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「夢」

作者: 勝っちゃん

 1976年生まれ。脳性マヒ妻と子供の6人家族。

 1月に「いちご会の交流会」に参加させていただいた時、小山内さんから「一人ずつ自己紹介と自分の夢を話してください」との一声から、一人一人の自己紹介が始まった。

 小山内さんがお書きになられたいちご通信やブログを思い出しながら、皆さんの話を「一人一人の様々な夢を抱きながら、日々頑張っているんだ」と久々に胸が熱くなりながらも酔いしれていた。

 自分の番が迫ってくるにつれて「で、俺はいったい何の夢があった?」と自問自答を繰り返すが、毎日の仕事と日常生活に疲れていたのか、ただ酔っぱらっていたからなのか「自分の夢」が出てこなく、やっと頭をよぎったのは「ワンカップを持って旅に出ること」しか出でこなかった自分に恥じらいた。

 私の小学校時代も夢を追いかけるのとはほど遠いもので、いつも楽な方、楽な方に追い求めていたかもしれない。

 小学校時代のそんな私の担任の先生は、厳しく勉強から日常生活の事訓練までご指導をしてくださった、少しでも体が良くなれとの思いで、私に「特技」と「夢」をもたせたいとの思いで、6年間接してくださったのではと思い、今さらながら「少しでも、前向きに先生と関わっていたら」と思っても後の祭りである。

 私が小学校に上がる時に、両親をはじめあらゆる方の後押しで道教委や市に陳情をした結果で作られた、特殊学級ではじめは生徒3名と担任の先生、介助の先生で入学式を迎えてのスタートであった。

 生徒は3名いたが、ほぼ、先生とのマンツーマンの授業で、毎朝、手足の訓練と学校内を歩くのから始まり、日課の朝のテストの成績で、1日の授業の流れが変わる事は、子供の私もわかっており勉強よりも、どうやってこの少人数の教室の中でいかにカンニングをし、1日楽しく過ごそうかと考えていた。

 先生の顔色を伺いながらるの毎日で、授業も国語の授業から言葉の訓練、図工の授業から手の訓練、体育の授業から着替えの練習など、授業から訓練に切り替わる事も良くあり、出来ないとすぐゲンコツが飛んで来た。

 そんな先生が嫌でたまらなかったけれども、怒られながらも泣いた後に「なにくそ〜」と頑張ると、ひとつひとつ出来るようになっていくのが自分でもわかっていたからこそ、先生から離れなかったのかも知れない。

 でも月に何回かは、母に「何か今日ちょっとおなかが痛くて、学校にいかれな〜」といって、学校を休んだ。

 母が先生に電話をかけると「昨日は、きつ過ぎたかな〜勝章休みか〜」と先生も寂しそうに話していたよと卒業後に母から聞いた。

 そんな私をリフレッシュさせようと、そんな時は必ず自転車に乗せてくれた。長時間森の中で自転車をこぐ父の背後で学校の先生の事を考えていると父が「いくら考えてもなるようにしかならん、本当に学校が嫌だったら、親元はなれ養護学校に行くと言うのもあるんだよ」となだめるようにして言われると、「いや、友達もいるし楽しい事もあるから、また明日から学校に行って、頑張ってみる」と言って笑顔で家に帰った。

 そして休んだその翌日は何もなかったかのような顔をして、学校に行くとその日1日中先生は優しかった記憶がある。

 いつも「早く小学校終わらないかな〜」と心の隅っこでいつもも思っていたが、楽しい思い出も多く、一人っ子の私にとっては同じ学級の友達とは兄弟のように学校でも友達の家でよく遊びに行った思い出や、休み時間に普通学級から特殊学級に遊びに来る友達と遊んだり、普通学級に混じって行われた運動会や遠足などの行事で健常者の友達と関わった事が思い出でだ。

 けれども先生は授業以外では非常に優しく、私が元気がない時には、先生の家で食事をいただきながら「障害があっても頑張れば、やれる事が増えるんだから」と、励ましてくれた先生であった。

 私の卒業式に先生の目から一粒の涙を見た衝撃で今でも覚えている。

  今では「頑張れば出来る事が増えるんだから」胸の内で叫びつつ、夢を抱きつつ走り出している家族の後押しをしながら、毎日、こつこつと頑張るのだ。


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