第9話 借金完済まであと一歩
ATMをルンルン気分で出た。夜になっても梅雨らしく、シトシト雨が朝から降り続いているが、そんな天気でも上機嫌で傘をさした。やっと終わりが見えてきたことに喜びを隠せない。私は嬉しくて絵麻に電話した。ワンコールで絵麻がでる。
『どうした?』
「聞いて!あと九十万で借金終わるわ!」
『良かったじゃん!ってか返済スピード速いね!?』
「毎月稼いでいますから」
風俗嬢に転職して一年半。最初の半年は十万ずつしか返せなかったが、常連客がつくようになってから収入が安定し、かなりのハイペースで借金の返済を行えるようになった。
「このペースなら八月には完済できそう。誕生日までに全部返して、三十歳迎える!」
『えっ、あと二ヶ月ちょっとで九十万返すの?さすが人気嬢だわ』
「ランキング入りしていますから」
どや顔で答えながらも、少しだけ涙がこぼれた。
風俗嬢に転職してから新しい習慣ができた。それは仕事が終わるとATMに速攻で向かい、その日の収入の九割をメインの口座に、残りの一割を貯金用の口座に入金することである。そして毎月決めている返済額に達したら、即座に返済していた。普段は月末に返済を行うが、今月はボーナスをもらった常連客達がいつもよりロングコースで指名してくれたため、かなりのハイペースで稼ぐことができた。
私の売上を支えてくれる常連客に感謝しつつ、それ以上に頑張っている自分を褒めちぎった。ご褒美に今日は外食して帰ろう。駅に向かい地下鉄に乗ると、電車に揺られながら久しぶりに風俗嬢に転職することを決意した日を振り返った。




