たいむりーぷ
私は、死んだ。
唐突に何の前触れもなく。
気が付けば血だまりの中にいた。
もう間に合わない。
なぜ、こんなことに...??
...という夢を見た。
よく分からない夢。
妙にリアルで生々しい。
夢の中での話ではあったが、なぜか気になってしまった。
だから、すぐにスマホに書き込んだ。
忘れないうちに、覚えているうちに。
今日は、半年ぶりに彼とデート。
私は大阪、彼は東京に住んでいて、なかなか会えないでいる。
彼が東京の大学に進学したため、遠距離恋愛になってしまった。
夏休みを利用し帰省するチャンスで彼と会う約束をしたのだ。
楽しい時間はあっという間に終わった。
お別れのキスをし、家路に急ぐ。
ふと妙な感覚に囚われていた。
見覚えがある、変なデジャブ感。
あの角を曲がって...。
曲がって...?
曲がって、どうする?いや、どうした??
私は...。
ドンッ
何かが私にぶつかって消えていった。
ぶつかったところを見やると。
お腹にナイフが刺さっていた。
悲鳴を上げ、そのまま倒れる私。
そうか、見覚えがあったのは、夢の中。
私は確か、夢の中で....
...という夢を見た。
夢だと思いたくて、ベッドを出てすぐさまお腹を見た。
何もない。
刺された跡も痛みも。
ほっと胸をなでおろし、時計を見た。
あぁ、彼に会う時間が迫っている。
早く準備をしなくちゃ。
半年ぶりに会う彼の姿は、どこかやつれて見えた。
私が微笑んだら、すぐ笑顔に切り替える彼。
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
お別れのキスをし、家路に急ぐ。
帰る途中、妙な違和感を感じる。
夢の中であった出来事が蘇る。
この道は、危ない。
このままこの道を通るのはダメだ。
嫌な予感がして、後ろを振り返った瞬間に。
グサッ
何かがお腹に刺さった音。
慌ててお腹を見たら、ナイフが生えていた。
驚きと痛みで悲鳴をあげ、そのまま倒れる。
かすかに誰かが走っていく姿が見えた。
男性...?
見覚えのある服に後ろ姿...だれ?
そのまま気を失った。
...という夢を見た。
妙にリアルな長い夢。
今は起きている...はず。
また夢だったらと思い、頬をつねってみる。
痛い。
さすがにもう夢ではないのだろう。
お腹に傷もないし、痛みなんかまったくない。
ふと時計を見た。
彼との約束の時間が迫っていた。
半年ぶりに会った彼の顔は、引き攣っていた。
そして会うなりいきなり言われた。
「なんで、生きているんだ!」
何を言われているのか分からなく、キョトンとした顔で彼を見る。
震えながら彼は独り言を呟く。
「何度殺しても生きている。いや、元に戻る。これは何なんだ?夢なのか??」
殺す?誰が、誰を??
「お前は一体何なんだ。美紗はどこだ?美紗をどこにやった!」
何を言ってるの?美紗ってだぁれ?
「お願いだ。美紗を返してくれ。俺は美紗を愛しているんだ。だから...。」
私に土下座して懇願してくる彼。
美紗...、わたしが美紗?
「みさみさみさみさみさ...みみみみみさ... ...みさささ?」
私の口から言葉が続く。
「私が美紗だよ、もう彼女の顔忘れたの?」
そう笑いながらそう答える私。
顔を上げた彼の目の前に、女子高生のコスプレをした2メートルを超える大男が立っていた。
「うわぁぁぁぁぁ!」
叫ぶ彼を片手で吊り上げ、私は家に帰る。
お楽しみはこれからだ。
...という夢を見た。
部屋は真っ赤に染めあがっていた。
彼は私の横で眠っている。
妙な夢を見たものだと頬をつねるが、痛くはない。
お腹にも傷はない。
そして、私は二度と目を開けることのない彼にお別れのキスをした。




