表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

消える、消去シリーズ

消失した男の影響

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2025/04/01




 その人物は、ある日突然世界から消失した。


 だからその人物の発した言葉もなかったことになり、その人物が行った行動もなかったことになった。


 誰がその男を消したのかは分からない。


 何がその男を消したのかは分からない。


 ある日突然、男は消えて、現実が改変された。


 ありとあらゆる痕跡が消えて、男のいない世界になった。


 過去は消えて、塗り替えられ、そのまますすみ、未来へ時間がすすむ。


 積み重ねられた時間が大きければ大きいほど、後戻りはできなくなる。


 後になって、数十年もたって、男の存在をとりもどせたとしても、もはや手遅れだろう。





 ともあれ、男は消えた。


 その現実によって、

 結果、とある組織が壊滅した。


 その組織には、とても立派な男性がいた。


 人々を守る自治組織を率いる、正義感あふれる男性だ。


 人々はその男性を英雄と呼んだ。


 鬼殺しの名前を宿した黄金の剣を振るい、凄腕の剣士として虐げられる人々を守った。


 鬼族に支配されていた人間たちを解放してまわっていた。


 そんな男性には、心優しい娘がいた。


 娘には力がなかったが、歌という才能があったため、人々の心を癒しながら過ごした。


 大切な人を失って涙がつきない者でも、その歌を聞けばたちどころに心が癒された。


 人々はその娘を、歌姫と呼んだ。


 歌姫はあまり頭がよくなくて、人の心の機微にうとかった


 そのため、何度かうっかり歌で世界を支配しかけたが、色々あってことなきを得たのだった。


 そんな英雄と歌姫には家族がいた。


 誰にでも気さくに接することができる、女性が。


 その女性は英雄の妻であり、娘の母親であった。


 誰かの背中を支え、傷ついた者たちに見返りもなく寄り添える彼女を、慕わない者などいなかった。


 人々は女性のことを守り神だといった。


 彼らは誰がどうみても、素晴らしい者達であった。


 かたく絆が結ばれている家族で、力強く前に進む不屈の者達であった。


 たまに喧嘩をしたり、衝突したり、互いに問題を起こしあって解決に奔走する事もあったが、大抵は笑い話で終わった。


 そんな彼らが作った組織は、大きくなり、人々を守る素晴らしい組織としてその名前は歴史に綴られていく。


 実は、そんな彼らを導いた隠れた功労者が存在する。


 その功労者の男性は、英雄の友人で、歌姫の師で、守り神の恩人だった。


 しかしそんな功労者の男性は、ある日世界からめっきり姿を消してしまう。


 原因は分からず、誰かにその予兆を察知されるわけもなく。


 男性が紡いできた全てと共に。


 そうしたら、一つの組織が壊滅した。


 英雄は友人と酒を飲みかわし、悩みを話す相手がいなくなったことで、心を病んだ。


 英雄の剣士という重圧に負けて、精神が壊れてしまった。


 歌姫は師匠をなくしたことで、自らの才能を正しく発揮することがなくなり、英雄の娘としてプレッシャーのある日々をすごした。


 そしてどこかで道を間違え、多くの人と家族の手によって討伐されてしまった。


 守り神は命の恩人と出会えなかったため、盗賊に襲われて死亡し、そんな彼女が支えるはずだった人々は立っていられなくなった。


 その結果、組織は立ち行かなくなり壊滅し、多くの人が不幸になった。


 組織の終わりの日、神様が情けを与えたのか、彼らに本当の記憶が与えらえた。


 しかし、偽物の記憶がすりこまれていた期間はながすぎた。


 彼らは元の関係にも、何かをやり直す事もできず、偽りの記憶をもとにして歩んだ時間に縛られながら、これからも生きていくしかないのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ