エピローグ
「話を変えてもいいかな。」
康祐は自分の話をすることにした。
「俺、大学院受けるのやめて、就職することにしたんだ。」
果那は驚いて顔を上げた。
「あの、紹介してもらった会社?」
「そう。そこでお世話になろうかと思って。」
果那は満面の笑みで喜んだ。
「おめでとう!」
「ありがと。」
「おじさんも納得してくれたんだ?」
「相当渋っていたけれど、なんとかね。俺にも、親父にも誰にも今の答えが正解なのかどうなのかはわからないけど、自分で責任持てるのはこの答えだなって思えたから。」
「なんだか、大人の答えだね。」
「大人だし。」
果那は笑った。
「私の中で康祐くんって、やっぱり可愛いイメージなんだよね。こんなに体はゴッツクなっているの分っているのに。」
「幼馴染ってやっかいだな。」
「そうだねぇ、でもそれだけ安心感があるかな。」
「その安心感もやっかいだよ。警戒心なさすぎだろ、俺に。」
「そうかな?」
「そうだろ、幼馴染っていいながら2回もキスしてるんだよ。」
果那は黙った。
「しかも軽いキスじゃないんだぜ、どういう意味なんだよ果那ちゃん。」
「意味・・・」
「俺、やっぱ諦めるの無理だよ、嫌だよ!俺のこと好きにならなくても、果那ちゃんも一生独身でいるくらい邪魔してやりたい。」
「うわ、出たな本性。」
「果那ちゃんだってホントに我儘なこと言ってただろ、果那ちゃんのこと好きな俺と離れたくないけど、俺のこと別に好きじゃないみたいな。」
「これって結局どうなるんだろう?私たち。」
果那は眉を寄せた。
「そういうこと考えたってわかないから、そのままでいいよ、そのままで。お互い好き勝手にしてるのが一番いいんだよ。」
「そんな適当でいいわけ?」
「いいよ、そしたら俺果那ちゃんのことずっと好きでいられるし、もう恥ずかしいこともないから果那ちゃんに好きだ好きだっていうもん。」
「え、うざい・・・。」
「うざい言うな、自分だって我儘なくせに。」
康祐は果那の額を突っついた。
「おっとっと」
果那はよろけてベッドに倒れた。
康祐も並んで寝転がる。
「俺さ、果那ちゃんの髪が好きなんだ。」
天井を見たまま康祐は言った。
何度も見る、半分想像のような夢。
星が光る窓辺のベッドで果那と二人、横になっている。
既に寝息をたてている果那のきれいな髪をすくいながら、康祐は幸せな気持ちで眠りに落ちていく。
いつの日にか。
今とは違う関係になっていけるのだろうか。
「私は、康祐くんの腕がいいな。最近、逞しいんだなって気が付いた。」
康祐は腕を果那の方に伸ばした。
「腕枕、してみる?」
「やだ。」
「だろうと思った。」
康祐は笑った。
「あぁ、俺たちの関係、わかった。」
「?」
「幼馴染じゃなくてさ、もうちょっと近くなって、友達以上恋人未満ってやつ。」
「ふぅん。」
果那は適当に答えて、その後小さく笑った。
「それって、やっぱりなかなか進展しない感じだよね。」
「それでも、俺にとっては今までよりいいよ。」
そして、いつの日にか、果那ちゃんと二人で。
ずっと夢見ていること。
月のきれいな晴れた星空の下、いつに日にか二人で・・・。
END。




