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スチームパワード アドベンチャー ミアとビアンカ  作者: ELWOOD CRAFTWORKS
第一章 覚醒と陰謀

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第15話「首都カステルッチ」-エージェントの帰還

https://50174.mitemin.net/i1118221/

挿絵(By みてみん)


襲撃から二日後。


スチームライナーはゆっくりと減速していた。


巨大な動輪脇から蒸気煙が空へ上がる。


その先に見えるのは――


都市。


石造りの街並み。


高い蒸気塔。


そして巨大なドーム建築。


ビアンカが窓から顔を出す。


「……すごい。」


ミアも窓に寄る。


「ここが。」


サムが言った。


「共和国の首都カステルッチだ。」



列車が駅へ滑り込む。


巨大な中央駅。


蒸気機関の音。


人の波。


軍人。


役人。


新聞記者。


共和国の中心。


ネオ・ジェノバとは空気が違う。


ビアンカが呟く。


「……なんか落ち着かないわ。」


ミアは反対だった。


目が輝いている。


「すごい!」


「蒸気タービン塔!」


「大きい送電塔!」


「発電網が見える!」


ビアンカが呆れる。


「技術者ね。」


サムは苦笑する。



貨物車両。


黒鉄の猫がゆっくり動いた。


コラージョ。


蒸気リアクターは落ち着いている。


ミアが撫でる。


「大丈夫?」


コラージョが低く鳴く。


ゴロ……


ビアンカが言う。


「この子のおかげで助かったわ。」


サムも頷いた。


「確かに。」


彼は真剣な顔になる。


「だが同時にこのバイクは危険だ。」


ミアが振り返る。


「……分かってる。」


サムは静かに続ける。


「もし軍関係者がこの技術を知ったら。」


「軍事利用される。」


ビアンカが言う。


「企業も同じ。」


ミアは黙った。


コラージョの装甲を撫でる。


「……絶対にさせない。」



駅のホーム。


クラインは他の情報局員に連れて行かれる。


黒幕と思われる大企業アーリア・インダストリー。


その証拠を握る唯一の証人。


だが彼は笑っている。


サムが睨む。


「何がおかしい。」


クラインは答える。


「あなた達は理解していない。」


「これは企業の戦争じゃない。」


ミアが聞く。


「どういう意味?」


クラインは空を見た。


「そのうち解るでしょう。」


情報局員が彼を連れて行った。


サムが言う。


「おそらく証拠不十分で直ぐ釈放されるだろう。」


「どうして?

彼は間違いなくアーリア・インダストリーと繋がっているわ。」


ビアンカが興奮する。


「彼は今回の襲撃に、直接関与している事は言及していない。」


「あくまで、我々と偶々居合わせた貿易業者で通すだろう。」


「他の2人は口を封じられた。」


サムが冷静に分析する。


ビアンカは黙ってしまう。


「できればもう、会いたくない相手ね。」


ミアが呟く。



駅の外。


情報局の公用車が待っていた。


黒い蒸気車(スチームカー)


サムが言う。


「私は一足先に本部へ行く。


今日のところは、こちらで手配したホテルでゆっくり休んでくれ。


明日本部に出頭してもらう。」


ビアンカは、


「その事なんだけどね..............」


サムに相談する。


「良いのか? それで。


市内のホテルの方が、サービスもいいぞ。


滞在中、コラージョは本部で預かるが......。」


ミアは、


「ダメよ。


コラージョは移動も滞在中も私達と一緒に行動するわ。」


サムは少し考え、


「.....了解した。


但し滞在中、君達には警護がつく。


あんな事があった後だ。


煩わしいと思うが、理解してくれ。」


そう言って、サムは後方へ視線を移す。


視線の先には、同じ黒塗りの公用車の前に男が2人立っている。


ミアがビアンカを見る。


ビアンカが頷く。


「......わかったわ。」


「出かける際は、彼らに声を掛けてくれ。案内をしてくれる。」


そう言ってサムは車に乗り込む。


「案内は不要よ。」


そう言ってミアはブレスレットを叩く。


「......なるほど。


では、明日本部で会おう。」


サムを乗せた車が去って行った。


「ビアンカ!


ランチタイムよ。


お腹すいちゃった。」


ミアがコラージョの座席後部に跨がる。


「サドルバッグの中に座らないの?」


いつもの定位置に座らないミアを、ビアンカが不思議に思う。


「それが......その......」


恥ずかしそうに呟くミア。


「......最近、バッグの中がキツくなってきたのよ.....。」


ビアンカは思わず笑みを浮かべて


「マリトッツォを食べすぎたかな?」


イタズラっぽく、ミアを揶揄う。


「ち、違うわよ!成長期なの!」


ミアが頬を膨らます。


「ハイハイ。じゃあ行きましょ。」


ビアンカは、ミアのがいつもの感じに戻った様で安心する。


「ビアンカ!


この先にヒュージボア・ステーキの


美味しい店があるらしいわよ。」


ビアンカとミアはコラージョと共に、軽快なエンジン音を残して駅を後にする。


彼女達の行動に慌てて、その後を警護の車がついて行く。



その日の夕方。


国家保安情報局 本部


サムは一足先に本部に戻った後、これまでの出来事を報告書に纏め提出した。


しばらくして、サムは局長室に呼び出される。


局長室の前室にある扉を開けて、サムは被っていたホンブルク帽をポールスタンドに投げ掛けた。


「サム!おかえりなさい。」


明るい笑顔で声を掛けたのは、局長秘書のロイス。


猫族(ケット・シー)としては長身、白毛金髪で妙齢の女性。


「やあロイス。

帰って早々済まないが、局長の様子はどうだ?」


サムは挨拶もそこそこに、これから対面する相手の状況を伺う。


ロイスは、今日の局長を取り巻いた状況が、サムに関連したものだと察した。


「今日は朝からひっきりなしに来客があったわ。


まず、陸軍省と連邦警察の幹部でしょ。


そのあと

外務局長に

上院議員が数人...


それから.....」


「それから?」


「デアベルドミッテの大使館付きの国際弁護士がさっきまでいたの。」


「.....やはり来たか。」


サムはどうやらこの半日で、既に予想された状況になっていると思った。


「大体想像がつくでしょ?


さあ、局長がお待ちかねよ。」


「.....取り次いでくれ。」


ロイスが机の上のインターホンを押す。


「局長。エージェント・ウエストレイクが出頭しました。」


『......通してくれ。』


インターホンから低い声が響く。



サムは一呼吸置き、意を決して局長執務室の重厚な扉を開ける。


続く
























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