參、少年はさらなる事実で混乱する
刑事たちが去ってからほどなくして私服の少年が哀を訪ねて来た。その少年はいかにもハンサムです、といった整った顔立ちをしていて、哀はそれが羨ましかった。
哀も顔は整ってはいるが、それが女子に見えるのとちゃんと男子に見えるのでは大違いなのだ。
そしてその少年は手帳を開くと澄んだ声で、
「孤愁 哀。15歳。男。俺と同い年なんだな。俺は双珠 凪嘩。警察だよ。よろしくな。」
そして凪嘩は手を差し出した。
「ああ、よろしく...」
突然の自己紹介に戸惑いながらも哀は凪嘩の手を握った。
「それと、もしかして今警察だって言いませんでしたか?」
「ん?ああ、俺の言い方がまずかったかな。正しくは警察のパシリだ。」
「パシリなんですか!?」
驚いて哀が聞き返すと凪嘩は鬱陶しそうに頭をかいた。
「まあ、そんなもんだよ。それと、同い年なんだからタメ口でいいんだよ。」
凪嘩の勢いにのまれて哀は返事を適当に返す。
「わかったよ、凪嘩。」
凪嘩は哀に名前を呼ばれて満足したのか、微笑んだ。
「じゃあ、話は別室で聞くからよ、ついて来てくれ」
そう言った途端に凪嘩は哀の手を掴んで早足で歩き始めた。
「あ!ちょっと凪嘩!」
当然ながら哀はベッドの上から転がり落ちた。
哀が凪嘩に連れてこられたのはとても同じ病院だとは思えない近未来的な部屋だった。
「えーと、じゃあまずその椅子に座って。それから話を聞くよ。」
凪嘩にすすめられた椅子に座ると哀は刑事たちにした話をもう一度した。
「なるほど。ふむふむふむ。わかったぜ。」
哀が話し終えると凪嘩は何度も頷いた。それから立ち上がると部屋にあるパソコンをいじり出した。
「何をしてるんだい?凪嘩?」
「ちょっと調べ物をね。...哀。そのお守りとやらを見せてくれ。」
「分かった。」
哀がポケットから石を出して凪嘩に渡すと、凪嘩はそれをジロジロ観察し始めた。
そして十分に観察すると凪嘩は石を哀に返した。
「あー。全部わかったぜ、哀。お前が無傷なわけとかな。」
哀に驚きの表情が浮かんだ。
「教えてよ、凪嘩。」
「ああ、教えるからとりあえず座れ。そんな簡単な話じゃないんだからよ。」
哀は勢いよく椅子に座ると凪嘩を促した。
「わかってるって。...さて、単刀直入に言うとお前は人間じゃない。災厄っていう人間の進化系だ。」
結果、哀の頭はさらに混乱した。
コメジルシです。
よろしければ、感想やアドバイスをお願いします。