても、儂が作った”金剛”なら、侵入者など容易く捻りつぶせるわい!!まぁ、あやつらが負けるなど万に一つもないがの!」


 感情をあまり覗かせない蟻の顔ながらも、呵々大笑する妖怪:金槌坊。


 その発言からは、自作の”金剛”だけでなく、口ではどうこう言っていても、他のこんにゃく坊主や”美人局”など、他の妖怪達の実力を信頼している事が伺えた。


「うむ、そうじゃの……この段階で”金剛”を投入するのは、やり過ぎる気がしないでもないが、儂らには妖怪神様や妖怪王様達に代わって、この廃墟を守護するという重大な任務があるのじゃ。手など抜いてはおられんな!」


 そう猫爺は意気込みながらも、発言した本人含めて図工室内に若干弛緩した空気が漂う。


 とはいえ、まだ防衛が始まったばかりでここまで本腰を入れる事になった以上、やはり、油断は出来ない。


 すぐに戦力が欠けた部分を補うための対策をしなければ……と、猫爺達が案じ始めていた――まさに、その矢先の事である。





「も、申し上げます!!1年6組の教室で待ち伏せしていた”美人局つつもたせ”の百目鬼様、見越し入道様!両名は襲撃者と遭遇後、突如行方をくらませたとの事です!!」





「な、何じゃとッ!?」


 図工室にいた猫爺達のもとに衝撃が走る――!!


「そりゃ、一体全体どういう事なんでぃ!?」


「教室に誘導する前に、二人がやられたってのかい!?」


 などと図工室にいた妖怪達から疑問の声が上がるが、シルキーは盛大に混乱しながらも、なんとか自分が耳にした情報を正確に伝えようとしていた。


「い、いえ!百目鬼とどめき様がサングラスの男を先頭に、彼らを教室に招き寄せたところまでは上手く行ったのですが……四人とも全員無傷の彼らが教室を後にしたため、他の者達が中を覗いてみると、教室内は何故か、もぬけの殻だったそうです……!!」


「な、なんじゃと!?一体、教室内で何が起こったというんじゃ!!」


「クソッ、だからあれほど念のために監視カメラを教室内につけておけ、と言っておいたのに……奴らの用心深さがここに来て仇となったか!」


 ”美人局”の二体は、情事を用いて他者を脅迫しながら金品を奪うだけでなく、自分達が有利な条件を相手に突き付ける戦略を得意としていた。


 だが、決まれば圧倒的な優位性を得られるがその反面、男女の情念入り混じる”美人局”というのは、一歩間違えば斬った張ったに繋がりかねない単なる数字・理屈を超えたとてつもなく危険な領域と隣り合わせの行為である。


 そのため味方の妖怪達からは、何かあったとき用に自分達が用意したモノだけじゃない全員で共有できる監視カメラを教室内に設置するように言われていたのだが、百目鬼とどめき達は自分達だけが相手の弱みを握っているという優位性、そして、脅迫する側の者だからこそ、安易に他の者達に自分達の弱みを見せる事の危険性を熟知し、自分達だけで迎え撃つ事を選んだのである。


 過去の選択を悔やんだところで、何が起こったのかは分からず、侵入者は今も廃墟内を我が物顔で進軍している。


 ならば、後は”美人局”の二体とは比べ物にならないくらいの脅威である大妖怪:”こんにゃく坊主”によって、彼らを生死問わずに討ち果たすより他にない……はずだった。





「ッ!?も、申し上げます!!現在、こんにゃく坊主様の配下である”草履ぞうり大将たいしょう”様と”隠れん坊”様を中心に襲撃者との戦闘が発生中!……こ、こんにゃく坊主様は、すでに倒されたとの事です!!」





「ッ!!こ、こんにゃく坊主ほどの大妖怪すら、倒したというのか!?一体、何者なんじゃ奴等は!!」


「そんな事を言っている場合か、猫爺!……こうなった以上、奴らが何者かは分からねぇが、文字通り手加減なんざ出来る相手じゃないのは明白……!!こんにゃくが敗れた以上、草履と隠れの奴らじゃ分が悪い!!アイツ等を支援する形で、”金剛”を向かわせるぞ!!」


 ドライアドの報告を受けて狼狽する猫爺を、叱咤する金槌坊。


 それを受けてハッとした顔つきになった猫爺は、すぐさま金剛を整備していた者達に妖術回線を繋ぐと、厳格な面持ちと共に、指示を出す。


「……諸君、校内に入ってきた謎の襲撃者によって、現在、この建物内は混乱を極めておる。……ゆえに、決戦怪造兵器:”金剛”を起動し、彼奴らを迎撃せよッ!!」


 そんな猫爺の指令と共に、”金剛”が仲間の妖怪達の窮地を救うべく、初の出撃を開始する――!!









 サラマンダーによって、『”金剛”ならびに、こんにゃく坊主の部隊全滅』の報が知らされたのは、その数分後であった。


 図工室内は先程までの弛緩した空地とは対照的に、重苦しく絶望的な空気が蔓延していた。


 悪い情報はそれだけではない。


 更に逃げ延びた者から、情報を受け取ったサラマンダーが震える声で、この場にいる妖怪達を驚愕させる事実を告げる。


「何とか戦線を離脱した妖怪:もったいないオバケ様によると、襲撃者は自分達を山賊集団:ZIGジグ=ZAGザグと名乗った、との事だそうです……!!」


 サラマンダーの報告を受けて、一同に衝撃が走る――!!


 誰もが二の句を告げないでいる中、何とか言葉を絞り出したのは、この場の代表である猫爺であった。


 とは言っても、彼も顔面蒼白そのものであり、その苦悶の表情からは何とか事態を呑み込もうとする必死さが伝わるかのようであった。


「美人局の両名だけならいざ知れず、こんにゃく坊主ほどの大妖怪や急造とはいえ”金剛”を討ち果たすほどの存在……それらを撃退した者達が”山賊”じゃとすれば、確かに合点がいくわい……!!」


 猫爺の発言を受けて、ざわめく事すら忘れて、ゴクリ……と息を呑む妖怪達。


 それも無理のない事だろう。


 ”ネコ丸”というとてつもないお宝を狙っただけのハンターや退魔師ならば、妖怪達とて手練手管を用いて自分達で撃退するための対処法や自信というモノがあった。


 だが、これから自分達の前に現れようとしているのは、そのような者達とは比べ物にならない脅威である”山賊”である。


 彼らが襲撃しに来る可能性も考えないではなかったが――それでも、彼らの動きがこれほどまでに早いとは、誰も夢にも思っていなかった。


「じ、爺様!何かの間違いとかじゃないのか?……いくら、奴らが略奪を生業にする山賊だからって、こんな七つの怪談や儂ら妖怪達が拠点を構えるこの廃墟に、そんな簡単に来ようとするほど奴らも馬鹿じゃないだろ……?」


 そのように猫爺に尋ねる妖怪:ひょうすべ。


 だが、その声は震えており、それが問いかけなどではないすがりつくような単なる彼の希望である事は、誰の目から見ても明らかであった。


 そんなひょうすべの言葉に首を横に振りながら、猫爺が残酷な真実を告げる。


「……例え、奴らが山賊じゃなかったとしても、今ここに来ておる襲撃者達は、それだけの力を持った脅威だと認識すべきじゃ。……現に、儂が今妖術で感知してみたところ、奴らはこんにゃく達や金剛を相手にしたにも関わらず、無傷のまま何ら迷うことなくまっすぐに”ネコ丸”が管理されているこの場所に向かってきておる……!!」


「そ、そんな……!!」


「う、嘘だろ……?」


 ようやく真実を受け入れて、悲嘆に暮れた声を上げる妖怪達。


 だが、それとは違う意味で驚愕の声を上げる者がいた。


「ってゆうか、”ネコ丸”はこの教室にあるのかニャ!?」


 それは、これまで黙って事態の成り行きを見守っていた猫爺の孫娘である猫又少女:ヒナタだった。


 ヒナタの驚愕の声を聞き、「そうじゃった!」と思い出したかのように、頷く猫爺。


「ウム、実は儀式の準備が完全に整うまで、妖怪神様達やツカサ殿の気を削がぬように、儂が”ネコ丸”を管理する事になっておったのじゃ。……”七つの怪談”を調整したり、儀式をしているうえに、”ネコ丸”の警護までして頂くというのは、いくら何でも皆様の負担が大きすぎるのじゃからな」


 それを聞いて二の句を告げなくなるヒナタ。


 『一つの世代につき、一つの怪異しか倒す事が出来ない』とされる”七つの怪談”を抑え込むなど、自分には七回生まれ変わっても不可能な事は、非力な猫又である自分自身がよく理解していたからである。


 押し黙るヒナタに、なおも猫爺が言葉を続ける。


「”ネコ丸”という強大な力を扱う以上、”検非違使けびいし”のような脅威が襲来する事も考え、金槌坊達に”金剛”のような忌まわしき呪いの力を用いた決戦兵器まで作らせたのじゃが……まさか、こんなにも早く万策尽きる事になるとは!!……まさに、不甲斐ない限りじゃ……!!」


 猫爺が悲嘆に暮れた様子で、顔を俯かせた――そのときだった。





「それは違うニャ、お爺ちゃん!!」





 突如ヒナタから発せられた否定の声。


 悲観的な言葉を口にしていた周りの妖怪達や猫爺がポカン、とした表情を浮かべながら、ヒナタの顔を見つめていた。


 そんな周りの視線に少し居心地の悪そうな顔をしながらも、それでもヒナタははっきりと言葉を続ける。


「今ここに襲撃しに来ている山賊達を食い止めようとしているのは、必死に戦ってくれている他のみんなだニャ!!お爺ちゃんやヒナタ達はまだ、本当に何にも出来ていないのニャ!……そんなヒナタ達が、勝手に”不甲斐ない”なんて言葉を使うのは、絶対に間違っているニャ!!」


 孫娘からの真剣な叱咤の言葉。


 それを聞いた猫爺は、ハッとした表情を浮かべて呻く。


「す、すまんヒナタ……妖怪界の御意見番などと言われておる儂ともあろう者が、何とも不用意な発言をしたモノよ。……許しておくれ、ヒナタ」


「……今は誰かが謝ったりしても、どうにもならない状況なんでしょ?……本当に御意見番なら、教えて欲しいのニャ!ヒナタ達がこれから何をしたら良いのかを!」


 ヒナタの強い意思が込められた瞳を見て、猫爺も意を決したように深く頷く。


「ウム。こうなった以上、妖怪王様の力を借りる事態は避けられぬ。……ゆえに、ヒナタよ!お前にこの"ネコ丸”を託す!!」


 そう言うや否や、猫爺が己の両腕に妖力を込め始めると、眼前に亀裂が生じ始め、中から眩き光を放つ球体が姿を現した。


 これこそが、猫爺達が人間達の手から守り抜こうとしている強大なエネルギーにして、こことは違う平行世界に生きる少女の意思の結晶である”ネコ丸”であった。


 サッカーボールほどの大きさをした”ネコ丸”は宙に浮かんでいたが、猫爺が両手を掲げながら力を込めると、誘導されたようにヒナタのもとへとゆっくり降りてきた。


 多分に妖力を消耗したらしい猫爺が息を切らしながら、ヒナタにこれからの為すべきことを伝える。


「……ヒナタよ、その”ネコ丸”を持って急ぎ妖怪王様のもとへと運ぶのじゃ。……苦肉の策ではあるが、一時的に妖怪王様が”ネコ丸”を取り込めば、怪異を鎮めながらも山賊を撃退する、という事も何とか可能なはずじゃ!」


 その言葉を聞いて僅かにたじろぐヒナタ。


 ここに来て、自分が巻き込まれるのを嫌がっている、という訳ではなさそうである。


「でも、お爺ちゃん!確かに逃げ足ならヒナタは少しは自信があるけど、俊足というなら他の捷疾鬼しょうしつきみたいな妖怪に任せた方が良いんじゃないかニャ!……頑張りたいけど、ヒナタじゃ、流石に山賊から逃げ切るのは難しいと思うニャ……!!」


 そんなヒナタに対して、猫爺は「それはならんのじゃ」と告げながら、捷疾鬼をジロリ、と見やる。


 睨まれた捷疾鬼はバツの悪そうな表情で、視線を逸らしていた。


「この世界に来たばかりの”ネコ丸”は捷疾鬼しょうしつきに無理矢理取り込まれそうになった事によって、自分の力を狙う人間達だけでなく、儂ら妖怪にまで心を閉ざし拒絶するようになってしまった。……ゆえに、儂はこれ以上”ネコ丸”を混乱させないように、こことは違う異空間に一時的に”ネコ丸”を保護しておったのじゃ」


「……それじゃ、ヒナタも妖怪だからマズイ気がするのニャ……」


「そうかもしれん。じゃが、猫又であるお主ならば、同じ猫繋がりで”ネコ丸”も幾分かは警戒を解くやもしれぬ。……ゆえに、お主は”ネコ丸”を持って、校長室で怪異を抑えてくださっている妖怪火車かしゃ王:カリン様のもとへと”ネコ丸”を届けておくれ!……お主と同じ猫種にして妖怪王となったあの方ならば、必ず”ネコ丸”と適合出来るはずじゃ!!」


 妖怪火車王:カリン。


 『あやかしバトラー』と呼ばれる人間の少年と絆を結んだ事によって、妖怪王にまで昇りつめた幼馴染の少女。


 なのに、その名を聞いたヒナタはズキン……と胸の痛みを感じていた。


 だが、そんな感情を振り払うようにヒナタは己の中で思考を切り替えようとする。


(……今はみんなの一大事なのニャ!これは必要な事なんだからそんな事・・・・を考えている場合じゃないのニャ!!)


 フルフル、と頭を振ってから、猫爺に対して力強く頷くヒナタ。


「任せて、お爺ちゃん!ヒナタが必ず、カリンちゃんに”ネコ丸”を届けてみせるニャ!!」


「様をつけんか、様を!!……じゃが、頼んだぞぇ、ヒナタ!この作戦の成否は、お主にかかっておるのじゃからの!」


「分かっているのニャ!」


 そう自信満々に答えるヒナタの頭を、満足そうに撫でながら”ネコ丸”を託す猫爺。


 だが、その表情もすぐに険しいモノに代わり、猫爺は辺りにいた妖怪達に急ぎ指示を出し始めた。


「少しでも時間を稼ぐために、この一階にて儂らが彼奴等を食い止める!……ヒナタは、早く二階の校長室へと向かうのじゃ!!」


「……うん、もちろんだニャ!!」


 決死の表情を浮かべながら、死地へと赴こうとする祖父と妖怪達。


 彼らの背中を視界に焼きつけながら、ヒナタは悲壮なる決意と”ネコ丸”を胸に抱いて、校長室へと向かい始めた――。


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