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打ち上げというよりいつも通り

 テーブルにたくさん並んだ料理の中から、赤いたれのかかった焼き野菜をお皿に取って食べる。

 香ばしく甘くほくほくになった野菜に酸っぱいたれがよく合う。

 私とリネ以外はもうお酒で出来上がっていそうだけど、口にはしないでおく。

 そういえばリネはお酒はどうなんだろう。

 でもなんだか竜ってお酒に弱そう。

 ヤマタノオロチという言葉が頭に浮かんで消える。


「ふふふふふ、それでどうなったの?」

「どうも何もないわ。コーネルったらかちんこちんでエーリアが困ってたわ」

「緊張してたんだよ」

「こんなに美人に囲まれて緊張せんのに…エーリアというのは天女か何かなのか?」

「そうだわコーネル!エリンとフィシェルとナズナに謝りなさい!」


 私の名前も上がったけど、何が何やら。

 でもエーリアさんと一緒にいたというアリューアさんはちょっと気になる。

 武器の精霊がガームスにいたなんて知りもしなかった。


「年上が好みなんですよ!言わせないでください!」

「はっはっはっ!そうかそうか!」

「私とエリュは年上だよ?」

「確かにそうだな。どーなんだコーネル?」

「それは…」


 コーネルさんの視線が泳いで、エリンさんの胸を一瞬見る。

 きっとたわわが好きなんだ。確かにお姉さまやアリシアさんの大きなたわわはぽよぽよふわふわでいい匂いがして安心できる。

 でもそれならお姉さまのことは好みではないんだろうか?


「おっ俺より、ゲンリュウさんはどうなんですか?」

「俺か?俺は妻がいるからなぁ」

「妻がいるのにこんなところで飲んだくれて…謝りなさい!」

「すまん!アズサ!もう少しで帰るから許してくれ!」


 今日のお姉さまの酔い方は変な気がする。


「アズサさんっていうんだぁ」

「トコヨのやつにあまり会ったことねぇんだけど、ナズナみたいなのか?」

「そうだな。黒髪の者が多いな。茶髪の者も少しいるが」

「へぇー」


 フィシェルさんが饅頭っぽいやつを頬張る私をじっと見つめてくる。なんだか恥ずかしい。

 中の具は貝や海老のようで美味しい。


「ナズナはいつも一人で突っ込んでいってごめんなさいって謝りなさい!」

「はっ!はい!いつも一人で突っ込んでごめんなさいっ!」


 お姉さまの突然の言葉で心臓がバクバク言っている。


「ミーティア、今日なんか変じゃね?」

「謝らせまくってるね」

「ははは…知らないところで溜まってたんですかね。ミーティア…」

「ちゃんと話を聞いてやらんといかんぞコーネル」

「俺ですか?いや俺か。そうですね」


 コーネルさんが神妙な表情になってしまう。

 私はリネに骨付き肉を取ってあげてから口を開く。


「久しぶりに二人でゆっくりお風呂にでも入ってみたらいかがですか?」

「いやいやいや…一緒に入ったのなんてミーティアが使い方を知らなかった最初の数回だけだよ!?大人の異性同士は一緒に入ったりしないって教えたろ?」

「そうでしたね…ごめんなさい…」


 どうにか空気を変えてみようと思ったけど、読み間違えてしまった。

 とりあえずサラダを食べて気を紛らわそう。


「コーネル!ナズナに気を使わせてごめんなさいって謝りなさい!」

「あっえっごめんナズナちゃん。…時間があれば年上のゲンリュウさんにお風呂でゆっくり相談とか出来たら、確かにいい時間になったかもしれないね」

「そうだな。ナズナの言うとおりだな。しかし女性の機微などは俺にもわからんのだが…」

「それは残念ですけど男同士の方が話しやすいこともありますから。次の機会があればお風呂に入りましょう」

「その時は喜んで付き合おう」

「じゃあその時は私とナズナとアズサでゲンリュウの恥ずかしい話でも聞きましょうか。ね?ナズナ」

「恥ずかしい話…ちょっと気になるかもです」

「おいおいナズナ…」

「ふふふ、冗談です」

「でも気になるのは?」

「それは…ほんとです」


 エリンさんの不敵な笑みと言葉につい本音が漏れる。


「おいおい」

「まあいーじゃねーか。それくらい懐いてるってことだろ」

「そうですよゲンリュウさん」

「そうかぁ?」

「そうですよ。ね?ナズナ」

「はい」

「ナズナがそういうならいいか」

「甘々ですね。おーいミーティア」

「はっ!寝てないわコーネル」

「まさかミーティアもエーリアさんのところで酒を出されたのか?」

「いいえ。クッキーならアリューアが出してくれたけど」

「さっきも言った気がしますが武器の精霊って意外といるんでしょうか」

「エーリアさんも会うのはミーティアが三人目だって言ってたからそんなことはないと思うよ」

「どこかの戦場にはいるのかもしれないね」

「のんびり人として生活してるやつもいんのかもな」

「不思議なものだなぁ」


 みんなしてしみじみとした感じでお酒を呷るので、私も合わせてとりあえずジュースを飲んでおく。

 そして赤いたれのまぶされたお肉をお皿に取って一口齧る。


「んっ!ぷはぁ!ナズナそれは…」


 慌ててコップを離してフィシェルさんが声を荒げた途端、口の中が激しく痛み出す。

 これはやばい…痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!

 てっきり酸っぱいやつだと勘違いしていた。


「ナズナぺってしなさい!ここにぺって!」


 慌てたお姉さまが空いたお皿を差し出してくれるので、急いで吐き出す。


「ナズナ、ジュースだ」


 ゲンリュウさんがコップをくれて一気に流し込む。

 味とかもうよくわからない。


「ちょっとゲンリュウさん!ジュースはこっち!」


 頭がぐらぐら揺れる。エリンさんの言葉を最後に私の意識は一気に夢の中に落ちていく。

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