そして時はすぎ(エピローグ)
いろいろ心配していた時期から。
数ヶ月が経ちました。
あれから楓は少しずつ帰る時間も早くなったし。
絆創膏の数も減りました。
そして受験の時期には普通の生活に戻っていて。
無事、志望校にも行けました。
自分はとても安心しました。
その頃でしょうか。
すももちゃんは来なくなりました。
理由を聞く時期かもしれない。
そんなことを思いました。
でもなんて聞けばいいのか。
なんて切り出したらいい?
そんな気持ちでいっぱいです。
悪の組織とは?
世界平和はどうなった?
聞きたいことがありすぎて。
だんだん何から言葉にしていいのか、わからなくなります。
そして口を開こうとした瞬間です。
【楓】
「お兄ちゃん、どうしたの?」
不意に声をかけられます。
【壮太】
「いや、そのなんていうか、前の話なんだけどさ」
【楓】
「すももちゃんのこと?」
【壮太】
「うんなんか穏やかじゃなかったし」
【楓】
「いきなりで信じてもらえないかもだけど、わたし魔法少女として戦ってたの」
【壮太】
「…………え?」
【楓】
「っていきなり言われても信じてもらえないかもだけど、それでもいいの」
状況を疑った。
楓は何を言っているのだろうか?
いろんなストレスで心を病んでのではないかと少し不安になる。
【楓】
「世界平和を守るまで秘密だったの、今まで黙っててごめんね」
【壮太】
「そうか、よくわかんないけど、大変だったね」
【楓】
「詳しいことは話せないけど、大変だったよ、変なのがいきなりきてさー、もう最初はパニックだよね」
これを皮切りに。
楓は何か思い出深そうに話していた。
2回目だか、3回目の戦闘ですももちゃんに救われたこと。
それ以来パートナーを組んで、悪の組織から来る何かと戦ったこと。
そのほかにも、すももちゃんとケンカして、うまくいかなかった時期の話や。
最後の方に戦ったのすごく強かったとか。
いろいろ話してくれました。
でも、兄は全く、なんのことかさっぱりわかりません。
こんなトンでるお話を母なんかにしたら。
失神するに違いありません。
今日は幸い2人とも春休みで両親は仕事。
この秘密を聞いたのは自分だけ。
楓もこの話は親にはしないでねと。
そう締め括りました。
すももちゃんとは、10年後に再開しようと約束した。
その報告を持って。
この話はおしまい。
兄妹の胸の中にしまわれます。
ケンカしたとか話が出ましたから。
少し冷や冷やしましたが、友情決裂はしていなかったみたいです。
自分がかけられる言葉は。
一つだけでした。
【壮太】
「パンケーキ、食べに行こうか?」
【楓】
「あんま、お小遣いないよ」
【壮太】
「バイト代入ったから奢るよ、お疲れ様」
【楓】
「いいの?」
【壮太】
「兄妹じゃないか、いくぞ」
【楓】
「うん……ありがとう……お兄ちゃん」
まだ少し春の風は冷たいので、2人で上着を来てから。
出かけます。
嬉しそうな楓を久しぶりに見れ。
兄はとても嬉しいです。
どうやら非行とか。
欲求不満とか。
思い過ごしで良かった。
なんか詳細はよくわからないけど。
頑張った楓にご褒美をあげれることが。
嬉しく思います。
これからも、変わってるけど真っ直ぐな妹であってほしいと。
兄は願うのでした。
【了】