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序章 競馬という文化の力

競馬という言葉を耳にすると、多くの人が「ギャンブル」「馬券」というイメージを抱くだろう。実際、競馬は公営競技であり、馬券の購入を通じて楽しむことが基本である。だが、競馬の本質をその一点だけに矮小化してしまうのはあまりにももったいない。競馬は単なる射幸心を満たすための遊びではなく、人間と動物が織りなす壮大なドラマであり、また国家規模で経済を支える巨大産業であり、さらには社会福祉に還元される公共事業でもある。


日本における競馬の歴史は、明治時代にさかのぼる。外国人居留地で行われた洋式競馬が始まりであり、やがて全国へと広がった。戦前・戦後の混乱期を経て、公営競技として整備されたのが現在の中央競馬と地方競馬である。戦後復興の象徴として、競馬は国民的娯楽として定着し、多くの人々に夢と希望を与えてきた。


昭和から平成、令和へと時代が移り変わる中で、競馬は常に人々の心を映す鏡のように存在してきた。昭和末期には地方出身のヒーロー・オグリキャップが現れ、日本中を熱狂させた。平成初期には「皇帝」と呼ばれたシンボリルドルフと、その息子トウカイテイオーが「絶対」という概念をめぐる親子の物語を紡いだ。そして平成後期から令和にかけては、ステイゴールドとその子どもたちが、日本競馬の血統と歴史を世界に広げていった。


競馬の魅力を一言でまとめることは難しい。しかし、その大きな柱として「ドラマ性」「経済効果」「社会福祉」の三つを挙げることができる。本作品ではこの三つを切り口として、日本競馬がいかにして人々を魅了し、社会に貢献しているのかを明らかにしていく。

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