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とりあえず腹ごしらえ

 久しぶりの自室には埃も塵も一つも無い。

 アリシアさんが毎日掃除をしてくれていたんだろうか。

 私にくっついて離れないリネをベッドの上で撫でながら変わらぬ部屋を眺め続ける。

 そろそろレイゼリアさんが用意してくれた高そうな服を着替えたい。


「ごめんねリネ、ちょっと着替えるだけだから」


 上目遣いでくうーんと可愛く喉を鳴らすリネを横目にクローゼットを開け、クローゼットに仕舞われた懐かしの袖無しシャツとかぼちゃパンツに着替える。

 やっぱりスカートよりこっちの方が落ち着く。

 するといなくなったと思ったリネがベッドの下から青いケープを咥えて這い出てくる。


「ありがとうリネ」


 外じゃないから無くてもいいだろうけど、折角だから受け取って羽織り、またベッドに腰掛けてリネを撫でていると扉を叩く音がする。


「どうぞ」

「失礼するわね」


 扉を開けたのは師匠のようで何か封筒のような物を持っている。


「師匠、どうしましたか?」

「ナズナに手紙よ」

「私に?一体誰から…」

「コーネルとミーティアよ」

「お姉さまとコーネルさんから…ありがとうございます」

「じゃあ私は作業があるから部屋に戻るわね。何かあればちゃんと私かアリシアに言うのよ」

「はい、わかりました」


 師匠を見送ってから机に向かい、封を切って手紙に目を通す。


 ナズナちゃんへ

 とても心配したけど一先ず無事でよかった。

 ミーティアもひどく落ち込んでいたけど、エリュさんからの知らせを聞いて、とても喜んでいたよ。

 今の仕事が片付いたらすぐに賢者の城に見舞いに行くよ。

 ミーティアにいっぱいどやされる覚悟をしといてくれ。

 お土産もいっぱい買っていくから。

 最後に、次は私が書くってミーティアが字の練習を始めたんだ。もし俺達が城に着くまでにまた手紙が届くことがあったから解読頑張ってくれ。


 お姉さまにいっぱい怒られちゃうだろうな。

 ふと、何故か言葉もわかるし字も読めるけど私は字を書けるんだろうかと思い、引き出しから紙を出して、机の上のインクとペンを手元に置く。

 何を書こう。とりあえず名前とかだろうか。

 ペンの先をインクに浸し、紙にナズナと書いてみる。

 コーネルさんの字より凄い汚いけど一応書けるみたいだ。

 試しにリネ、レイゼリア、コーネル、ミーティア、アリシア、ガンドルヴァルガ、フィシェルといろいろ名前を書いてみる。

 やっぱり汚いような気がして、リネに見せてみる。


「どうかなリネ。この字」


 リネは不思議そうに頭を傾げる。頭が良くても流石に字はわからないみたいだ。

 ペンを置くと、置物の太陽の位置が真上になっていてお昼時なのを教えてくれる。


「リネ、お昼ご飯を食べに行こうか」


 わふっと答えたリネと一緒に部屋を出て鍵を閉め、食堂へと向かう。

 今はお城に人があまりいないようで、食堂には誰もいないし、作り置きもないみたい。

 料理はしたことないけどきっとサンドイッチくらいなら私でも作れるはず。

 食料庫に入ってみるとずだ袋や木箱に様々な食材が入っている。

 燻製肉と玉ねぎっぽい奴とレタスみたいな奴とパンを貰い、厨房に移ると、何か籠が置いてあって小さな紙が添えてある。

 ナズナさん専用一日最低一本は飲むこと、と書かれていて、籠の中には白い液体の入った瓶が三本入っている。

 アリシアさんが用意しておいてくれたんだろうか。

 怪我人に飲ませると言っていたから栄養が高くて魔力の回復にもいいのかもしれない。サンドイッチと一緒にいただこう。

 とりあえず細長い大きなパンを適度な厚さにナイフで切っていく。

 今この城に何人いるのかわからないけど、多めに作っておかないと。

 九等分になったパンに具を挟む切れ込みを入れて置いておき、玉ねぎっぽい奴とレタスみたいな奴を桶に水を入れて洗っておく。

 レタスは千切り、玉ねぎは皮を剥いて薄切りにして、燻製肉も薄切りにする。

 いざパンに挟もうとして、気がつく。

 味付けってどうするんだろう。

 塩胡椒じゃないだろうし、リネはいつの間にか角で丸くなって寝てるし。

 マヨネーズという単語が浮かんで消える。しかし作り方がわからない。

 ジャムは塗らないだろうし、せめてバター的なマーガリン的なものを塗るんじゃないんだろうか。

 確かお肉の近くの棚にあったはず。

 食料庫は奥が一番冷たくて霜が出来る程で入口のすぐはちょっとひんやりとしている程度だ。腐りやすい生肉や溶けやすいものは奥の方に置いてある。

 リネのご飯も用意してあげないとと思い、生肉の乗った皿を一つとバターらしきものを持って厨房に戻る。

 さっそくバターっぽいのをパンに塗って、レタス、玉ねぎ、燻製肉をパンに挟んでいく。

 とりあえずは形になった。

 小皿にサンドイッチを一つ乗せ、大皿に残りの八つを乗せて上に綺麗な布を被せておき、乳の瓶を一つ取って厨房を出て近くのテーブルに小皿と瓶を置き、リネを起こそうかと思ったけど良く眠っているし、まだお肉が冷たすぎるかもしれないと思いやめておく。

 椅子に座ってサンドイッチを食べてみる。

 不味くはないけどなんというか素材の味だ。

 燻製肉の香りと塩気でなんとかなっているけど、それだけな気がする。

 やっぱりたれやソースが必要だったかもしれない。

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