極めつけ!! 寿司編
「…どうするよ」
「知るかばーか!!!誰だよこんな食べたの!!!!」
「いやぁ~だってせっかく高いとこ来たんだしめっちゃ食べとかないとさ?ほら!」
「「お前か」」
「やめなよ三人ともーー」
寿司屋の外でこそこそしている奇妙な…きっと端から見れば仲のいい女友達がお金のことについて話しあってる当たり障りない光景なのだろう。
しかし俺らの中では大ピンチだ。
流れを簡単に説明すると、なぜか俺らの仲間のカロという阿呆が「お寿司食べたい!」等と言い次にこれまた仲間のろろろというクソ阿呆が「イイネ!」と便乗。最後には仲間のなおという阿呆が「うちいい店知ってるんよねー!」。今考えるとお前らシメあげてやろうか。
今日は給料日でもなければお金がある日でもない。それにこんな高級寿司屋…多分みんなで割りカンして払っても足りるかどうか…そこまで考えてちらり、と皿の量を見る。だめだ。絶望しかねぇや。
「藻歩おっま…ほんとお前ふざけんなよ…私はもっと実況にお金をだな…」
「だって!!!!美味しいもん!!!!仕方ないじゃろ!!!!!」
「ぶっっ殺すぞゴルァ!!!!」
「カロちゃぁん!??!?落ち着いてェッ!!!!」
呑気にぽわわんとしているなおにキレたのかぷつん、と音がしたあとカロがなおの胸ぐらに掴みかかる。それを止めようとしたろろろ(クソ阿呆)が間に割り入るとカロに蹴飛ばされた。ここはザマァと思うところなんだろうが違うんだろう。多分俺も出動しないといけないやつだよなこれは。
「まぁまぁお前ら落ち着、いだっ、いでっいてェよ!!!!!」
「うわぁぁぁあみっちゃんも暴れだした!!!!!」
どたばたと高級寿司屋の前で小さな乱闘が始まる。他人からしたらとてつもなく迷惑だろう。
「………やめよう。お金が手にはいるわけでもないし。」
ぴた、とカロが止まり諦めた様に額に手をあてる。俺を含めた三人もうんうんと頷きとりあえず店に戻る。そこで悟りを開き
「どうしよう……………」
いかにも絶望してますというような声色でなおが小声で呟いた。同感しかない。
「ろろろ、財布見せろ。」
「エッ、いや、あの………」
「見せろ」
私が多少声に殺気を含ませるとろろろがヒィッと情けない声をだしおずおずと躊躇いがちに財布を差し出した。それを受け取りぱかり、と開くと
「………へそくり。」
財布を覗きこんだカロがお札が入ってる場所とは別に5万円が入ってるのを見つけ、ろろろをじっと見つめる。当の本人はと言うと冷や汗をだらだら流しながら視線をきょろきょろと慌ただしく動かす。こりゃ図星だな。
「藻歩も見せろおら」
「うち?なんもないよー精々1万くらい」
「あ、まじだそんくらい、」
なおが直々に財布を俺に寄越しそれを見ると確かに1万と細かいもの。別になにか隠してはないようだ。俺の所持金は3万ちょいでカロもたいして持ってない…まぁろろろのへそくり見つけたし足りるか。
「なぁーこれから奢りどうのこうのじゃなくてちゃんと考えてから来ようぜ」
「あーそれはうちも同感。」
「ろろろのへそくり見つかったから良かったけどねー」
「僕の…お金………」
ぎりぎりお金は足りて今は帰り道。みんなもうすっからかんだ。こりゃ当分外出はやめてまずい自作飯で我慢するしかないなぁ、とひとり考えた。
多分これ以上何も思い付かないので完結。ここまで見てくださりありがとうございました。