【第6話】脱出 ー虚空を見つめる目ー
「む、無理......」
ヒュンッ
ドガァァァァン!!
トカゲの爪が岩を砕く。
「た、タカハシ!!」
リズの声が、岩の崩れる音に混じる。砂埃が舞う。トカゲは追撃の手を止めない!!
ドカンッ!ドドドドドド!!
「あ、あ......」
リズの目から希望が消えた。リズはトカゲの尻尾にググッと縛られて、魔法のひとつも使えない。
砂埃が舞い、タカハシの姿は見えない。リズだけでなくトカゲすら、タカハシの死を確信した。
ドサッ
「うっ」
今度はリズが地面に叩きつけられる。きっと、次はリズの番なのだろう。
「ふ、フレイム!フレイムぅ!フレイムフレイムフレイムフレイム!!フレイムフレイムフレイムフレイムフレィ...ム......」
"魔力切れ"だ。
リズの目は、トカゲでも、洞穴の入口でもなく、虚空を見ていた。
「こ、これで......終わり......?」
ヒュンッ!
......カキンッッッ!!
トカゲの爪が何かに当たり、リズの寿命が数秒延びる。
「な、何......?」
リズの焦点がやっと定まる。
そこにいたのは、さっきまでフレイムすら知らなかったタカハシの"バリア"をする姿だった。
一瞬、トカゲの動きが止まる。
「タカハシ!?」
「ごめんリズ、ここから出るよ!!」
タカハシの右手がリズを掴む。
バッ!!
「た、タカハシ!どういうこと!?」
トカゲの身体が入口を塞ぐ。
「こ、これじゃあ......」
スパァァァァアン!!!
タカハシの拳が、トカゲのお腹に穴を空ける。唐突すぎて、リズには理解ができなかった。
「よっしゃ......!!!」
洞窟からの生還。リズは、今までにないほどの驚愕を隠せなかった。
ズドドドドド......
ドッジャァァァ!!
その瞬間、洞穴が崩れる。さっきまで自分達の入っていたそれは、跡形もなく消えていた。
「......た、タカハシ!!」
リズは目をうるわせて、全力でタカハシに抱きついた。この奇跡を、生きている実感を、とにかく感じていたかった。
「た、助かったの......!?俺たち!?」
「な、なんでタカハシが驚いてるのよ!」
「え、えっと実は......」
ーー数分前の洞穴
「む、無理......」
ヒュンッ
ドガァァァァン!!
「い、痛......くない......?」
ーー
何故かは分からなかったけど、その後体が勝手に動いた。バリアだって、リズを守りたいと思った瞬間、咄嗟に出たものだった。
「──ってことなんだよねぇ。は、はは......」
「な、なによそれ!なに笑ってるのよタカハシ!!も、もう......バカみたい......ふふっ」
リズのその、心からの笑顔が見れたのが嬉しかった。ちょっと前まではずっと、強がってるように見えてたから。
「でも、それなら......それがタカハシの"スキル"なんじゃない?」
「......スキルって何?」
「す、スキルすら分かんないの......やれやれね」
リズはやれやれなんて言いつつも、ちょっと嬉しそうだった。
【異世界豆知識】
"フレイム"
小さな火の玉を出す低級魔法。
消費魔力が少なく覚えるのが簡単なため初心者に人気。
炎魔法は人気が高く応用技として
・バーニングファイア
・ブレイズベル
などがある。
※リズは家の中でフレイムをして小さい頃よく怒られた。




