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部屋

 日が落ちる前に城に戻り、エリュさんとお風呂に入る。リリクラはエリュさんの部屋の植木鉢でおやすみしている。

 アリシアさんに石鹸を貰うのを忘れていたのを思い出し、エリュさんにお借りして身体を洗う。

 長い髪はエリュさんが洗ってくれたけど、自分でも洗えるようにならないとなぁと思いつつお湯に入る。

 今日も暖かくて気持ちいい。重たくなった足が少し軽く感じる。


「ちょっと染みるわね。明日からは戦闘訓練も交えていくから覚悟してね」

「はい」

「何か今日のことで聞きたいこととかある?」

「ハルメイニアの人達はみんなで移動してるんですか?」

「そのはずね。他の人達は警戒してたのか休んでいたのかはわからないけど、あなたが会ったっていう兄弟は偵察を買って出たんでしょうね。特に妹の方はあなたを精霊だと見抜いたそうだし力に自信があったのかもね」

「なるほど…」

「他には?」

「あのゴブリン達が言ってたヤルって何をやるんですか?」

「えーと、赤ちゃんがどこからくるかの記憶はあるのかしら…?」

「赤ちゃん…」

 

 赤ちゃん、エルフの赤ちゃんに名前をつけた。

 レイゼリアさんとエリンさんもいて確か、お産の手伝いをした。

 それでお母さんが勇者様に名前をつけてもらいたいって言って、


「エリュって名前をつけました…勇者が名付け親だったんですか?」

「赤ちゃんで思い出した記憶がそれなんて驚きね。そうよ、私は難産だったらしくてね。たまたま集落に来ていた勇者一行のおかげで無事にうまれたらしいわ。私は覚えてないけど命の恩人なのよ。だからエリンさんを助けたい」

「あとどれくらい時間があるんですか?」

「わからないわ。けど師匠が焦り出したのは紐の黒い部分が急に増え始めたから。今はまた進行が治まっているみたいだけど、いつまた増えてもおかしくない」

「そうですか」

「とりあえず!あなたにはヤルの意味はまだ早いみたいね。そろそろ上がって夜ご飯でも食べましょう」

「わかりました」


 時間はあまりないようだけど、盾と刀を同時に使えるようになれるだろうか。

 誰かが作っておいてくれた野菜のスープと、丸いパンにチーズと塩漬け肉を挟んで食べ、食堂をあとにしようとしたところでアリシアさんに声をかけられる。


「ナズナさん、こちらにいらっしゃいましたか。お部屋が用意できましたのでご案内しようと探していました」

「あそこが私の部屋じゃないんですか?」

「あちらは本来、怪我人や病人を一時的に隔離しておくための部屋なんです」

「そうだったんですね」

「よかったじゃない。明日も早いから休むといいわよ。私は一応師匠に報告があるから、また明日食堂で待ち合わせね」

「はい、わかりました」


 エリュさんと別れアリシアさんに連れられ二階に上がる。

 両脇にはたくさんの扉があって部屋を間違いそう。

 多分一人じゃエリュさんの部屋にもまだ行けない。

 

「こちらですよ」


 アリシアさんが階段を上がってすぐの部屋の扉の前に立つ。


「本来はこちらの木札で鍵を開け閉めするのですが、魔法道具なのでナズナにはこちらを」


 普通の小さな鍵を渡される。


「元々は倉庫として使っていたんですが綺麗に掃除しておきましたからご安心ください。こちらの穴に鍵を入れて右に捻るんですよ。開けてみてください」


 言われた通りに鍵穴に鍵を刺し右に捻ると、ガチャと音がする。

 扉の中は暗くてよく見えない。


「こちらの取っ手を引いてください」


 扉のすぐ横の左側の壁が凹んでいて棒みたいなものがある。掴んで引いてみるとギチンと音がして部屋が明るくなる。

 正面には窓があり、左にはベッド、クローゼット、右には机、本棚、チェストが置いてある。

 寝る時に灯りを消しやすいように取っ手の近くにベッドを置いてくれているようだ。

 クローゼットには寝間着と替えの服とパンツとタオルと石鹸が閉まってある。

 窓の向こうは日が落ちて暗くて見えない。

 机にはペンとインク、月と太陽の置物。引き出しにはナイフと紙が入っている。

 本棚にはいくつかの本がある。魔法教本初級編、レイゼリアの伝説、マーム姫と二匹の竜、ダッツとベッツ、キコクの歴史、魔術と呪いについて、魔物の発生と起源、イー大陸植物図鑑。半分は子供用、半分は学術書だろうか。

 チェストの中は空っぽだ。


「使ったタオルや脱いだ服は脱衣室の籠に入れておいていただければ洗濯して閉まっておきます。ご飯はご存知の通り自由です。あと机の上のそちらの置物は時計代わりに置いておきました。今は夜だから月が上にありますが朝になると太陽が上になるんですよ。何か質問はありますか?」

「大丈夫です。ありがとうございます」

「ではゆっくりお休みください。あ、誰かが倉庫だと思って開けるかもしれないので戸締まりはしっかりと」

「はい、ありがとうございます」


 アリシアさんが扉を閉めたのを確認して、言われた通りに鍵を閉め、鍵は机の引き出しに入れておく。

 明日もお昼休憩以外は動き続けるだろうから、早く寝よう。

 寝間着に着替えてベッドに潜り、灯りを消してすぐに私は目を閉じた。

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