異世界小説がわかった! 異世界とは異世界ちゃんのことだったんだよ!!!
最近、異世界転生についてのエッセイを読んで、自分なりに異世界というものを再考してみた。
それで、結論として、異世界転生や異世界転移というジャンルは、作者が『異世界』を一種の擬似人格として捉えているのではないかと考えた。
つまり、『異世界ちゃん』に対するアプローチが、転生や転移の流行につながっているのではないかという見解である。
異世界転生や異世界転移が流行った要因としては、おそらくは『イージーモード』への切り替えと、『自己投影』のふたつの要素によるものと思われる。
イージーモードというのは、ゲーム的な発想で、なにがあっても最終的にはうまくいく。努力がみのる。主人公にとって都合がよい。そういう状況のことである。
これは、つまり、異世界ちゃんはチョロインであるということである。
※チョロイン=チョロイ+ヒロインの造語であり、カンタンに主人公になびくヒロインのこと。
また、『自己投影』とは、現実では冴えない主人公が異世界では大活躍するということであるが、『現実には冴えない主人公』のところに共感させて、自己投影させるということである。つまり、『現実の読者は冴えない』が、作中の主人公も「現実」であれば冴えない。ここに近似であることから共感を得られるということになる。
では、なぜ現実世界において話を展開させないか。
異世界にわざわざ転生や転移をさせるのかという話になるが、異世界を擬似人格として捉えているからである。異世界ちゃんだからである。異世界ちゃんは作者にとって理想の人格を有している。したがって、異世界ちゃんは作者の理想が反映される。
これは当然だろう。異世界とは現実には存在しない作者の妄想の世界であるのだから。
ただ、ここでいう「異世界」を想像してほしい。
異世界と聞いておそらくほとんどの方が思い浮かべるのは中世ヨーロッパ風、あるいはちょっとひねって中華風のファンタジー世界だと思われる。
例えば、SFのように、科学が発展しまくった世界も異なる世界、つまり異世界ではあるのだが、そうではなく、中世あたりに収斂されている。
なぜか?
まず、現実とのズレがあまりにも広がりすぎると、さすがに嘘くさすぎるからだ。
現実ちゃんは超高難易度キャラクターであり、これを攻略するのは厳しいものの、実際には現実に生きている以上は現実ちゃんを攻略したいのが本音である。
したがって、異世界ちゃんは現実ちゃんに似ている。
似ているが、文化的に見て中世程度になるのは、要するには異世界ちゃんを想像力によってコントロールしやすいと考えるからである。異世界における文化のレベルは異世界ちゃんの年齢に相当すると考えればわかりやすい。
つまり、異世界転生/転移で中世ヨーロッパ程度の文化レベルにするのは、作者がロリコンだからである。
次に、異世界転生については、ソロ転生と複数転生に分類できる。
これももはやカンタンに分析が可能だろう。
ソロ転生が好きだという人は『処女厨』なのである。
※処女厨=処女が好き。処女じゃなきゃ嫌という方々。
ソロ転生を好んで書くあるいは読むということは、処女厨と同じである。
異世界ちゃんは作者の妄想の産物であるから、ケガレなき存在である。現実原則というケガレに触れていない。処女雪のような存在である。
ここに最初に踏みいるのは主人公であり、主人公は異世界ちゃんの中に、多量のケガレを撒く。
あ、うん。このあたりの表現は少し控えめにしようかな。(自重)
ともかく処女雪を踏みちらかすということに喜びを覚えるタイプであれば、ソロ転生が良い。
じゃあ、複数転生は流行らないのか?
そうともいえないのは事実、複数転生/転移ものも数多く見られることから、カンタンに反論が可能だ。案外、異世界ちゃんは処女じゃなくてもよいということかもしれない。
中世ヨーロッパ文化程度は異世界ちゃんはロリなのに、処女じゃなくてもいいの?
いいのだろう。
中世ヨーロッパ風世界が好きというのがロリコンであるなら、基本ロリコンは処女厨であると思うので、中世ヨーロッパ風複数転生モノはロリビッチということになってしまう。
ロリビッチモノもなくはないということなのかもしれない。
次に、チートで力を振るうという構図。
これは、誰かに怒られるかもしれないが……、
たぶん、異世界ちゃんを心の底ではレイプしたいと考えているということだと思う。
いくつかの作品では、チートを使う転生者/転移者に対して、『世界が壊れる』つまり異世界ちゃんが壊れちゃうというような表現をしているものもあった。
作者は無意識にしろ意識的にしろチートを使う。つまり暴力によって、その世界の理自体すら書き換えることを、快楽だと捉えている。
他方で、チートになんらかの制限を加えることもある。
物語構成的に野放図なチートを垂れ流すと収拾がつかないということもあるのだが、理性的にみて異世界ちゃんレイプがよくないことであると考えている面もあるかもしれない。
またチートを抑制的に使う作品は、チートを暴力ではなく、一種のたくましさのようなものだと捉えているのだろう。
異世界ちゃんに対するセックスアピールになりうると考えているのだ。
さすが主人公様っ!
異世界転生/転移におけるヒロインちゃん。
ヒロインちゃんは言うまでもなく、異世界ちゃんのことであるからもうなにも言うべきことはない。
ヒロインちゃんは異世界ちゃんのよりしろだ。ヒロインを好き勝手したいとなれば、奴隷少女になるし、文化的にマウントをとりたければ、日本製品を取り寄せて、日本技術SUGEEEEさせればいい。
基本的に中世ヨーロッパ風に転移転生させるロリコン作者は、幼い少女をヒロインに置くことになるだろう。
理想のヒモは幼女じゃないけど?
わたしは文化レベルが中世ヨーロッパ風というところにコントロールしやすいってところを見たわけだが、それは異世界ちゃんを自分色に染めたいという欲望が前提としてある。あの作品には文化的マウントの要素はさほど感じられない。異世界ちゃんが無限に甘やかしてくれる母親のような感じなのかもしれない。
非転生モノについて。
異世界ちゃんからすれば、非転生モノというのは異世界ちゃんの器官である。
したがって、非転生者は、異世界ちゃん自身に他ならない。
しかし待ってほしい。
異世界ちゃんは「異なる」世界ちゃんであるから、非転生者からみた異世界ちゃんは異世界でもなんでもない。現実ちゃんである。
困りましたね。
単純に言って、異世界転生/転移というものは、異世界ちゃんとセックスしたいという欲望によって構成されているのだが、異世界ちゃんが、作者あるいは読者にとって、他人格でなければ、それは単なる自慰となってしまう。異世界ちゃんを他人格として捉えるときに、「読者にとっての」「作者にとっての」という前置きをつけなければならない。したがって、欲望が減衰する。コンドームつけたセックスみたいなものだ。
非転生モノは、コンドームをつけたセックスでも気持ちいいですよという評価がなければ成立しない。
いや違う。むしろコンドームをつけたセックスが至高であるという評価がなければいけないわけだ。
どうやればそう思えるか?
異世界ちゃんが他人格であると強く感じられればよいということになる。
自慰ではなくセックスだと思えればいい。
であれば、非転生主人公も成り立つ。
そうなると、おそらくだが非転生主人公というのは、異世界ちゃんから見てわりと距離をとっている存在ということになるだろう。異世界ちゃんとは、世界といっているが、その内実としては世間一般のことであるから、世間知らず要素をふんだんにもりこめば、いちおう成り立つのかなぁ……という感じ。
挿入……エロい意味じゃなくて、物語の導入部については、異世界ちゃんを他人格とするためのサインがあったほうがいいだろうな。聖剣をひっこぬくとか、なにかそういう、これから非転生主人公にとっての世界は異世界になりますよというサインが必要になる。
うちの娘がかわいすぎるは?
主人公がなんか高位の神官という設定だったりして、世間ズレしている。
娘を拾って異世界化する。
殺伐とした世界に彩りが添えられると考えれば、成り立つな。
よし、これでおしまい。
異世界小説がわかった!