変化
読まなくても全然大丈夫なお話です。入れようか正直迷いました。
西暦1052年
その日世界が変わった。
魔王。魔族の王。魔を統べる者。言い方はたくさんある。だがここでの意味は少し違う。
ここで指す魔王とは人類共通の敵。
人類と魔族の戦争が起きてから、500年。
魔族や魔王という共通の敵がいたからこそ、人類間での大きな争いは起きなかった。
つまり、魔王とは人類にとって哀れなスケープゴートのようなものだった。
魔王がいたからこそ人類同士で争うことがなかった。
今日その均衡が崩れた。
人類は人類に攻撃を受けたのだ。
国が国を狙った。
各国に衝撃が走った。どの国も予想してなかったのだ。いや少なからず予想していた者はいた。しかし、500年という月日は多くの人の神経を緩ませるのには充分すぎた。
誰もが人同士の大きな争いは起こらないと高をくくっていた。
だが、起きてしまった。
今まで築いていた国と国の関係は砂上の城の如く崩れていった。
むしろ、今まで起こらなかったのが奇跡なのかもしれない。人の本質は欲望だ。世界には資源にしろ、土地にしろ限られたものがほとんどだ。人はそれらのものを決してわけあおうとはしない。独り占めしようとするのだ。
これは本能だ。だから争いが起こる。
人の歴史を紐解いてみると争いに埋め尽くされている。
賽は投げられた。もう後戻りすることはどれだけ願おうが適わない。
始まるのだ。今までに無い大きな争いが。どうしようもないほど欲望にまみれた争いが。
「ままごとはもう終りだ。始めよう。本当の地獄を。」




