心の傷
「今日からお前を無視だ 」
「えっ?」
クラスのボス的存在の 歩 の宣言で今日から私(前原 ちはな )は、一人になってしまった。
実は数日前からクラスでおかしな御触れが出ていた。
何が気にくわなかったのか、なんの気まぐれか、
『美桜 と口を利いたやつは今度はそいつを無視。』と、言い出したのだ。
美桜 は転校してきた私にとても良くしてくれた。引っ込み思案な私とみんなの仲を取り持ってくれたのだ。
恩人といっても言い。そんな 美桜 を無視することは出来ない。
確かに、私は美桜と口を利いた。しかし、私一人ではなっかたのだ。
咲希も一緒に話しかけたのだ。だが彼女は「ちはな が話しかけた」と、きっぱりと言ったのだ。
ショックだった。
確かに後から入ってきた私よりも、小さい頃からずっと一緒の幼馴染みを取るのは解る。
解るけども、あそこまできっぱりと言われると相当な衝撃だった。
“あぁ、やっぱり私はみんなの中には入れない・・・。”
ジグソーパズルの最後のピースがはまった様に“ストンッ”と心のなかで綺麗な音がした。
その瞬間、雁字絡めになっていた私の心が解放された。
今日から私が標的だ。寧ろ誰かを無視しする罪悪感に悩まされなくてすむ。
初めからみんなの中に入れていないのだから、支障は無い。
その日から私は本の虫になった。
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