2-3.その後
「ちょっとちょっと、見たでしょ?果那!」
「あれ、絶対康祐くんだったよね。」
「ね、デザートもう一個頼んでいい?」
矢継ぎ早に繰り出される質問。
食事をしている間中、何度も同じ会話が飛び交っていた。
乾果那は食事中、さっきの康祐たちの姿になぜか腹が立って考えたくなくて知らない振りをしていたが、あらかたお腹が満たされると話しに入る気になってきた。
康祐より食事の方が大事だ、なんてね。
「どうなのよ、果那ってば。」
半ば身を乗り出して話を促そうとしているのは、少しお調子者でイケメン好きの笠間好恵。
「あれは康祐くんだったんだよね、果那。あの子は彼女なの?」
多少冷静に質問してくるのは四人のまとめ役、立花めぐみ。
「すみません、このケーキ追加してください。」
一人、食べ物から目が離せずにいるのが、可愛らしいけど少々ぽっちゃりの鈴木香織。
そしていつも子ども扱いされているのが乾果那だった。
今も好奇心と果那への心配と複雑な表情がめぐみの顔に浮かんでいる。
「あれは康祐くんだったよ。相手はサークルの後輩だって前に聞いた。付き合ってるのかは知らないけど、キスするんだから付き合ってるんだろうね。」
「すっごい可愛い子だったよね、果那もあれじゃ仕方がないって諦める?」
「あのね好恵、私は一度も康祐くんを好きだなんていったことないよ。」
「でも、もし本当にあれが彼女なんだとしたら、果那はもう康祐くんに何でも相談したりできないし、幼馴染だからって一緒にはいられなくなるんだよ。」
めぐみの言葉に、果那は頷く。
「そうだよね、話できなくなるんだね。」
改めて考えると、果那は寂しくなった。
「あれ、やっぱり好きだったなって思った?」
好恵がからかうと、めぐみが突っついて嗜めた。
「違うよ、でもなんか寂しいよね、子供のころから一緒にいるから。」
果那は頬杖をついた。
「私たちから見ればサークルの時も康祐くんは果那にべったりで、悪い虫がつかないように守ってるみたいだったもん。」
「みんなそんなこと言うけどさ、それじゃ康祐くんが私に気があるみたいじゃない。康祐くんはすごいおせっかいなだけだよ。」
果那の言葉に好恵とめぐみが顔を合わせた。
「ねぇ、果那のケーキも一口ちょうだい。」
こんな会話の時でもひとり香織はマイペースだ。
「香織ってばホントに食べることばっかり。」
好恵が呆れて言った。
「そんな私にも、実は彼氏がいたりして。」
突然の香織の言葉に三人は絶句した。
そして、その言葉で思い出したように果那が呟く。
「私も。康祐くんのことより、私は今宙ぶらりんで考え中なの。」
好恵とめぐみが大げさに首を動かして二人を見比べる。
「あんたたち、彼氏がいたなんてひとっことも聞いてないよ!」
「今言ったよ。」
果那と香織が顔を見合わせて笑って言い返した。




