表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

みんなのいない絶望の世界

「……ん」


 ……朝か。カーテンの隙間から入ってくる日差しに目を細め、体を起き上がらせる。

 また今日も始まった。もう、どこにも生きる意味なんてないはずの今日が。


「……いくか」


 ここにいても、何もすることなんてない。それ以上に、ただずっとここで一人になっているのは、本当の意味で一人で……嫌だ。

 俺はやる気もなく、学校に向かった。


*****


「…………」


 学校に着いて、自分の席に座り、何するでもなく、ボーっと外を眺める。そんな俺には教室の喧騒も耳に入らない。

 どこにいても、俺は一人だ。それでも、ここには他の誰かはいる。それだけで心は和らいだ。


「ねぇ……明夜君?」


 誰かに話しかけられた。けれど、俺は視線も返さない。返事もしない。ずっと窓の外を眺め、それを無視した。

 そうしていると、相手は困ったように声を漏らすが、すぐに誰か他の人が気づいて声をかける。


「……やめておけよ。あいつも色々と傷ついているんだろうからさ」

「あ……だよね。ごめんね」


 そう言い残して離れていく。

 俺は関わりあいたくはない。そんなに強い人じゃない。もう一度、前を向くことも俺にはできない。


 だから……ごめん、だなんて言わないでくれ。俺は……そんな言葉を受け取りたくはない。俺がみんなに言いたい。俺はきっと、みんなの望む自分には絶対になれないから。


*****


「……ただいま」


 そう言って家の中に入る。もちろん、最初から返してくれる人なんていない。そんなことはずっと昔からそうだった。それなのに、今ではそれがどうしようもなく虚しい。

 部屋につき、ベッドに身を投げる。こうして今日も終わっていく。


「なんで……生きてんだろうな」


 意味がないことはわかっているのに。どうして、それでも生き続けるんだ? ……死ぬのが嫌だからか? それが嫌なのか? でも、そうしないと俺はもう――


「お前らに……会えないんだよな」


 そうして思い出す、みんなの顔。

 実。雪音。治恵。心。真記。


 今のこの世界には、お前らはいない。

 どうしてなんだ……。どうしてお前らはいなくなったんだ。何がいけなかったんだ。

 俺にはそれさえ分からないよ。けど現実にお前らは――死んでしまった。


 もう、感情なんてないとさえ思っていたのに。

 俺は今、お前らのことを思い出して。


 悲しくて。

 悲しくて。

 悲しくて。


 涙が……止まらない。

 楽しかった日々を。

 ずっと過ごしていきたかった、お前らとの楽しい日々を。

 思い出して。

 想像して。


「う……っぐ。あぁぁあ……」


 ……苦しいよ。

 お前たちは望まないだろう。俺が死ぬことなんて。

 死んだら本当に終わりなんだから。

 死んだら会えるなんてことは、絶対にないんだから。


 それでも――死ぬことにでも希望を見出さなければ、俺は今ここで死ぬことさえ、決心できない。

 俺は、どうすればいいんだろうか。

 どうしていけば、いいんだろうか。

 生き続けてずっと、ずっと。

 お前たちがいなくなったことを悲しめばいいのか?

 苦しめばいいのか?

 そうしていくことが、俺に必要なことなのか?


 そんなことは耐えられない。俺はこんな世界で生き続けるなんてできない。悲しいのも苦しいのも嫌なんだ。


 できないから俺は――本当に耐えきれなくなったときに死を望むだろう。そう決断出来た時、死は一瞬で訪れる。逃げることができるから。

 それまでは……この世界で生き続ける。俺という存在が壊れてなくなるまで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ