とある日の雑談【ハロウィン】
合流後、とある日の雑談。
「悠希さん、ハロウィンの話?」
野営にて鍋をかき混ぜていたら、不意に瑠果ちゃんがそう言った。
「えっ、あっ、心の声もれてた??」
「もれてたもれてた」
ぷちぷちと香草をちぎり入れながら瑠果ちゃんはにこにこ楽しそうだ。
「ハロウィングッズとかもあったねぇ」
「秋も終わりに近いな、と思ったらつい……」
公式から出ていたのはキーホルダーにミニポスターとかだったかな。みんなそれぞれモンスターをモチーフにしたコスチュームを着たイラストだった。
レオンハルトは狼男、
アルフレートはフランケンシュタイン、
テオドールは吸血鬼、
バルトルトは牧師、
ニコラウスはミイラ男、
そして瑠果ちゃんは魔女っ子でした。あの衣装はスカートがかぼちゃっぽくなっていてめちゃかわだったな。私は恥ずかしいので着ない!!と瑠果ちゃんは言っていた。ちぇっ。
「でもここのみんなのイメージだとまた違う感じだよね」
「そうだね、少なくともレオンは狼じゃなくて犬かな」
「わかる!!」
そのあとは段々にイメージに合う動物の話に変わっていった。
レオンハルトは二人とも同意見の犬! もしくはまさに猪突猛進なのでイノシシとかも。
アルフレートは常にマイペースなところが猫っぽい? 魔法使い的にはふくろうもいいな。
テオドールは猛禽類も捨てがたいけどイメージとしては豹とか似合いそう。
バルトルトは……穏やかなところが馬……だけど意外に頑固だし、力持ちなので熊とか。
ニコラウスは、私はほとんど関わっていないのでイメージが湧かないけれど、瑠果ちゃん曰くキツネとかカラス。胸の内に色々抱えている感じと、あと日本的なイメージで真っ白な神の使いっぽいところだそうだ。なるほど。
「盛り上がってるな! 何の話だ?」
「みんなを動物にたとえてたの」
枝を腕いっぱいに抱えたレオンハルトとテオドールが焚き火のところまでやってきた。アルフレートとバルトルトもそれぞれやることを終えて戻ってきたので、これから夜ご飯だ。
さっき瑠果ちゃんと話していたイメージ動物を当てはめる話題をみんなにも振ってみたら、こちらでも犬か猫か、というのは結構あるあるな会話らしい。レオンハルトが犬、というところは満場一致になったのがちょっと面白かった。やっぱりそうだよね。
「瑠果ちゃんは……うーん、ウサギとかリスのふわふわ感があるんだけど、中身はライオンかも。実際のというか、一般的なイメージの方の」
「えーー、そう、かな?」
「らいおん? それってどんな動物?」
「ああ、こっちにはいないか。猫の仲間なんだけど、勇敢で力強い印象かな」
アルフレートが私の説明になるほど、と頷いた。さすがにアインヴェルトにライオンや豹みたいな大型の肉食獣はいないか。アルフレートの故郷周辺には熊がいたらしいので、この世界の大型ケモノの代表はシカや熊かもしれない。
「ウサギとかリスっぽいのは悠希さんだと思うなぁ
小動物っぽいところあるよね、動きがかわいい」
「いやいやいや!!!
あ、でも、確かに言われたことはあるかな、落ち着きがないって方面で」
そんなことないから!!と言った瑠果ちゃんは、他の面々に顔を向ける。
「じゃあ犬と猫なら、みんなはどっちだと思う?」
「犬!」
「犬じゃない?」
「犬ですかね」
「……猫」
あれっ……テオドールだけ違うんだ。
犬か猫かで言われると、大体犬と言われることが多い。動物として好きなのは猫の方だけど。
「そうですか? ユウキさんはこう、元気で明るいところが犬っぽくないですか?」
「そうかもな」
テオドールのバルトルトへの返答が適当だ。どうして猫っぽいと思ったかは言ってくれる気がないらしい。……ちょっとだけ、残念。
確かに元気で明るくて慣れると人懐こいところは犬っぽい。
ちょこちょこ動いて色んなものに興味が移るのは小動物のようでもある。
でも、目を離すとどこかに行きそうな雰囲気があるし、意外にも心の内は読みづらく思い通りに動かない。総合的に見るとどちらかというと猫っぽい。
というのが「そうかもな」に含まれています。