雪景色
屋内なのに突風が吹き、地吹雪が起きている。針を刺すような冷たい風が身体を凍えさせる。
暗くはないようで、角灯を消してフードを被る。
鼻が痛くて、くっつく感じが懐かしいと感じるのは勇者の記憶だろうか。
毛布や上着は持っていない。早くこの階層を抜けないと。
吹き溜まりがあるのか、時折足が膝くらいまで雪に埋もれブーツに雪が入って冷たい。
盾を四つに分裂させて周囲を警戒しながら歩き続ける。
刀は出さず、ケープの中で腕を組んで少しでも身体を暖める。
地吹雪のせいで道がよくわからないけど、行き止まりになったりしない様子からして、最初の森のように大きな広い空間なのかもしれない。
どれくらい進んだんだろう。木も生えてないし、目印になるものが見当たらない。
足跡も地吹雪で消えて、後戻りは出来ない。
背後の鉄塊がガンと衝撃音を発して、咄嗟に振り向くと白い腕が崩れ落ちる。
目を凝らすと右腕を失った白い巨体の姿を見つける。
両足が膨れ上がり、膨らんだ部分が流れるように移動してお腹、胸と移動して、右肩から失くなった腕が新しく生える。
雪で出来たゴーレムだろうか。
駆け出し、刀を構えて斜めに袈裟斬りを繰り出して両断する。
雪で出来ているからか石のゴーレムよりも固くない。身体強化をしなくても簡単に斬れた。
左肩から右の脇腹にかけて斬られた雪のゴーレムの上の部分が崩れ、氷の塊が出てくる。
核だと思い、横に一刀両断する。
するとゴーレムの腹から雪の塊が飛び出してきて、刃が届く前に突き飛ばされる。
体勢をすぐに立て直しゴーレムを見ると、お腹から腕を生やした奇妙な姿で両腕を生やし、頭部が出来て再生する。
核を破壊しないと雪で何度も再生するみたいだ。
盾に触れただけで崩れる程に脆いならと思い、四つの鉄塊達を四方八方からぶつける。
当たったところが崩れ、どんどん身体が失くなっていき、氷の塊が露出する。
身体強化を使って即座にそれを斬り飛ばすと雪の山となって動かなくなる。
安心したのも束の間、既にゴーレムに囲まれていたようで、六体の雪のゴーレムが私に迫る。
拳を避け、腕を斬り、胴体を斬りつけ、もう一体を鉄塊達で上半身を破壊する。
身体強化を使ってすぐさま露出した核を二つにし、迫る拳を避け、足を斬り、体勢を崩したところを首を落とし、胴体を核ごと唐竹割りにする。
そして拳を鉄塊で砕き、鉄塊で胴体を貫く。核に当たったようでそのまま雪山に変わる。
なぎ払うように振るわれる拳を飛び上がって避け、盾を足場に上から胸に向かって核を狙って刀を突き刺す。
崩れ落ちるゴーレムをよそに、向かってくる拳の主を鉄塊で破壊しながら、もう一体を両断する。
もう六体どころじゃなく、次から次へと現れるゴーレムに囲まれている。
これはまずいと思い、走り出す。
目の前のゴーレムの上半身を鉄塊で弾き飛ばし、露出した核を斬り、その奥のゴーレムもそのまま四つの鉄塊で破壊して、刀で核を突き、更にその奥も同じようにして倒し、四体目も流れるままに倒してそのまま走り続けて包囲を抜ける。
身体強化を使ったまま走り抜け、だいぶ離れたと思ったところで、身体強化を解いて立ち止まる。
少し息が上がって肩が上下する。
片足ずつブーツに入った雪を捨て、履き治す。足の指先は真っ赤で火傷のように痛む。
刀をしまい、盾に周囲を警戒させながら前に進む。
先に進めているのか戻っているのかもわからない。
どうしよう。迷路よりもきついかもしれない。
汗で冷えたのか身体が震え出し、少しでも暖を取ろうと角灯を灯す。
上部は火傷するほど熱いけど手袋のおかげでいつもなんとかなっている。
とりあえず歩き続けると壁に辿り着く。
右か左か。とりあえず風上に向けて左に進むことにする。
風に向かって歩き続ける。もうフードはカチコチに凍っている。
徐々に風が強くなり、フードが脱げそうになる。顔に当たる風も痛い。
白い渦が見える。雪を舞い上げ、周囲に地吹雪を起こしている。
渦の中に犯人がいるのか、何か魔法道具でもあるのか、周囲を警戒している。四つの鉄塊をひとつにして盾に戻し、正面に出して風除けにしながら渦の中心を目指して歩き続ける。
途中、飛ばさそうになり、盾を掴みながら必死に歩き続けるとついに風を抜け、渦の中心へ辿り着く。
周囲には何もなく、竜巻の中にいるみたい。
上を見上げると、大きな氷の塊が中に浮いて回っている。
あれが発生源なんだろうか。
観察していると周囲に小さな氷の塊がたくさん出来ていく。
疑問に思いながらそれを見ていると、ひゅっと風切り音を発して氷の塊が凄い速度で飛んできて、驚いて横に避けるとドフっ音を立てて雪が舞う。
続けざまにどんどん氷の礫が私目掛けて降ってくる。
必死に避け、盾で防ぐけど、雪が舞って徐々に視界を奪われていき、盾の影から出られなくなってしまう。
攻撃が止むの待ち続けるか、どうにか飛び出して攻撃を加えるか、考え続ける。
身体が震えて指先の感覚が麻痺している。身体を動かさないと寒さにやられる。
私は覚悟を決めて盾を追従させながら走り出す。




