【第3話】親子喧嘩 ー僕は蚊帳の外ー
ーー午後3時とある村
「こ、ここがリズの住んでる村......?さっきの屋敷は......?」
「あぁ、あの屋敷は別荘だよ。普段はこの村に住んでるの」
(べ、別荘......当たり前に言うなぁ、この子......)
「綺麗でしょ?この村」
リズはにこっと笑って、自慢げに語る。
「確かに綺麗、外国みたい......」
(外国みたいっていうか、そういやここ異世界なんだったな......)
「......私ね、この景色が......この村が大好きなの。まぁ、おばさまはあんまり外に出してくれないけどね」
リズは少し寂しげに、でも嬉しそうにそう言った。僕はどう反応すればいいのか分からなくて、でもちょっとだけ嬉しかった。
「あ、ここが私の家!」
そう言って指さした先には、さっきの屋敷より二回りくらい大きな"お城"と呼んで差し支えない豪邸があった。大きな塀があって屋根しか見えないけど、それでも分かった、"デカイ"と。
「こ、ここがリズの家?思ってたよりずっと大きい......」
物怖じする僕とは対称的に、リズは堂々と門へ進んだ。
「り、リズ様!どこに行っていたのですか!」
門番らしき屈強な男が駆け寄ってきた。
「あら、ちょっと別荘の辺りに......」
「おばさまがお怒りですよ!とにかく、今すぐ謝りに行ってください!!」
リズはまたかというようにため息をついた。なんだか僕は蚊帳の外で、そういえば部外者だった事実を突きつけられた。
「タカハシ、ついてきて」
そう言うリズは少しイラついているようだった。もしかしたら、強がっているのかもしれないけど。僕はと言えば、先生と喧嘩する陽キャの後ろでしどろもどろしたあの時みたいだなって、感傷に浸っていた。
「リズ!!」
豪邸に入ると、その大袈裟な西洋建築より先に、そのおばさんが見えた。おばさんの割には綺麗だけど、お姉さんの割には老けて見える。そのおばさんは、吹き抜けになっている玄関の2階から、サササッと降りてきた。
「リズ、貴方って子は!また外に出たのね!!」
おばさんは、僕がいることなんてお構いなしに大声を出す。リズはと言えば、今度はやけに澄ました顔でぷいっとした。
「いっつもいっつも心配かけて......両親が亡くなって、居場所のなくなった貴方を拾ってあげたのは誰だと思ってるの!!」
リズの顔色が変わる。どうやら逆鱗に触れたらしい。
「私は家畜じゃないの!外出禁止なんて無理なこと、言わないでよ!!」
「貴方は外がどれだけ危ないか知らないからそんなこと言えるのよ!少しは親を安心させなさい!!」
「お、お前なんて親じゃないもん!このバカぁ!!!タカハシ、行くよ!」
リズはそう言って部屋に僕を入れて、自分も入って鍵を閉めた。
やっぱりリズは強がっているみたいに見えた。
(僕、この家に泊めてもらうんだよな......?)
まだまだ安心はできそうにない。




