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祝福のエレメント ~故郷を家族を全て失った皇女と侍女の逃亡劇~  作者: ひじり
第三章 ~旅人と砂漠のオアシス~
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2 違和感

夕闇が迫り、徐々に冷え始めた。

灼熱の砂漠でルシファが長いコートを着ていた理由がようやく理解出来た。ラクダに乗せてあった荷物を降ろすと、その中から何やら大きな布を一枚取り出してきた。

それは、テントというものらしい。

地面に杭を打ち付け、布の端についている紐をその杭に結び付け組み立てる。すると布は立体的な部屋になり、その中で寝る事が出来るようになるのだ。

メルとナサは、テントというものに凄く見覚えがあった。

アイサイ公国で居住に使っていた天幕そっくりなのだ。違う事といえば組み立てた後の形。天幕は六角形に近い形になるのだが、テントは立体的な三角形である。


この世界にはまだまだ私の知らない事がいっぱいあるんだろうな。


メルは自分の中に新たな知識が入っていく事を想うとわくわくせずにいられなかった。

ルシファは慣れた手つきで素早く組み立てていく。ルシファが組み立てている間、ナサは今晩の食事の準備を担当する事になった。メルはナサが料理しているところを初めて目にする。

ナサはメルの護衛と身のまわりの世話が主な業務で料理といったものは王宮の料理人に任せっきりだった。

大丈夫なのかな……。

と思ったのはナサ自身もだった。

いざ、料理を始めようと器具や食材を並べたものの何をどうすれば料理が出来るのかさっぱり分からなかった。食材は確かこんなに大きくなくて、もっと細かかったような……と今まで出されていた料理を思い出しながら恐る恐る食材を包丁で切り始めた。

結果は、言葉で表せられないぐらい悲惨だった。野菜は、殆ど火が通っておらず皮も芯も残っていて動物の餌のようだったし、味は想像を絶するものだった。

「これ……は……なんというか……まぁ……個性的な味付けだな……」

ナサを気遣ってかルシファは言葉を濁したが、いっその事素直に不味いと言ってほしいとナサは思った。メルはというと、何も言わずにいつも通りぱくぱくと食べ進めている。

「メル様、その、大丈夫ですか?」

当の本人はというと

「ん? 何の事?」

ときょとんとした顔だった。

そんなメルに若干引き気味の二人だったが、ナサはふと思った。


メル様ってこんなに味おんちでしたっけ。

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