#9 休日
休日。日曜日。基本的に日曜日には休日が訪れる。ボクは普段は家で作曲や歌い手の歌を聞いているが、今日は久しぶりに外出する。何故ならボクは暇だから。
最近クラスの間で密かに流行している音ゲー、超ニズム。そっちの世界でも似たようなものがあるだろうがそれだと思って頂きたい。基本的に奥から流れてくるノーツをタッチパネル式のボタンで捌くゲームなのだが、空間判定やノイズみたいな形のホールドノーツがあるから結構おもしろい。レーティング制度があり、階級ごとに色分けされている。因みにボクは15.61で最上位の虹だ。
その音ゲーをやるためにわざわざ隣町のゲームセンターにきた。まさかこんな雨の日に知り合いがいるはず
「ま、い、ざ、き、くん!」
いた。ボクは音聖を上手くスルーした。ボクはそのまま超ニズムへ向かう。しかし既に先客だ。一人は体力測定のサッカー少年、真弦君だがもう一人は知らないな。ん?
「舞崎じゃないか!俺もこれやってんだぜ!プラレ!」
プラレとは、プラチナレートの略である。ちなみにボクは虹レ。残念ながら真弦君には人権がないんだな。
「逃げんな!私の隆斗」
いつから私の隆斗なんだよ。
「あ!君はウワサの美少女、目星ちゃんだね」
人違いだな。
「目星ちゃん…そうだよ!」
目星ちゃんを馬鹿にするな。
「目星ちゃん、俺超ニズムやってんだぜ!目星ちゃんもやってんの?」
「うーん、下手くそだけどやってるよ。」
顔からして下手くそだもんな。髪は真弦くんのレートの色。ショートのツインテール。何も考えてなさそうなジャニオタ顔。身長は凪那ぐらい。しかも今日の私服に限ってはなんだよ。歌い手のロゴが印刷されたダボダボのTシャツに黒のスカートってなんだよ。
「レートはいくつぐらいなんだい?」
「15.12だよ」
正真正銘のゴリラだ。帰ろう。
「うわー!負けた…俺が負けたのは初めてだよ…」
隣の奴虹レだな。
「そうだね」
お前テンションどうした。結局レーティングに圧倒されたのか真弦君と連れは帰った。
「でさ、私思ったんだけど」
なんだ?言ってみろ。
「隆斗くんと付き合いたい。」
却下だな。
「えー!付き合ってキャラメル漬けの毎日を送りたかったのに…」
「やっぱいいよ」
「いいのっ??!」
「付き合ってもいいよ!」
「よっしゃ!」
キャラメル漬けは美少女に勝る。でもこいつ、ボクの局所を触ってきそうだから極力近づかないようにしよう。あと目星ちゃん騒動は目に見えてるから起こる前にメモリーブレイク。
ゲーセンの男子トイレ。割と綺麗である。
「なァ!ダークドラグーン!朗報だ!彼女ができた」
あーそっか。凪那?
「違う!とりま外にいるから見にきやがれェ」
生憎トイレの外は都合が悪いな。
「コイツがオレの彼女。勝堂 楓織!」
クラスで二番目に可愛いアイツか。よろしく。
「柊念の親友さんってアナタ?」
「ああ」
「思ったよりマトモだね!」
知ってる。
「ォ…オレは?」
(オレはまともな訳がない…)
自覚すんな。
「まだマトモな方だよ。そこのメスガキに比べれば」
ん?あ、音聖か。都合悪過ぎだな。
「メスガキなんて言わないでほしいなぁ。クラスで二番目に可愛いからって偉そう!」
たしかに。
「悪い悪い紹介が遅れた、そこの歌い手厨がボクの彼女」
「歌い手厨…。」
(確実に明日の超フェスに行くわね。そこのキノコも振り回されるのかな?)
残念ながら想定済みだ。
「まぁいいもん!私目星ちゃんだから」
いやそれ言うな。メモリーブレイク!
「マジ?隆斗に彼女だと?明日地震起こるな。」
いや明日はライブの帰りに落雷。しかもボク達のとこに落ちる。まぁボクが避雷針を張っておくから大丈夫だけどな。
「あ!あなたアレじゃん!軽音部のボーカル!」
「「「今更か」」」
「私ドラムの芦原!よろしくね」
(マドンナの前では小物演じるの。それが一番だわ)
知ってた。
「貴様付随の堕天使エクソンライガル…!正真正銘のガイア族長…。」
音聖ってそんなスケールでかかったっけ。
「なに?そのエプソンライバルって?もしかしてシャープ?」
よしなさい。
「アナタ馬鹿なのね。」
「思ってくれて結構」
まて音聖、今逃げると学校でいじめられんぞ。多分ないけど。
「んじゃボクも帰るね。明日体育だから体育着忘れんなよ」
結局ボクは超ニズムを一度もプレイできなかった。不幸だ。しかも脱走したリス見つけるのに10分かかったし。
「ねみな。あしはらねみな。」
「どうせ私なんか特待の人とは釣り合わないんだよ」
「小物演じてたんじゃないのか?」
もういい。いずれバレるんだ。
「なんでそれが分かるの?」
ボクが超能力者だからさ。
「へぇー。じゃあさ!私のこと宙に浮かすこととかできるの」
いや、
「へっ?」
宇宙まで浮かすことができるんだよ。
「い、息が…できるじゃん??!」
「そう、テレキネシスで酸素を音聖の肺に供給してるからね。」
「すごいすごい、なんで今まで隠してたの!」
まぁ色々面倒なことに遭うからな。
「うぐっさ、酸素忘れてない?」
あ、忘れてた。
「忘れてたじゃ済まないやろ…あれ?」
おかえりなさい。音聖の家にテレポートした。ん?案外綺麗じゃないか。
「あら?ねみちゃん、おかえり。音もしないもんだからてっきり泥棒かと思ったよ」
「あれ?隆斗くんは?」
間一髪。家の外へアクセル転移した。テレポートは連続して使えないから近距離にしか使えないアクセル転移を応用したのだ。
「貴方大丈夫?夢でも見てたんじゃない?」
「ゆ、夢か…。」
グッドラック。
さてと、ボクは超ニズムを…。幸いゲーセンは空いている。よし、財布…ない!音聖の家に置いてきたようだ。千里眼!しかし見当たらないな。あ、あった。エクスチェンジ!エクスチェンジとは、何らかの物体同士の位置を入れ替える能力だ。目の前に落ちていた100円硬貨とボクの財布を交換しておいた。よし、超ニズム。
「君、16歳以上かい?じゃなかったら退店時間だよ」
あ。ボクの誕生日は、12月2日。今日は6月10日。すなわちボクは、15歳だ。
久しぶりの外出は告白と宇宙旅行で終わった。なにこれ珍百景に応募しようかと思ったが、今日の晩飯のデザートがキャラメルアイスだったから今はそれどころじゃない。
ボクに休日などない。
次回「男女混合ドッヂボールは修羅場」




