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スチームパワード アドベンチャー ミアとビアンカ  作者: ELWOOD CRAFTWORKS
第一章 覚醒と陰謀

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第10話「ビジネストーク」-黒い影との接触

https://50174.mitemin.net/i1114912/

挿絵(By みてみん)

スチームライナーはローマン大陸の平原を走っていた。


窓の外には、黄金色の草原がどこまでも広がっている。


蒸気機関(スチームタービン)の鼓動が、一定のリズムで響いていた。


ガシャン……ガシャン……


ミアは窓に額をつけて外を見ている。


「速い……」


「時速150キロ。」


サムが言う。


「この大陸で最速の列車だ。」


「150!?」


ミアが振り返る。


「スチームタービンでそこまで出るの?」


「補助タービンがある。」


ビアンカが言う。


「さっきホームで言ってたじゃない。」


ミアは腕を組んだ。


「でもあれは変よ。」


「何が?」


「コアボイラーのサイズ。」


サムが眉を上げる。


「小さすぎる。」


ミアは真剣な顔になる。


「それに気になるものを見たの。」


「気になる『もの』?」


ビアンカが聞く。


「飛行機のエンジンにある浮上推進ノズルみたいなものが、車体の下にいくつもあったの。」


「なんで列車にそんなものが?」


ビアンカも不思議に思う。


「イオン風を利用しているのね。」


ミアはサムを見て言う。


サムは一息ついて言った。


「やっぱり君には解るか....


確かにこの列車にはイオン風の

技術が利用されている。


実はそれを具体化した技術が既に開発されたんだ。


今まであった浮力推進。

イオン風の仕組みが理解されてから、それが更に進化したんだ。


それが『反重力リフター』だ。」


ミアは息を呑む。


「君の作ったジェットパックと同じ技術だよ。


とは言ってもかなり大型だが....」


「列車を浮かして軽くするわけね。」


ビアンカが理解する。


「スピードならもっとでるはずだが、線路の強度が追いつかない。


今、新たな専用軌道を作る計画もある。」


ミアは窓の外を見ながら


「鉄道局だけの技術じゃないわね。それも危ない技術。


もし、出力の調整やバランスを間違えたりしたら....」


サムが小さく言う。


「君の言う通り、これは鉄道局と陸軍省との共同開発だ。


この世界の文明は、だいたい危ない技術でできている。」


「既に軍事転用を見越しているのね。」


ビアンカは険しい顔をする。



列車の食堂車。


豪華なシャンデリアが揺れている。


白いテーブルクロス。


銀のカトラリー。


富裕層の乗客が優雅に食事をしていた。


ミアは完全に別の方向に興奮していた。


「すごい……」


「料理?」


「違う。」


ミアは厨房の奥を見ている。


「蒸気調理器。」


ビアンカは額を押さえた。


「やっぱりそっち?」


「蒸気圧制御で温度を変えてる……」


ミアの目が輝く。


サムが苦笑した。


「君はどこに行っても発明家だな。」


3人は談笑しつつ、料理を注文する。



その時。


一人の男が近づいてきた。


細身のスーツ。


丸眼鏡。


丁寧な笑顔。


「失礼。」


「相席しても?」


ビアンカが一瞬だけサムを見る。


サムは表情を変えない。


「どうぞ。」


男はサムの隣に座った。


「私はフリードリヒ・クライン。」


軽く帽子を取る。


「デアベルドミッテで貿易業を営んでいるものです。」


ミアが反応する。


「デアベルトミッテ?」


「ええ。」


男は微笑む。


「我が国のメーカー製蒸気機械の輸出をしています。」


サムが静かに言う。


「どのメーカーだ?」


「アーリア・インダストリー。」


一瞬。


空気が止まった。


ビアンカの目が鋭くなる。


サムは何も言わない。


ミアは、ただ首を傾げた。


「へえ。」


ミアは無邪気に言う。


「ソーセージの国ね。」


ビアンカは小さくため息をついた。


クラインは笑った。


「ええ。ソーセージは我が国の誇りです。」


だがその目は笑っていない。


「実は、そちらのお二人とビジネスのお話をと思いまして。」


クラインは、ミアとビアンカに視線を移す。


「私はただの発明家よ。


あなたが興味のあるようなビジネスはしてないんだけど。」


ミアが即答する。


「私が興味のあるのは、あなたの『発明品』です。」


クラインはそう言いながら、ウエイターにグラスワインを注文する。


「発明品?」


ビアンカが反応する。


「あー、あの発明品かしら?


腕を下げると、おみくじが出てくる猫型の置き物....


それとも、持ち運びができる頑丈なラジオとか?」


ミアがまた無邪気に言う。


「私がビジネスで取り扱っているのは、蒸気機械。


あなたの発明した画期的な『蒸気機械』ですよ。」


クラインは、そんなミアを冷静にあしらう様に言った。


ビアンカが強気で言う。


「残念だけど、私達はあなたの言う『蒸気機械』に心あたりが無いわ。」


「そう言う事らしいので、今回はお引取り願いたい。」


サムが追い打ちをかける。


「そうですか。


貴方達には決して悪くない取引きだと思うのですが....


残念です。」


そう言いながら、クラインは

懐中時計を見た。



その頃。


貨物車両。


暗い空間。


コラージョのセンサーが点灯する。


赤い光。


小さな音。


ピッ


振動検知。


異常。


貨物車両の扉の外。


二人の男がいた。


黒い作業服。


鍵を開ける。


「目標確認。」


「よし、箱を開けるぞ。」


バールで箱をこじ開ける。


「黒い機械だ。」


「これか。」


男が近づく。


コラージョの目が開く。


赤く光る。


ゴロ……


低い唸り。


男が言う。


「ただのバイクだろ?」


次の瞬間。


コラージョのライトが一斉に点灯した。


ギィィィィン


男たちが後退する。


「なんだ!?」


コラージョは動かない。


だが。


空気が震えていた。



その時。


食堂車。


ミアのブレスレットが光る。


小さな電子音。


『警戒対象に異常な信号を感知。』


骨伝導で音声が伝わる。


ミアの顔色が変わる。


「……コラージョ。」


サムが立ち上がる。


「何が起きた?」


ミアは答えた。


「貨物車両。」


ビアンカも立つ。


「誰かいる。」


サムは短く言う。


「行くぞ。」


三人は食堂車を飛び出した。


その背後で。


クラインがゆっくりワインを飲む。


小さく呟く。


「……始まったようですね。」


列車は走り続けている。


逃げ場のない鉄の密室。


スチームライナーの中で、

静かに、事件が動き出していた。


続く


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