プロローグ
長編は書きなれないので、どうなっていくのか自分でも分りませんが(笑)頑張ります。
プロローグ
大きなスクランブル交差点で信号待ちの間、乾果那はどんよりと重たい空を見上げていた。
その表情をそっと確かめるように見ていた長谷川暁は、繋いでいた果那の手をゆっくりと離した。
「今日、本当は伯父さんの見舞いに行きたかったんじゃないのか。」
「どうして。」
驚いて口を開いた果那ははっとして口に手を当てた。
暁は硬い表情で正面を見つめたまま黙っている。
信号が青に変わった。
「そんなに早く歩かないでっ」
小柄な果那は人混みでともすれば見失ってしまいそうな暁の背中を慌てて追いかけた。
人の波をやっとのことで避けながら長いスクランブル交差点を渡りきると、暁が腕組みをして電柱の脇に立っていた。
「果那はどうして大事なことを俺に話さないんだ。なんで俺にそんなに遠慮する。」
果那は首を振った。
「ごめんなさい、怒らせるつもりなんてなかったんだけど、忙しいのに会ってくれる時間を作ってくれたから。」
「だから、なんで俺にそんなに気を遣うんだ。会社の友達に話す前にそういうことは俺に話す事だろう。お見舞いの間くらい俺はどこかで待っていられるし、別の日にしたっていいんだ。」
「俺に話してくれればどうにだってしてあげられるのに。俺と果那のことなんだから。」
いつも穏やかでゆったりと話す暁が苛立った感情を露わにしていることに驚いて、果那は声が出なかった。
「今回だけじゃない、俺はずっと、ずっと待ってたんだよ。些細なことでも果那が遠慮しないでそのままを見せてくれるのを。もう半年以上経つんだぞ俺たち。」
「・・・・ごめんなさい。」
それしか言葉が見つからなかった。
「気を遣ってくれるのは嬉しいことだけど、でも常にだとそれは壁だよ。俺じゃだめなのかと思って、苦しかった。」
暁は果那から目を逸らし、空を見上げた。
「果那は考え事があると空を見上げる癖があるから、そんなときはいつ俺を頼ってくれるか待っていたんだ。でも、もう、これ以上は無理だよきっと。」
はっとして果那は暁の顔を見た。
「無理って、それはどういう。」
「果那は俺のこと別に好きじゃないんだろう。声をかけた俺が同じ会社の人間だし、悪くなかったから一緒にいるだけなんだろう。」
「そんなこと。」
ない、と言おうとしたがなぜか果那は言葉が出なかった。
「果那に好かれてると思った俺が馬鹿だったな。勘違いだったよ。」
暁は背中を向けた。




