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 空間を造りだした張本人が死ねば、俺たちは自然と現世に帰される。

 すっかり日の落ちた並木道、現実世界に帰還した生徒会メンバー。臣の怪我は二階堂さんのおかげで、すっかり癒えきったようだ。


「姉さん、もう勝手に何処か行くな。危ないんだッ」


 街灯の下のベンチ、今は綾が治療を受けている。


「心配性すぎるぞ、臣は。生徒会室でも言っただろう、俺はみんなが護ってくれるから大丈夫だって」

「大丈夫じゃないよ! 今だって危なかったじゃないか!」


 声を荒げる臣。ダメだこいつ、シスコンだ。いや、ブラコンか……ややこしいが。


「臣、綾先輩だって男子なんだ。あんたが思ってるほど、弱くない」


 俺がそう言ってやると、臣はキッと俺をにらむ。


「僕が弱いっていうのか! あれ位の敵も倒せない、非力だよ、僕はどうせ」

「誰もそんなこと言ってねえだろうが」

「ああー、今日も手柄を篠川に取られたぁッ! このままじゃコイツはますます叔父様に気に入られて、姉さんとの縁談がまとまってしまうぅッ!」


 は?!


 お、おい。い、今何つった?

 疑問に思ったのは、綾もらしい。驚きに目を見開いて、臣に問う。


「臣。な、なんだ、その、縁談っていうのは」

「姉さんの結婚相手だよ! 叔父様、篠川のことをかなり気に入っていて、将来的には婿にする計画立ててるんだ!」


 ふざけるな! 俺は心から絶叫した。


「バカだろ、陵家! なんで俺が男と結婚させられるんだ、つーかいっつも俺の意志は置いてきぼりなんだよ、勝手に生徒会入れたと思ったら、今度は勝手に婚約か!」

「俺だって不満だぞ! 家の『しきたり』で女として育てられて…その上、さらに婿までもらうなんて!」


 憤慨する俺たちを見て、副会長は柔和な笑みを浮かべ拍手をはじめた。


「はっははは、良いじゃないですか、お似合いですね」

「たわけか。あんたのあだ名、今日からひょろ眼鏡改めバカ眼鏡だ」

「篠川君は名付けのセンスがないと見える。跡取りがお生まれになった際は、おかしな名前にしないか心配だ」

「先輩が産めるわけねーだろうが、これ見ろ!」


 眼鏡と言い争いながら、俺はつい綾のスカートをめくり上げてしまった。ブルマを履いたその股間は、確かに膨らみを帯びている。女子には無い器官の証だ。


「! な、なにをする!」


 俺は綾に頬を平手打たれた。……うん、痛ェ。


「先輩、この眼鏡に現実っつーのを見せてやろうと思ってですね」

「だからって捲るヤツがいるか! お、俺はイヤだぞ、シノと結婚なんて、絶対にイヤだからなー!」


 そう言って、綾はあらぬ方向へと駆け出した。姉さん!と叫んで追いかける臣。無言の二階堂さん。姉弟仲良しで良いですね、なんて呟く眼鏡。なに、この生徒会。

 俺はこんな生徒会の一員、書記。しかも生徒会長(男)の婚約者候補だなんて、本っっっっ気で馬鹿げてやがる。あー、今日もネトゲが楽しみだ。

 とか、思いつつも。ぶっちゃけ書記になってから、現実の日常が充実してるかもしれない。ゲームしか趣味の無かった俺が変われたような。認めたくはない事実、だけどな……?




                       おわり

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