第16話 謎の洞窟と冒険者
投稿遅くなりました。
「あ~疲れた。質問攻めされるの初めてだし……」
「すまん灼狐。余計なこと言ったせいで他の事出来なくて」
「大丈夫だよ。疲れただけで楽しかったし」
「それにしても、途中でバーベキューやってる人たち以外にも集まってきて最終的にお前の火を操る力を使った芸の発表会になったのは驚いたな。と言うかそんな能力あるの知らなかった」
質問攻めされている途中に、なんか面白そうな芸ないの? と聞かれた時に咄嗟に思い付いたのが火を操る使って見せる事だった。
あらゆる安全対策を講じた後、ちょうど良いところにあった岩に向けて火の玉をぶつけてみたり、火を操って文字を空中に書いたり等していた。
ただ岩に火の玉をぶつけて焦がすのは楽だったが、火で文字や絵を周りに被害を与えずに描くのは大変だった。思い付きのぶっつけ本番でやった為、解読不能だったり危うく爆発させそうになったりしたのだ。
お陰でもう動きたくなくなるほど疲れてしまったので、もっと練習する機会があればしておこうと心に誓った。
「さて、もうそろそろ寝るか。それじゃあお休み~」
「お休みなさい」
「うん、お休み」
そうしてテント内に軽く敷物を敷き、眠りについてしばらく経った時、不意に響いた何かが崩れるような音に起こされた。
「まさか、落石か土砂崩れ? いや、それにしては音が違うような……おい、起きろ!」
「起きてるよ~。あれだけの音が響けばね」
「ふぁぁ……何今の音?」
「分からん。だが、仮に土砂崩れとかだったら不味いから見に行くぞ」
外に出ていっても大丈夫な格好をしたままだったので、そのまま靴を履いてテントから出ていく。
案の定、他のキャンプ参加者たちも謎の音を聞いてテントから外に出てきていた。
「おいおい何だよあれ……」
「河原のど真ん中に洞窟がいきなり現れるなんて」
「絶対に入るなよ! 子供連れの奴はちゃんと見とけ! 俺は一応スタッフの小屋に報告してくる」
そこで見たのは、このキャンプ場のほぼ中心を流れている川を塞き止めるようにして出来ていた、下へと続く階段がある洞窟だった。
少し覗いてみたところ、洞窟の両側には壁掛けの松明が等間隔に並んでいて、薄暗そうだったが真っ暗闇で見えないと言うことは無さそうだった。どう見ても自然物ではないだろう。
更に、時折洞窟から感じる妖しい気配がここから離れた方がいいと俺に対して訴えかけてくる。
しかし、今は夜中だ。俺には狐の女の子になってから得た僅かな光で周りが見える能力がある上、妖術を使えるが他の人たちには恐らくそんな能力はないだろうから危険だ。
さてどうしたものかと思ったら、階段を何者かが上ってくる音が聞こえた。足音は人間の物と良く似ているが、もしかしたら人型の魔物かもしれないので、一応戦闘にすぐ入れるように準備はしておこう。
「はぁ……はぁ……やっと出れ……え? ここどこだよーー!!」
「兄さま、落ち着いて。慌てても何も始まらないよ。幸い人が沢山居るようだから聞いてみよう。ね?」
「本当、お前は良く冷静で居られるよなぁ」
洞窟から少し離れた場所で身構えていると、中から出てきたのは男女合計2人だった。男の方はロングソードに西洋の甲冑のような防具を身に付けている。女の子の方はキャンプ場に居る全ての人に対して警戒心を抱いてはいるものの、こちらに近づいてきていた。この間の恐喝集団と同じ帝国を名乗る人たちなのだろうか?
「あの……すみませんが、ここって一体どこなんでしょう?」
「ここですか? 東京の郊外にある東ノ山って言う所にあるキャンプ場です。それで貴方たちは一体誰ですか?」
「トウキョウ……ヒガシノヤマ……どうなってるんだ?」
「ごめんなさい、兄さま混乱してて。私はルーネ、兄さまの方はネルセ。冒険者やってます。バルスカント王国……て言う所にあるダンジョンを攻略しようと洞窟に潜ったのだけど、その途中で謎の地殻変動に巻き込まれて……」
冷静なルーネの説明によると、バルスカント王国と言う国にあるダンジョンを攻略するために洞窟に潜った所、突然の地殻変動に巻き込まれた挙げ句に迷ってしまって出れなくなり、死に物狂いで出てくる魔物を蹴散らしながらやっとの思いで脱出したらここに出てきてしまったと言う。
「なるほど。ただ申し訳ないけど、私たちにどうこうする事は出来ないですね……」
「いえいえお気になさらず。それでいくつか質問がありますが、よろしいですか?」
「はい。どうぞ」
まず彼女たちの出身国のバルスカント王国について知っているかどうかと言う質問があり、次に対立しているらしい国ヴァノン帝国について、その後は魔物や魔法・鉱物等について色々聞かれた。
殆んど知らない事ばかりであった為、質問にロクに答えることが出来なかった。
「ありがとうございます。一応バルスカント王国は私の居た世界では列強の部類に入って、ヴァノン帝国も同じく列強で、す。魔物や魔法も最近発現したばかりで殆んど知らない、ダンジョンも存在しない。これらの事から恐らく私たちの入ったダンジョンごと異世界……つまりあなた方の世界『地球』に
来てしまったと言うことですね」
彼女たちの話を聞き、俺や一部ファンタジーに耐性のある人たちはこの展開に
「ダンジョンごと……もしかして他にも人が? 中に居る魔物が外に出てくる可能性はありますか?」
「全くないです、なので安心してください! と言いたい所ではありますが、異世界にダンジョンごと移動したし、入っている途中にダンジョンの構造が変化したのでもしかすると可能性があるかもしれないでしょうね」
確かに彼女の言う通り、外に魔物が出てこないと言う確証はない。結構危険ではあるがキャンプを中断して山を下り、小屋の中で一晩過ごそうかと思った。
「仕方ないからキャンプを中断――」
そう言いかけた時、ダンジョンではない山から突然魔物が現れた。
「兄さま、オークが3体現れたみたいだよ。いつまでも混乱してないで早く倒そう」
「……はっ! 済まない。分かった」
オークを見た2人は剣を抜くと、まるでその辺を飛んでいる害虫を叩き潰すが如く、ほんの僅かな時間で細切れのミンチにしてしまった。物凄い力である。
そうして山からオークが出たことにより、夜中に山下りは逆に危険と言う判断した俺たちは交代で夜が明けるまで見張りをすることになった。
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