表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スチームパワード アドベンチャー ミアとビアンカ  作者: ELWOOD CRAFTWORKS
第一章 覚醒と陰謀

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/17

第13話「脱出」-共振の牙


平原に重い音が響いた。


ゴゴゴゴ……


装甲車。


巨大な砲塔がゆっくり回転する。


砲身はスチームライナーを捉えていた。


列車は減速したまま、長いブレーキ音を引きずっている。


ミアの顔色が変わる。


「撃たれる!」


サムが瞬時に判断する。


「ビアンカ!」


「分かってる!」


ビアンカは窓を開け、ケースから取り出したライフルを構える。


風が吹き込む。


列車の振動。


狙いを定めるのは難しい。


それでも彼女は息を止めた。


バスッ!


蒸気圧縮弾(スチームバレット)の銃声。


弾丸は装甲車の視察窓に当たる。


火花。


だが、止まらない。


砲塔は回り続けている。


サムが低く言う。


「防弾ガラス?」


ミアは窓の外を見ていた。


黒鉄の猫。


コラージョ。


一台で装甲車に向かっている。


「……無茶よ。」


ミアが呟く。


ビアンカが言う。


「でも、行くわ。」


コラージョは止まらない。



平原。


蒸気バイクの残骸。


倒れた回収部隊。


その中央を、黒鉄の猫が歩く。


蒸気が静かに漏れる。


ゴロ……


低い振動。


装甲車の砲塔が完全に列車を捉える。


砲手が叫ぶ。


「発射準備!」


蒸気圧が上がる。


ギィィィィィン……


その瞬間。


コラージョのライトが強く光った。


赤。


青。


そして白。


蒸気リアクターが唸る。


ヴォォォォォ……


周囲の空気が震える。


装甲車のエンジンが突然唸った。


「なんだ!?」


蒸気圧計が跳ね上がる。


カン!カン!カン!


警報。


「圧力が上がってる!」


砲手が叫ぶ。


「制御不能だ!」



完全に停止した列車の窓。


ミアが息を呑む。


「……やってる。」


ビアンカが聞く。


「何を?」


ミアは震える声で言う。


「共振制御。」


サムが理解する。


「今度は装甲車の蒸気エンジンを制御するのか。」


ミアは頷く。


「コラージョのリアクターは、蒸気の振動数を操れる。」


「つまり――」


ビアンカが言う。


「敵のエンジンを止めるの?」


ミアは小さく首を振る。


「違う。」


窓の外を見る。


「暴走させてる。」



平原。


装甲車の蒸気圧が急上昇する。


シューーーーーッ!!


安全弁が吹き飛ぶ。


蒸気が噴き出す。


操縦士が叫ぶ。


「圧力制御が効かない!」


コラージョが近づく。


ゆっくり。


静かに。


黒鉄の猫。


砲手が恐怖の顔になる。


「撃て!!」


砲塔が発射される。


ドォォォン!!


蒸気砲弾。


だが。


コラージョの尾部排気管が動いた。


カチン


蒸気噴射(スチームブロー)


黒い影が砲弾に当たり地面に着弾した。


爆煙。


その中からコラージョが現れる。


そして――


装甲車の前に立った。



列車の中。


クラインが窓の外を見ていた。


その光景を。


黒鉄の猫。


装甲車。


彼は小さく呟く。


「……究極の攻撃兵器だ。」


サムが銃を向ける。


「違う。」


サムの声は低かった。


「これは防衛だ。」


クラインは笑う。


「どちらでも同じです。」


ミアが静かに言う。


「違う。」


窓の外。


コラージョが低く鳴く。


ゴロォ……


ミアは呟く。


「守るための技術力よ。」


その瞬間。


装甲車の蒸気リアクターが限界を迎えた。


ボン!!


蒸気爆発。


巨大な煙が空へ上がる。


平原に静寂が戻った。



列車の中。


ビアンカが呟く。


「……終わった?」


サムは首を振る。


「いや。」


窓の外。


コラージョがこちらを見ていた。


静かに。


まるで何かを感じ取るように。


ミアのブレスレットが光る。


『観測完了。結果を保存します。』


ミアの顔が強張る。


「……違う。」


サムが聞く。


「何が?」


ミアは遠くの丘を見ていた。


「まだ終わってない。」


遠くの地平線。


新たな蒸気煙が上がっていた。


それは――


一台や二台ではない。


平原の空気が揺れていた。


ミアが呟く。


「……増援。」


ビアンカが息を吐く。


「企業の回収部隊ね。」


サムは即座に状況判断した。


「装甲車ではなく蒸気バイク部隊だ。」


ミアは窓に張り付く。


「コラージョが一人で止めるのは無理。」


サムは振り返る。


「今すぐ列車を動かさないとマズい。」


「さっきの減速、列車の蒸気タービンに細工されているかも。」


ミアが助言する。


「操縦室に行く。ミア、君もきてくれ。」


「ビアンカ。君はクラインをこれで個室に拘束してくれ。」


サムが手錠をビアンカに渡す。


「了解。わかったわ。」



列車の前方。


機関車両の狭い通路を2人が走る。


途中、ミアが制御パネルが半分開いているのに気付く。


「....これって。」


ミアがブレスレットを叩き、制御パネルの前にかざす。


「ミア、どうした?」


サムがミアの突然の行動を問う。


「わかった!このバルブよ!」


そう言ってミアが制御パネル内の無数にあるバルブの1つを開いた。


「原因は単純。このバルブが故意に閉じられていたのよ。」


「でも君はどうやって、そのバルブを特定したんだ?」


サムが不思議がる。


「まずは、操縦室に行かなきゃ!」


ミアが急かす。


サムが操縦室の扉を開く。


「国家保安情報局だ!


すぐに列車を最大蒸気圧で発進してくれ。」


機関士が叫ぶ。


「だが圧力が!」


「圧力低下の問題は解決した。もう一度確認してくれ。」


サムは冷静に言う。


「止まれば全員死ぬ。」


機関士は頷いた。


蒸気弁を回す。


ガン!


ガン!


圧力が上がる。


「.....?さっきまで上がらなかったのに?」


機関士が不思議に思う。


シュォォォォォ!!


スチームライナーがゆっくり動き始めた。




続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ