プロローグ
『鬼』その存在を知る者は少ない。
日本のとある山の中に鬼の住む村がある。
その村は今日終わりを告げようとしていた。
≪時は日が昇る1時間前≫
全身を黒い服に身を包んだ男達が鬼の住む村に向かって進んでいた。
「本当にやるのか?」
黒服の一人が先頭を歩く黒服に声をかける。
「あぁ、一人残さず殺せとの依頼だ」
黒服のリーダーらしき先頭を歩く男がそう答えた。
そして男達は日が昇る30分前に村に着いた。
「計画を実行する」
リーダーの男がそう告げると仲間の男達は銃やナイフを手に音なく夜明け前の闇に消えて行く。
≪夜明け前10分前≫
大きな爆発の音に青年は目を覚ました。
青年の名前は草壁 呂鬼(くさかべ ろき)赤みの入った黒髪に、碧い瞳を持つ鬼である。
爆発音と共に沢山の悲鳴が村に響き渡る。
続いて銃声が鳴り始める。
呂鬼がこの状況を判断するまでそこまでの時間は掛からなかった。
「ちっ、まさか奴らが攻めて来たのか。よりによって今日とは……」
呂鬼は身支度もそこそこに武器片手に家を出る。
本来鬼は人を遥かに超える力を持つが、年に数日力が弱まる日がある。それが今日なのだ。
弱まった力は人と大して変わらない為、爆弾や銃に成す術無く鬼は倒れていく。
一瞬でも隙を作ってしまった自分に反省しながら銃を持つ黒服を探す。
「そこか!」
すぐさま黒服を見つけ出した呂鬼は敵に向かって駆け出した。
「よくも、よくも村の皆を!!!」
呂鬼の殺気にたじろぐ黒服だがなんとか引き金を引きまたも銃を打つ。
弾を食らいながらも黒服の近くまで走り着いた呂鬼は痛む身体に鞭を打ち、愛刀『水月』を抜き放つ。
殺気により動きが鈍った黒服は成す術なく斬られ地に伏せる。
一人倒したが5発もの銃弾を受けた呂鬼に残された力はなくその場に倒れ込む。
「くっ……、誰も守れずに……終わる…の…………か……」
そして、呂鬼は意識を失うのだった。
力の弱った鬼達は黒服達によって瞬く間に倒され、この世から姿を消したのだった。
もし本来の力が使えたならこのような結果にはならなかっただろう……
「依頼完了だな。……なぜ人間は他の種族を受け入れられないんだろうな」
黒服のリーダーはぽつりとそうつぶやくと生き残った仲間と共に帰るのであった。
急ぎ足で進めた感がひどいです。