第4話
いろいろと説明の話になりました。
出て行った男が戻って来ると呂鬼が寝ていたベッドの横にある椅子に座り徐に口を開く。
「さて、まだ傷が痛むだろうがちょっと時間くれるかい。」
「はい」
そして男は口を開いた。
「まずは自己紹介からかな。俺はボイル・アルベルトつうもんだ。ちなみにここは俺と嫁さんが経営している宿屋で『月の雫』ってんだ。坊主の名前は?」
「草壁 呂鬼です」
「クサカベ・ロキかぁ。珍しい名前だな。この王国の人間じゃねぇのか?」
「王国とは?ここは日本じゃないんですか?」
「ニホン?どこだそりゃあ。聞いた事ねぇぞ。ここはアークハイト王国のコリスって町だが始めて来たのか?」
「アークハイト王国……コリス……。すみませんがわかりません。俺……自分が住んでたのは山の中にある村だったので…」
「(王国の名前も知らないってどんなけ田舎なんだ)そ、そうかぁ。次だ、なんでユークの森に倒れてたんだ?」
「ユークの森?村で倒れていたんじゃないんですか?」
呂鬼(以後ロキとする)の言葉に少し考えるそぶりを見せるボイル。
「転移系の魔法か(ボソ)いや……記憶の混乱か……」
「魔法…?(なんだ魔法って、お伽話とかのあれか?術式とは違うのか?)」
「おいおい(汗)、魔法も知らねぇのかよ(こりゃ、一部記憶喪失かもな)」
二人はそれから少し話をして、ボイルは仕事に戻ると言って出て行った。
ボイルとの話で得た情報をロキは整理する。
ここは『マテリス』と呼ばれる世界で地球ではない。『アークハイト王国』で、『コリス』と呼ばれる町。この世界の通貨は『円』ではなく『M』(マルク)で約10円が1Mである。ただし物の価値は地球と全く違うらしく1ヶ月7千M(7万円)が一般的な収入らしい。
1年は360日で1ヶ月30日で固定らしい。1日は24時間で地球と一緒であるため助かったと思ってしまった。
そして、この世界には魔法があり魔物がいる。それを倒したりして収入にしているのが『冒険者』であり、依頼の管理などしているのが『ギルド』だと言う。
ちなみに獣人やエルフは居るが鬼はいないらしい。聞いた時すごい不思議な顔をされた。
自分が鬼であるのは隠しておこうとロキは思った。
あと3日もすれば完全に鬼の力が戻るが、角は自由に出せるため出さなければ力の半分も出せないが、ばれるよりはいいだろう。ただ角が無くても獣人族並の力があり、人族よりも強いのはロキはまだ知らない。
ひとまず自分の状況が判った為次に今の所持品について調べる事にした。
今ロキはボイルさんのお下がりのシャツと半ズボンを着ている。
元の服は破損は少ないが血が凄かった為、洗って壁際にある机の上に畳んで置いてある。
元の服は黒のベストで、鬼の村特製で防御力は鉄の鎧並にある。下に着ていたシャツは血でもう着れないだろうなと思った。
ズボンは深緑色のカーゴパンツでポケットが多くこれも特製なので防御力と伸縮性に優れている。
机の横には自分のミリタリーブーツが綺麗に置いてある。
自分の所持品は以上で、愛刀は無かった。
ロキは動けるようになったら身元不明でもなれる冒険者になって、生計を経てようかと考えていた。
ギルドカードは身元保証書にもなるらしく他の町や国に入るのに面倒な審査は免除されるらしい。また税金も免除されるが、魔物の町襲撃による緊急召集には応じなければ、多額の金額を払わなければならないなど決まりがある。
そんな事を考えている頃、ロキが居る部屋に近付く3つの影が向かっていた。
説明でした。
甘い世界設定かもしれませんが、今思いつくのがこれぐらいでした。
今後ともよろしくお願いします。