形のないもの
ある少女は、ある人に聞きました。
「幸せってどんな形」と。
ある人は少し困った顔をして、答えました。
「それは人それぞれだから」と。
少女は、それを本のような物に書き記しました。
ある少女は、ある人に聞きました。
「苦しみってどんな形」と。
ある人は悟るように、答えました。
「それは人それぞれだから」と。
少女は、その人に聞きました。
「貴方の思う、苦しみって何」
その人は何も答えてくれませんでした。
少女は、本のような物に書き記しました。
ある少女は、ある人に聞きました。
「愛ってどんな形」と。
ある人は少し考え込んで、答えました。
「それは形の無いもの」と。
少女はその人に聞きました。
「どうして、皆、答えてくれないの」と。
その人は答えました。
「それには、はっきりとした形・・・答えが無いから、誰も自信を持って答えられない」と。
少女はその人に聞きました。
「どうして、誰も答えを見つけられないの」
その人は答えました。
「人の心は、1つ1つ違うから、誰も同じ答えにはならない」と。
少女は本のような物に書き記そうとして、やめた。
そしてはき捨てるように。
「無意味、答えが無い、曖昧」と。
無数の本が空に舞う不思議な空間。
少女はそこで1人、佇み、不意に1つの本を手に取った。
そこに記されていたものは、たった数文字。
『幸せ』
次のページをめくれば、また数文字。
『苦痛』
それ以外は、白紙の本。
少女は、羽ペンを取り出した。
少女は、記す前に呟いた。
「答え、形の無いものはいらない」
もう1人の少女の同じ声が空間に響く。
「全ての形は」
『私達が決めてあげる、から』
長編を書いている途中の息抜き的な話として書いてみました。
少女は2人で1人です。別人格みたいな感じです。
形の無いものに形を与える少女のお話でした。描写が曖昧でしたね、すいません・・・。