少年の現実
はい、始まりました。
え?だれも望んでない?んなもんしったことかーーーー
という訳で勝手に始めます。
見るに堪えない駄文ですけど読んでくれたら幸いです。
俺の手は届かない。
いつもひたすら光が一筋すら差さない洞窟の中を走っている。周りに何があるかも分からないから、不安が溢れ出し心がギュッと締め付けられ息が止まりそうになる。でも、走るのを止めない。何度も何かにぶつかる。何度も足を引っ掛けて転ぶ。でも、走るのを止めない。全力疾走しているせいか身に着けている衣服は自分の体から分泌された液体でグッショリと濡れている。口から胃液も混じった自分でも信じられないような量の唾液が撒き散らされている。傍からみたら見るに堪えない醜い光景だろう。でも、走るのを止めない。
何故自分は走っている?自分の頭の中で何度も反芻された疑問だ。もはやどこにいるのかも分からない。もしかしたら洞窟の出口の反対方向に進んでいるのかもしれない。でも、走るのを止めない。しかし、どれだけ走ろうと出口どころか一条の光すら見つからない。
俺は出口にたどりつけなかった。俺の手は掠りもせず届くことはなかった。
「カイーーーー!!いいかげんに起きなさい!!」聞きなれた女性の怒声が耳に響く。
「んぁ・・・もう朝か。」目を擦り倦怠感の抜けない体を無理やり起こす。
「何がもう朝よ!!もう昼よ!ひ・る!」寝ぼけた俺を見て母さんが呆れたように溜め息をつく。
「あ、ほんと?」たいして驚かなかった。よくよく考えればここ一週間はこの時間帯に起きている気がする。
「はぁ~~。この子ったら、もう少し何とかならないかしら。となりお子さんはまさかの勇者に選ばれるほど優秀なのに、うちの子の堕落ぶりときたら・・・」
胸が締め付けられる。
「勇者か・・・」
そう、この村から勇者が選ばれた。選ばれたのは隣の家に住む幼馴染だった。幼馴染と言ってもいっしょに遊んだりしていたのは小さい頃だけで最近はほとんど関わることは無くなっていた。あいつは容姿が良くて、性格もいい。気がきく上になんだって器用にこなす。悪いとこを浮かび上げようとしてもこれといって何一つ浮かび上がってこないような、完璧人間だ。そして、俺は凡庸をそのまま絵に書いたようなしがない村人だ。唯一の取り柄といえばこの村で誰とも被っていない「カイ」っていう名前ぐらいだ。あいつは成長するにつれて人気も凄いことになりだす。しだいになんのとりえもない無個性な俺はあいつと関わることは無くなっていった。
そんな勇者が一週間前旅立った。
そして、俺は勇者などおかまいしにいつもどうり家の手伝いをして日々を過ごしている。だってそうだろう?いくら隣の家から勇者がでたからといってただの村人が出来ることなんて何一つない。ありはしないんだ・・・。
1ヶ月後
「はぁ・・・、やる気でねぇ。」
「ほらもっとシャキッとしなさよ!!いつまでも引きずってて未練たらしいたらありゃしない。」
母親に急所を突かれた。
「う、うるせーよ!そんなんじゃねーよ。」苦し紛れの反論も虚しく、はいはいとあしらわれてしまった。
勇者が旅立って早1ヶ月俺は相変わらずしがない村人をやっていた。何一つ変わらない。見慣れた景色で毎日同じことをただ淡々として過ごしていた。時間は無慈悲に過ぎていく。時間の流れは遅くなることもなく止まることも無くどんどん進んでいく。しかし、俺のやることはいつも変わらない。
―もう諦めろよ。
何度も自分に言い聞かせた言葉だ。そうだ、諦めればいい。何度も思った。でも、自然とあいつのことを考えてる。どうしたらいいのか考えている。しかし、いつも辿り着く答は一つだ。
「俺何がしたいんだろうな・・・」
どこを探したってそれらしい答は見当たらない。ただ、ただ心の中が空虚に支配されていくだけだった。
はい第1はです。読んでくれたひとありがとうございます。この先しばらくこの男のへタレがかかれると思われます。