8 同じ
必ずここから出よう。絶対助けてみせる。信じて。
あの日のあいつと同じ目。
逃げ道など無いのに絶望しか無いというのに。それでも。
光を希望を信じて疑わないその眼差し。
……裏切り者と同じ……。
気に入らない。
ルシファはメルの首に手をかけ強く締め始めた。
それを見兼ねた男の一人が止めに入る。
「商品に何してんだ! このガキはあの森の付近でうろついてたんだろ!?
となりゃ、取引ランク上位の国の奴だ。しかも王族だから、かなりの大金に
なるってあんた言って……」
「そんなのどうでも良い」
ルシファはその手を止めようとはしなかった。
二人の会話を聞いたナサは悟った。
おそらく禁じられた森は、人買い達の根城。
昔あった神隠しもこういった者達によるものだったのだろう、と。
だが今更、そんな事実を知った所で現実を打開出来やしない。
このままでは自分の命にかけて守ると誓った姫を失ってしまう。
ルシファはかなりの力を込めて首を絞めていた。筈だった。
しかし、メルは叫んだり苦しんだりする様子も無くただ静かに彼を見つめる
だけだった。
その不気味さに思わず手を緩める。
「……同じ」
ぽつりとメルは呟いた。
動じる様子が微塵も無い彼女に、男達は恐怖を覚えとっさに距離をとった。
「誰かを同じ絶望に叩き落とせば、自分は幸せになれると思っている。
自分が絶望から逃れたいから。自分が今までされてきたように。それこそ、
自分が虐げられる者だった時と同じように……そうなんでしょ、ルシファ?」
ルシファは顔色一つ変えなかった。
しかし内心かなり動揺していた。
何故ならそれは。
「『だった』として何が言いたい?」
メルは満面の笑みでこう言った。
「ルシファは優しいね」




