プロローグ
最近心霊モノにハマりました。
この世界は二つに分かれている。
一つはオレ達今を生きる生者達の世界現世。
そして、もう一つが肉体を失った思念体・・・俗に言う幽霊達死者の世界常世。
本来、現世に生きる者は常世に干渉は出来ず、死者と関わることはほとんどない。
だが・・・ごく稀に常世に干渉出来てしまう人間がいる、それが霊能者と言われる存在だ。それはただ見るだけの力だったり、仏教などに携わる人間などは幽霊に干渉できる力を持っているらしい。
え?何でそんなことを知っているかって?それは、オレ自身が霊能者と言われる存在だからさ。
まぁそんなに珍しいことじゃない。霊能力自体は誰でも持っている、ただ目覚める人と目覚めない人がいるだけだ。
オレの名前は名護 凱、今年で中学生だ。言っとくけど厨二病とかじゃない。とある事件で臨死体験をしてそれをきっかけに今まで、見えなかったものが見えるようになってしまった。
すごい力だ?羨ましい?充分珍しいだろ調子に乗るなって?
おいおい。本当にこんな力を羨ましいと思っているのか?これはそんな羨むような力じゃぁない。実際今見えている光景を見ればきっとすぐにでも撤回したくなるに「アアアアァァァァァァァ」
グシャァ!!!!
いきなりアパートの屋上から何かが落ちてくる。
それは潰れて原型を留めていないがそれは恐らく人間だったものだろう。
これは、オレの恩人の霊能者に聞いた事だが人間は、壮絶な死、死ぬ瞬間に受けた恐怖があまりにも大きい時、自分の死を認識していない霊は、死んだ後もその死を繰り返しし続けるらしい。おそらく、今目の前で肉塊になった幽霊も飛び降り自殺をしてそのままその時の死を繰り返しているのだろう。
ちゃんとした供養がされればこんな事にはならないのだろうが、今の住職などをやってる人はほとんどは礼を鎮めたり、成仏させるような力を持たないらしい。だから、この世界には、死んだ人間の魂で溢れかえっている。
まださっきのような、ただ死の瞬間を繰り返す霊はいい方だ。浮遊霊と呼ばれる生前の記憶をなくしてただ彷徨っているだけの幽霊は厄介だ。目をあったらめちゃくちゃ付きまとってくる。自分を見える人間に興味を持つのだ。だから基本、幽霊は無視しなければならない。
前置きが長くなってしまったがこんな体質でもまだ羨ましいと思うか?羨ましいと思うならくれてやりたい。
この体質のせいで精神病にかかっているんじゃないかと思われて療養のためにこんな田舎の学校にまで転校してきたのだ。
実際自分も頭がおかしくなって来ているのはわかる。昔ならあんな人間がミンチになる瞬間など見せられたら失神ものだったが、今は平気で踏みつけて見なかった事にして無視できる。
ともかく、のどかな風景・・・とは言い難いが少なくとも都会よりは幽霊の数も少ないし、前よりは静かな暮らしが出来るだろう。
オレは出来るだけ、もう幽霊に関わらずに過ごして行きたい。
そうこう言っている間に着いたようだ。
この黄泉川中学でこそちゃんとした、学園生活を送るだ。
そう意気込んで凱は、学校内へと入っていった。
厨二病なんだよなぁ