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なんだかよそよそしかった

 船倉に降りると、中は魔力の玉で明るく照らされていて、奥まで良く見える。

 浸水していたのが嘘のように木の板が乾いていて傷も見当たらない。

 とととと足音が聞こえたかと思うとリネが走ってきて私のお腹に鼻先をぐりぐりと押しつける。


「おはようリネ」


 頭をわしゃわしゃしてあげると尻尾が左右に激しく振られる。

 リネと一緒に奥に進むと、エリンさんとお姉さまが何か敷物の上で作業をしているように見える。


「おはようございますエリンさん、お姉さま」

「おはよう」

「おはようナズナ…ナズナ!?」


 微笑んでくれるエリンさんとは別にお姉さまが驚いた顔をする。


「フィシェルさんがリネとお姉さまがきっと喜ぶから一度顔を見せてやれって」

「嬉しいわ!嬉しいのは間違いないのだけど…」

「ごめんね。ちょっと魔法道具を弄っててね。ナズナが触ると危ないかもしれないんだ…」

「ごめんなさい!」


 壊したり異常があったりするといけないと思い三歩くらい後ろに下がる。


「邪魔になるといけないので私は上にもどってますね」

「ごめんなさいナズナぁ…」

「ごめんねナズナ。完成したら見せてあげるからね」

「はい。楽しみにしてますね」


 そのまま梯子の方へと戻ると、リネがついてくる。


「リネも何かお手伝いがあったんじゃ?」


 リネが首を横に振る。


「じゃあ一緒に戻ろうか」


 わふっと返事をくれるリネと一緒に甲板にまた出ると、甲板の真ん中でゲンリュウさんがござを敷いて刀を並べていた。


「ゲンリュウさんこれは何をしているんですか?」

「海水に浸かってしまったからな。錆びたりカビたりせんように刀と鞘をよく乾かしておこうと思ってな」

「大切な商品ですもんね」

「一応な。コーネルが買い取ると言って聞かなくて大変だったぞ」

「そういえばコーネルさんは船倉にいないようでした」

「そうなのか?部屋に戻ったのかもな。そうだナズナの刀は大丈夫か?折角だから見てやろう」

「私のは出し入れすれば何ともないので…」


 私は刀を出して、刀身に指を押しつけて痕を付けてゲンリュウさんに見せて、刀を消して出し直してゲンリュウさんに差し出す。


「…消えているな」

「だから平気なんです。でもお姉さまのことは私も心配なので見てあげて欲しいです」

「なんだかやることがあると断られたがナズナがそう言うなら後で見よう」

「しかし、ナズナの刀はやはりかなり使われているみたいだな」

「使われている?」

「戦いにな」

「…戦争で使われた物らしいので」


 ゲンリュウさんが急に立ち上がって私の頭をポンポンと優しく叩く。


「そんな顔をするな。それだけ多くの人を救ったということでもある。きっとお前のことも守ってくれる」


 そう言ってゲンリュウさんがにかっと笑う。

 悲しい顔をしていただろうか。

 でも少し元気になれた気がする。


「ありがとうございます」

「気にするな。よし、一緒に素振りでもするか!」

「…はい!」


 部屋から木刀を持ってきて、ゲンリュウさんと素振りをする。

 横でゲンリュウさんが貸してくれた刀の鞘を咥えて首をふりふりするリネが可愛い。


「ナズナ、余所見をすると危ないぞ」

「ごめんなさい!」


 怒られてしまい、気を引き締めて丁寧に木刀を振る。

 仲良く三人で素振りを続けてどれくらいたっただろうか。

 暑くて集中が切れてきてしまった。

 ちらりと空を見上げると、雲ひとつない空だけどここ数日とさほど変わらなく思える。でも風が無い。


「少し休憩にしようか」

「ごめんなさい!」


 集中が切れてしまったのに気づかれてしまっていただろうか。


「風が無いだけでこうも暑いとはな」


 ゲンリュウさんがそう言って手で陽射しを遮りながら空を仰ぎ見る。


「リネは平気か?」


 鞘を置いて元気にわふっと吠えるということはリネはこれくらい平気みたいだ。


「ほら飲め!倒れても知らねーぞ!」


 舵の前からフィシェルさんが大声でそう言うと、ふわふわと三本の瓶が空を泳いできて目の前に浮かぶ。


「ありがとうございます!」

「かたじけない!」

「おーう!」


 栓を引っこ抜いてリネに飲ませてあげようと思ったら、私が固い栓に苦戦している間にゲンリュウさんが先にリネに飲ませてあげてくれていたので、そのまま開けた瓶に口を付ける。

 冷たくて美味しい。

 水を飲んで休んでいると船室の扉が開いて、お姉さまとエリンさんが歩いてくる。

 作業は終わったんだろうか。

 お姉さまが私に気づいて駆け寄ってくる。


「ナズナぁ…さっきはごめんねぇ…」

「気にしてませんから大丈夫ですよ」

「三人で何か訓練でもしてたの?」


 エリンさんが指を差すと瓶の中に氷が浮かぶ。


「うむ、更に冷えてキンキンだな」

「それより!ナズナにね、これを作ってたのよ!」

「私に?でも私と魔法道具はなんというか相性が…」

「大丈夫。ちゃんと考えて作ったからね」


 赤い綺麗な石が一つ付いた細いベルトのような物を二つお姉さまが私に差し出す。

 とりあえず手袋をしているから大丈夫だと思い、素直に手のひらに受け取る。


「これは?」

「そのぶかぶかの手袋を縛れるブレスレットって感じかな」

「宝石のついたブレスレット?」

「それはね、ミーティアとリネとコーネルくんが取ってきた魔石だよ」

「魔石?」


 いつの間に取ってきたんだろう。

 するとフィシェルさんが上から黒い石を持って降りてくる。


「取ってきたところ見せてやるよ」


 鏡のように磨かれた黒い石の断面を私に向けて、フィシェルさんが私のは目の前に立つも、断面が点滅して光り、光が動いて景色が見えてくる。

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